近年はブランドに陰りも…再開発計画で「自由が丘」の復権なるか《楽待新聞》

4/21 19:00 配信

不動産投資の楽待

東京都目黒区の自由が丘駅周辺で市街地再開発計画が進んでいる。

かつては「オシャレな街」の代名詞でもあり、「住みたい街」として長らく人気が高かった自由が丘。一方、近年は徐々にそのブランドイメージに陰りも見えていた。

自由が丘駅の周辺は今、実際にはどのような状況なのか。再開発の背景には何があるのだろうか。

■自由が丘駅周辺はいま

自由が丘は、基本的に住宅街でありながら、駅周辺にはおしゃれで個性的な繁華街が広がっている。

自由が丘駅への乗り入れ路線は東急東横線と東急大井町線。主要各駅からの所要時間は、渋谷から東急東横線で10分前後、横浜から東急東横線で20~30分だ。

新宿からは乗り換えを1回挟んで25分前後、東京から乗り換えを1回もしくは2回挟んで30分前後。このように、山手線の西側にある主要駅へのアクセスは特に良好だ。

自由が丘は「スイーツの街」として、女性を中心に人気が高い街でもある。「スイーツエンタメパーク」と題された「自由が丘スイーツフォレスト」があるほか、パティスリーとして有名な「モンサンクレール」など、いくつものスイーツショップが集中している。

例年、ゴールデンウィークには各店舗が限定品などを販売する恒例のイベント「自由が丘スイーツフェスタ」が開催され、それを目当てに多くの人が訪れる。

自由が丘はまた、ショッピングエリアとしても有名な街だ。駅直結の商業施設「トレインチ自由が丘」があるほか、ファッション雑誌「マリ・クレール」とタイアップして名付けられた「マリ・クレール通り」には、数々の商業施設・店舗が並ぶ。

スイーツフェスタ以外にも、毎年10月には「自由が丘女神まつり」というイベントが開催されている。さまざまなパフォーマンスが行われるほか多くの屋台が出店し、都心らしい賑わいを見せる。

個性的な店舗の数々や活気のあるイベントを有している自由が丘。各種メディアが発表する首都圏版の住みたい街ランキングで、上位にランクインすることも多かった。

しかし近年はランクを下げ、他の街に話題をさらわれているのが現状だ。

■再開発の背景にあるものは

自由が丘で再開発計画が持ち上がった背景には複数の要因がある。その1つは、住みたい街ランキングの順位にも象徴される、街としてのブランド力の低下だ。

同じ東急東横線の沿線でも、中目黒や武蔵小杉などの後塵を拝するかたちの自由が丘。たとえば、武蔵小杉では1990年代半ば以降にタワーマンションが林立したり、人口増加に対応した都市開発が行われたりといった変化が起きている。

また、自由が丘の西にある二子玉川(東急の田園都市線と大井町線が乗り入れ)では、複合施設「二子玉川ライズ」などに代表される再開発が行われた。

また、2013年には東急東横線が東京メトロ副都心線と相互直通運転を開始したことで、自由が丘と並んで比較される街が増えた。比較対象となる街ではさまざまな再開発が進んでいる一方で、自由が丘ではそれほど目立った都市開発計画が見当たらない。

他方、別の要因として、防災上の懸念も挙げられている。

自由が丘駅の周辺エリアで過去に行われてきた市街地開発は、車の通行を前提としていないものが多かった。

そのため、歩行者の安全確保が十分とはいえず、輸送車両の荷捌き場も設けられていないことから緊急車両の通行などに問題があるというのだ。

さらに、数十年前に計画決定された都市計画道路の沿線地には、建物の構造や階数などに関する規制が設けられており、その規制が足かせとなって、古くなった建物を更新しようにもできない状況だった。

街の存在感低下に対する危機感や、建物の老朽化に伴う防災上の懸念などから、再開発の機運が高まってきたというのが実情のようだ。

■2026年に地上15階建てビルが完成予定

2013年、駅前エリアの地権者数人で「建替え検討会」を発足。その後、対象街区や権利者を拡大しながら2017年には「再開発準備組合」が設立され、2020年には目黒区に対して「街づくり提案書」が提出された。

2022年に「再開発組合」の設立が認可され、2023年3月からは既存建物の除去工事が始まっている。

持ち上がっている再開発計画の対象地は自由が丘駅の西側で、正面口を出て駅前広場の北側に該当する約0.5ヘクタールのエリア。対象地の呼称は自由が丘一丁目29番地区。2020年8月11日に都市計画が決定された「自由が丘駅前西及び北地区(約3.1ヘクタール)」の一部である。

自由が丘一丁目29番地区には、もともとはかなり細い路地に沿って、低層の商業施設などが軒を連ねていた。

細かく分かれている敷地の統合と老朽化建物の共同建て替えを誘導することで、土地の高度利用、防災性の向上、都市機能の更新(つまり商業施設の建て替えなど)を図る。あわせて、建物をセットバックすることで歩行者の安全性確保も目指す予定だ。

再開発建物の規模は、敷地面積約3940平米、延床面積約4万5960平米で、地上15階・地下3階建て。建物の主要用途は店舗・事務所・住宅・駐車場などとなっている。

断面図によれば、下層階が商業施設となり、上層階に住宅を設けるようだ。

なお、ゼネコンはヒューリックと鹿島建設に決まっている。再開発建物の完成は2026年度の予定。

現在の自由が丘は、街としての魅力がなくなって訪れる人が減ったり、寂れたりしているわけではない。しかし、同じ沿線にあるほかの街の変化に着いていけなかったというのが実態だ。

地上15階建ての規模は、再開発建物として決して大きいというわけではない。

しかし、高層の建物が少ない自由が丘にあっては、かなり目立つものになるだろう。再開発が、自由が丘にほかの街に負けない活気をもたらすきっかけとなることを期待したい。

朝霧瑛太/楽待新聞編集部

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最終更新:4/21(日) 19:00

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