近視は万病のもと!近視だと「発症率845倍」に跳ね上がる病気とは?

11/30 8:32 配信

ダイヤモンド・オンライン

 「視る投資」、それは目を正しく使って未来まで視力を無くさないこと。現代生活で「視る力」が低いと目の疲労が脳疲労や全身の疲労へと深刻化し、生活の質も低下。そのまま働き続けると、目の病気をも招きかねないのだ。予約が取れない眼科医が脳がフルドライブする目の習慣を紹介する。本稿は、平松 類『視る投資 世界中の研究機関で科学的に証明された脳活性化メソッド』(アチーブメント出版)の一部を抜粋・編集したものです。

● 正しく視れば 脳の生産性は上がる

 私がいったいなぜ“視る投資”をおすすめするのか、お話しします。

 1つ目の理由は、お金の投資と同じで、早く始めるほど大きなリターンが望めるからです。投資のセオリーとして「投資期間が長ければ長いほどお金を増やしやすい」という傾向があります。つまり、いつから始めてもよいのですが、早く始めれば始めるほど、大きなメリットを期待できます。

 これは一般論になりますが、投資には「短期投資」と「長期投資」があります。

 短期投資とは、1日で完結するデイトレードや、数日から数週間で完結する取引を指します。常に値動きを当て続ける必要があるため、消耗することもあります。

 一方、長期投資とは、数年~数十年かけて行う投資のことです。

 日々の値動きに一喜一憂せずに済みますし、複利効果を活かすことができます。

 複利効果とは「元金だけでなく、その利子にも利子がつく方式」をいいます。

 つまり長期投資のほうが、お金を増やす力が非常に強いわけです。

 「長期投資こそ投資の基本」とされているのは、そのためです。

 この話を、「視る投資」に当てはめて考えてみてください。

 「なるべく長期にわたる“視る投資”のほうが、大きな効果を得やすい」

 そんな法則が浮き上がってくるはずです。

 「人生100年時代」といわれます。

 あなたの目が100歳まで不自由なく視えているように、少しでも早くから取り組みませんか。なんといっても「今日」が一番若い日なのですから。

 「視る投資」に早く取り組んだからといって、デメリットはゼロ。

 「正しく視れば、脳の生産性はより上がる」というメリットしかありません。

● 目が悪いと使えない!? VR・ARを楽しむ条件

 私が“視る投資”をおすすめする2つ目の理由は、ARやVRがスタンダードとなった未来を意識しているからです。

 AR(Augmented Reality/拡張現実)とは、シミュレーションした環境で現実の環境を拡張するテクノロジーを指します。

 対してVR(Virtual Reality/仮想現実)とは、環境全体をシミュレーションして、ユーザーの世界を仮想的な世界に置き換えるテクノロジーをいいます。

 これらの技術は、私たちの人生を便利に楽しくしてくれるはずです。

 しかし、残念ながら目の状態によっては、その流れに乗れない人が出てくる可能性があります。

 AR・VRとは、目にゴーグルなどをつけてバーチャル空間でもう1つの現実を体験できる身近な技術です。

 ただ、目への要求は相当なレベルになります。

 わかりやすくいうと「単に視力がいい」だけではあまり“視えない”のです。きちんと視るには「両目で立体視ができること」が前提となってきます。

 たとえば片目を失明している場合、大体の距離感はつかめるものの立体には視えません。近視や遠視、乱視などの人も、AR・VRを十分には楽しめません。

 酷に聞こえるかもしれませんが、AR・VRとは「両眼視機能ができている“正視”の人」を基準につくられています。

 ですから、斜視や斜位、近視、遠視、乱視の人がAR・VRを体験する場合は矯正が求められます。

 (「斜視」とは、片目は正しい方向を向いているのに、もう片方の目は別方向を向いていて正しい空間認知や立体視ができなくなる状態のこと。「斜位」とは、神経を集中することで両目の視線を目標に合わせている状態をさします)

 そう聞くと「AR・VRがより隆盛になったとき。自分の目はそれに対応できるか」と心配になってきませんか。

 お子さんがいらっしゃる方の場合は、その未来にまで思いが及ぶかもしれません。

 「AR・VRを享受できないと、人生の楽しみが減ってしまうなぁ」という悠長な観点ではなく、「大きなビジネスチャンスを逃すリスクがある」という考え方にシフトしてみてください。

 私たちが将来、AR・VRの空間上で働く可能性はゼロではないのですから。

● 白内障、緑内障、網膜剥離… 目の病気を引き起こすリスク

 「視る投資」を始めるとき、最初におすすめしたいのは「近視」について、超シビアに認識することです。

 「近視」とは、近くは裸眼でも視えるけれど、遠くはメガネがないとよく視えない状態です。かつて、近視は「日本人を含め東洋人に多い」とされましたが、近年は世界中で急速に増えてきています。

 オーストラリアの視覚研究所は、2010年に約20億人だった近視人口が、2050年には世界人口の約半分の50億人になると予測しています。

 しかも、そのうちの9億3800万人は失明リスクの高い「強度近視」になるとも予測されています。

 近視人口が、なぜそんなに増えたのかというと、主な原因はスマホやゲーム、勉強などによる近見作業(手を伸ばした範囲内を視る作業)の増加だといわれています。

 「でも近視って、メガネでいくらでも矯正できるでしょう?」

 そんな声をよくいただきます。確かにそうともいえますが、投資的な観点でいうと近視は“弱み”になってしまいます。なぜなら、白内障、緑内障、網膜剥離といった目の重たい病気を引き起こすリスクが高いからです。

 ではいったいどうすれば、近視は治るのでしょうか。

 残念ながら、近視を完全に治すのは難しいことです。

 ただ「今以上にひどくならないこと」、そして「近視の進行速度に歯止めをかけること」は可能です。

 これからご紹介する「目への投資」の数々を、同時並行で習慣化してみてください。

 投資にたとえると、資産を目減りさせないように、将来のリスク因子をあらかじめ減らしていくイメージです。不安材料を減らすためのアクションを積み重ねることで、「自分の目は大丈夫だろうか」という漠然とした悩みから解放されるはずです。

● 近視は「万病のもと」 発症率が845倍のケースも

 では具体的なデータをお伝えしていきますね。

 近視のレベルは3段階に大別されています。メガネの処方箋やコンタクトレンズのパッケージなどに明示されているので、ご自身のレベルを確認してみてください。

 ・軽度の近視……「-3」まで
・中等度の近視……「-3」から「-6」まで
・強度の近視(強度近視)……「-6」よりもマイナスの値

 ■白内障について

 白内障は目の「水晶体」が濁ることで発症します。

 水晶体はタンパク質でできています。透明な卵白が熱で白く固まるのと同じで、一度濁ると元の状態には戻りません。

 白内障は「年をとれば誰でもなる病気」というイメージが強いかもしれません。

 しかし、近視がない人を1とした場合、軽度の近視がある人は1.56倍、中等度の近視がある人は2.55倍、強度の近視がある人は4.55倍、白内障になりやすいことがわかっています。

 ■緑内障について

 緑内障は、日本人の中途失明原因の第1位です。若い人にはなじみがないかもしれませんが、視力が末期まで落ちないまま、視野(視える範囲)が徐々に欠けてくる厄介な病気です。つまり発症に気づきにくいということです。

 点眼薬で悪化を食い止めることはある程度可能ですが、放置して悪化した場合は元に戻せず、失明へと向かいます。近視がない人を1とした場合、軽度の近視があると3.2倍、中等度の近視で4.2倍、強度の近視がある人は7.3倍、緑内障になりやすいことが明らかになっています。

 ■網膜剥離について

 網膜剥離とは、目の奥の「網膜」という膜がはがれる病気です。これも放置すると失明へと至ります。近視がない人を1とした場合、軽度の近視があると3.15倍、中等度の近視で8.74倍、強度の近視がある人は12.62倍、網膜剥離になりやすいとされています。

 さらに「近視性黄斑症」という病気もあります。

 眼球の壁が引き伸ばされた状態で、黄斑の網膜にスキマができたりはがれたりして、視力が低下する病気です。近視がない人に比べて強度の近視がある人は845倍もなりやすいといわれています。

 つまり、近視の度合いに応じて、病気の発症率が明らかに上がっていくことが検証されています。近視とは「万病のもと」なのです。

● 基本は眼科で定期検査 目の病気は早期発見が大切

 いったいなぜ、近視になると、さまざまな目の病気を招きやすくなるのでしょうか。

 それは、眼球が大きくなるため、あらゆる組織に負担がかかるからです。

 近視になると目の直径(眼軸)が伸びます。

 通常、眼軸は生まれたときは約16mmで、成長とともに24mmほどになります。

 これよりも眼軸が短いと遠視、眼軸が長いと近視です。要は、近視があると眼球が大きくなります。眼球が大きくなるとは、目が本来あるべき長さより引き伸ばされてしまうわけです。結果、あらゆる組織に負担がかかり、白内障・緑内障・網膜剥離などの病気にかかりやすくなるわけです。

 ですから近視がある人は、それ以上進ませないことが肝心です。

 なぜなら、大人になっても近視が進むことがあるからです。特に、手元を視る生活が長かったり、屋外で過ごす時間が少ないという人に、その傾向が視られます。

 よく聞くのが「これまで営業職だった人が内勤になり、パソコンを使う機会が増えて近視が進んだ」という例です。

 目によくない生活習慣が近視を悪化させる要因なので、手元でものを視る時間を少なくしたり、仕事中にこまめに休憩を取り入れて遠くを視るなどの工夫が有効です。

 目の病気の早期発見を心がけることも大切です。基本は眼科で定期検査を受けること。難しい場合は「眼底カメラ」を健康診断の際に受けるようおすすめします。これは緑内障を初期から発見できる検査です。

 10分ほどで体への負担はありません。

 そしてお子さんの場合、日常生活で日光を浴びて外で遊ぶ時間を増やすことです。外遊びには「遠くを自然に視る」というメリットもありますし、昨今は「日光を浴びることが近視の抑制になるのではないか」ともいわれます。また外で遊ぶ分、部屋の中で本を読んだり、ゲームをしたり、タブレットを眺めたりする時間を減らせます。

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最終更新:11/30(土) 8:32

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