喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第68回となる今回、訪れたのは「サンマルクカフェ」です。
喫茶店を筆頭に、ファストフードやファミリーレストランなどの飲食チェーンが密かにしのぎを削っているのがモーニングメニューです。
集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。
今回は「サンマルクカフェ」をご紹介します。日本全国に約300店舗を展開し、板チョコレート入りのミニクロワッサン「チョコクロ」や、店内で焼いたデニッシュパンが看板メニューのお店です。
店内に一歩入ると、パンの焼けるバターと小麦の香ばしい香りが広がり、「コーヒーだけでいいか」と思っていても、その香りに食欲がそそられます。
■焼きたてパンとコーヒーでワンコインの朝ごはん
「サンマルクカフェ」のモーニングは、全国296店舗中152店舗で実施しています。提供時間は開店から朝11時まで。
・選べる焼きたてパンセット 税込420円
・選べる焼きたてパンセット プレミアムチョコクロ 桔梗信玄餅 税込510円
・選べるサンマルクホットサンドセット 税込620円~
・選べるサンドイッチセット 税込520円
セットドリンクは「コーヒーS」もしくは「紅茶S」で、金額をプラスすることでドリンクの変更やサイズアップも可能です。
■サンマルクのモーニング 選べる焼きたてパンセット420円
「選べる焼きたてパンセット」で選べるパンは、税込220円から税込290円までの商品です。単品で注文するより最大で220円お得になります。
今回オーダーした、税込290円の「チョコクロダマンド」と、税込300円の「ホットコーヒーS」だと、単品注文よりも170円お得。税込280円の「目玉焼きデニッシュ」と、税込350円の「アイスティーS」だと、単品注文よりも210円お得でした。
もともと「サンマルクカフェ」は、コーヒー1杯300円という、カフェチェーンの中ではもかなり安めな価格設定です。昨今、コンビニで菓子パンやお惣菜パンを買おうにも120円以上するものがほとんどなのに、そこにプラス120円でパンがセットになるというのは、かなりのお値打ち価格ですよね。
「420円というのは、スターバックスだとトールサイズのコーヒー1杯の価格だよなぁ。しかも、焼きたてパンを食べられるなんて……」
改めて考えてみると「サンマルクカフェ」のありがたみをひしひしと感じます。
■チョコクロダマンドのとろけるチョコレートは焼きたてだからこそ
「チョコクロダマンド」は、「PREMIUMチョコクロ」とロゴがプリントされた金色のスリーブに入っていました。「チョコクロ」の表面にダマンド(アーモンドクリーム)をたっぷりかけて、てっぺんにアーモンドスライスをトッピングし、粉糖でお化粧をほどこした贅沢なパンです。
「チョコクロ」に、カステラ生地のようななめらかさと、アーモンドの香ばしさが加わることで、まるで洋菓子のような菓子パンです。分厚くかかった場所はしっとり、はじっこはカリッと、かじる部位によって食感の違いが楽しめます。
しかも今回食べた「チョコクロダマンド」は焼きたてで、熱々ではないものの優しい温度が残っていました。クロワッサン生地の内側は水蒸気を含んだ状態でしっとり、チョコレートは口に運ぶ前からとろりと溶けた状態で、店内調理ならではの贅沢さです。
パンは冷めてから、サクッとしたクロワッサンと板状のチョコで食べても、もちろんおいしいのですが、温かいうちに食べるといつもよりも甘みも濃厚で、リッチな味わい。
これぞ「サンマルクカフェ」ならでは。セントラルキッチンから運んできたパンでは絶対に味わえません。
■コーヒーは懐かしい、ほっと落ち着く味わい
そして「サンマルクカフェ」のコーヒー。いつ注文してもコーヒーの表面が泡立っています。初めてここのコーヒーを見たときはなんとなく見た目にひっかかりましたが、今では泡立ったコーヒーを見て「これぞサンマルクのコーヒーだなぁ」と、懐かしみを覚えるほどです。
味は酸味も苦味も控えめながら香りとコクが強めで、コーヒーとしての濃度が濃い。一口飲むと「ああ、これこれ。サンマルクカフェのコーヒーの味がする」とわかる個性のある味がします。
甘い「チョコクロ」や、さらに甘い「チョコクロダマンド」と、サンマルクの濃いめのコーヒーの相性は抜群です。
「チョコクロダマンド」のチョコレートはまだ柔らかいため、食べ進めるとパンのおしりからクリーム状のチョコレートが溢れ出てきます。
このおしりのはみ出たチョコをパクッと食べてから、ブラックコーヒーをごくりと飲むと、チョコとコーヒーが混じり合うカフェモカを通過して、コーヒーが甘くなった口内をきりりと引き締めてくれました。
■目玉焼きを載せればパンもごちそうになる
惣菜パンは「じゃがバタデニッシュ」税込220円、「ジューシーあらびきウインナーデニッシュ」税込280円、「目玉焼きデニッシュ」税込280円の3種類がありました。
「じゃがバタデニッシュ」もおいしそうなのですが、どれを選んでも同じ価格なら、定価が高いものを選びたいというケチ根性が出てしまい、一度も選んだことはありません。
今回は朝限定で提供される「目玉焼きデニッシュ」をチョイスしました。目玉焼き、それは魔法の食材。残り物で作った焼きそばでも、安物のレトルトハンバーグでも、インスタントラーメンでも、目玉焼きを載せるだけでごちそうになります。
均等な加熱調理が難しく、日持ちの問題があるため、スーパーやコンビニの袋入りの惣菜パンなどでは目玉焼きを使用するのは難しいようです。
つまり、目玉焼きが載った惣菜パンは、手作りパンだけで味わえる特別メニュー。半分に割って断面をチェックすると、しっかり火は通りつつも芯の部分は若干しっとりという、絶妙な焼き上がりとなっていました。
こんがりつやつやに焼き色がついたまんまるなデニッシュパンに、ベーコンを敷き、そのうえに目玉焼きがドーン! の、ドライパセリがパラパラ。
見た目のシズル感がたまらない「目玉焼きデニッシュ」は、表面サクサクたまごまわりはしっとりで、食感のコントラストもよく、ベーコンの優しい塩気をお供にパクリ。
お供のドリンクはアイスティー。さっぱりとした清涼感がありゴクゴク飲めます。口のなかがスッキリ、お目々シャッキリで、朝食にぴったりです。
■実は「閉店ラッシュ」? 近所の4店舗が全て閉店
近年「サンマルクカフェ」は、閉店ラッシュと言われているのですが、この閉店ラッシュを身をもって体感しているのが筆者なのです。
今回取材した店舗も今月中に閉店予定で、ここ数年で徒歩圏内にある2店舗が閉店し、自転車で行ける距離にある1店舗も閉店してしまいました。
もともとは「サンマルクカフェ」の常連だったのですが、現在「サンマルクカフェに行きたいのに、近所に店舗がない」という事態に直面しています。
■「サンマルクカフェ」の復活を願う
残念で仕方ないのは、流行らないから閉店した訳ではない点。取材した店も含めて全ての店舗がいつ行っても、座る席を探すのが難しいほどに繁盛しているのです。
4店舗中3店舗がビルの建て替えで、1店舗は近隣ビルに入居していた大手企業の本社移転が相次ぎ、街自体に人の流れがなくなったための閉店でした。
つまりは、「サンマルクカフェ」に問題があって閉店した訳ではないのです。建て替えたビル、もしくは近隣のテナントに復活してくれることを願わずにはいられません。
焼きたてパンと濃い味のコーヒーのモーニングも、ソフトクリームたっぷりのパフェも、照明が暗めで落ち着いた雰囲気も、スタッフの接客対応がきちんとマニュアルに沿っていて、わかりやすい声かけなのも大好きなのです。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
東洋経済オンライン
最終更新:3/16(土) 5:02
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