(ブルームバーグ): トランプ前米大統領が2021年1月6日の連邦議会襲撃事件を扇動したとされる行為を巡り、コロラド州の裁判所は昨年12月、同州での大統領選への出馬資格を認めない判断を示したが、米連邦最高裁が4日にこれを覆し、トランプ氏は極めて重要な法的勝利を収めた。
国家の最高法規を擁護するという宣誓に違反し、反乱に関与した者が連邦政府の公職に就くことを憲法修正14条3項は禁じている。連邦最高裁による無署名の判断は、14条3項に基づき、トランプ氏の出馬資格を剥奪しようとする試みを事実上終わらせるものだ。
重要な五つのポイントを次に挙げる。
出馬資格を争う道が絶たれる
コロラド州だけでなく、メーン州とイリノイ州でも出馬を認めない判断が先に示された。連邦最高裁の判事らは全会一致で、14条3項を各州が施行することはできず、それを認めると「パッチワーク」のような施行状況が生まれ、有害な矛盾が生じかねないとしており、出馬資格を争う道がこれで絶たれる。
資格剥奪の権限を持つのは議会だけ
判事の大多数は、14条3項に基づき候補者の資格を剥奪する権限を持つのは議会だけとした。議会が3分の2の多数決で候補者の資格剥奪を解除する権限を持つとしか同項は規定しておらず、大きな争点となっていた。
踏み込み過ぎという別の意見も
3人のリベラル系判事は、14条3項を各州が施行できないという多数派に同意するものの、候補者を失格とする権限を議会だけが持つかどうか、最高裁は判断すべきでなかったと別の意見を公表した。
保守系とリベラル系が対立
リベラル系の判事らは、多数派の保守系判事らが、14条3項に基づく将来の異議申し立てからトランプ氏を守る判断を行ったと批判。2000年大統領選では、ブッシュ元大統領とゴア元副大統領の勝敗を分ける再集計差し止めを最高裁が命じたが、「きょう行っていることを最高裁は放っておくべきだった」という当時の反対意見を引用した。
暴動に関与したかどうか判断せず
大統領在任中に最高裁に保守系判事3人を送り込んだトランプ氏は、21年1月6日の自らの行動、つまり根本的な論争の核心部分の行動について、不利に働きかねない分析を免れた。20年のバイデン大統領の勝利を議会が正式に認定するのを阻止しようと、暴徒化したトランプ氏の支持者らが連邦議会議事堂を襲撃したが、この日の同氏の行動や選挙結果を覆そうとする動きに関する判断にどの判事も踏み込まなかった。
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原題:Trump’s Supreme Court Win Over Ballot Challenges: Five Takeaways(抜粋)
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最終更新:3/5(火) 15:59
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