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ビーロット Research Memo(1):当期純利益は過去最高32億円超。新・中期経営計画で株主還元と経営基盤を強化

3/21 17:21 配信

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 ■要約

ビーロット<3452>は、現 代表取締役会長の宮内誠(みやうちまこと)氏をはじめ不動産業界に長く従事してきたプロ集団が2008年に設立した「不動産投資開発事業」「不動産コンサルティング事業」「不動産マネジメント事業」を中心とする不動産金融コンサルティング会社である。設立当初は不動産仲介及び賃貸管理が主であったが、不動産再生の分野で取引実績を着実に重ね、資金調達力が強化されるにつれて不動産投資・開発の割合を増やしてきた。設立6年2ヶ月となる2014年12月には早くも上場(東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場)を果たし、2015年にアセットマネジメント会社とシンガポール現地法人を設立、2016年に関西の不動産会社を連結子会社化して関西圏に本格進出した。2017年には東京のホテル事業会社を連結子会社化、2018年にはM&A事業関連及び人材関連の会社を設立、ゴルフ場受託運営会社を連結子会社化した。さらに2019年には納骨堂・葬儀場運営会社の株式を50%取得し、成長を加速している。設立10年となる2018年2月に東証1部への市場変更を果たし、その信用力と知名度の向上により情報量や顧客数、金融機関との良好な取引関係が拡充している。なお、2022年4月の東証市場区分再編に伴いプライム市場へ移行したが、2023年10月にスタンダード市場への選択申請を決議した。

1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の連結業績は、売上高で前期比18.1%増の23,510百万円、営業利益で同88.7%増の5,498百万円、経常利益で同104.8%増の4,945百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同101.3%増の3,297百万円と、2ケタの増収とともに大幅な増益となった。中期経営計画(2021~2023年)の目標値であった経常利益36.4億円及び親会社株主に帰属する当期純利益24.4億円に対しても大きく上回る成果となった。セグメント別では、全セグメントが順調に推移した。増益への寄与が大きかったのは不動産投資開発事業の売却益(フロー)だったが、安定収益(不動産コンサルティング事業、不動産マネジメント事業)も同11.6%増の2,746百万円と拡大した。主力の不動産投資開発事業では、売却件数が39件(同8件増)に増加したことに加え、富裕層の多様化する不動産投資ニーズを的確に捉えてハイスペックな商品化に取り組み、計画を上回る利益での売却を複数件において実現した。不動産コンサルティング事業の成約件数は同2件増の81件と伸びた。また、新築分譲マンションの販売受託についても、若手人材の採用と育成を強化し、新規デベロッパーからの販売を積極的に受託したことで好調に推移した。不動産マネジメント事業は宿泊系不動産を中心に賃料収入が改善し、セグメント利益は前年同期比73.8%と大幅な増収増益となった。

2. 今後の見通し
2024年12月期の連結業績は、営業利益で前期比3.5%増の5,690百万円、経常利益で同2.3%増の5,060百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.2%増の3,470百万円と、過去最高となった前期をさらに上回る利益を見込んでいる。新・中期経営計画の初年度となる2024年12月期は、前期までの好調を持続し、さらに利益の安定成長を図る計画である。2023年12月期末の販売用不動産(仕掛販売用不動産を除く)は24,676百万円、仕掛販売用不動産は10,802百万円、販売用不動産から振り替えた固定資産4,900百万円、合計40,378百万円(前期は38,865百万円)であり、2024年12月期もさらなる売却や賃料収入が期待できる。需要が旺盛な住宅系不動産については、同社が得意とする富裕層向けの高級区分マンションの在庫を増やしており、「良いものこそが高く売れる」インフレーションの時代に合わせた売却を進める。商品ラインナップも、オフィスビル(福岡市)やマンション(札幌市)、ホテル(福岡市)など充実している。コロナ禍で販売を見送っていた宿泊施設に関しては、商品化及び売却に手ごたえを得ており、2024年12月期以降の動向が注目される。弊社では、販売用不動産(仕掛販売用不動産を含む、固定資産への振り替えを除く)が過去最高水準に達していること、都市部の不動産市場は需要が旺盛なこと、若手人材が活躍する営業組織が充実していることなどを勘案すると、利益計画の達成は十分可能であると判断している。

3. 成長戦略・トピック
同社は、2023年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画にて“100年続く企業グループ”を目指し、安定した利益を生み出す企業体質に向けた収益構造変革に取り組んできた。数値目標としては、2023年12月期に経常利益で36.4億円、親会社株主に帰属する当期純利益で24.4億円を掲げ、経常利益で49.4億円(達成率135.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益で32.9億円(同135.1%)と大幅に上振れて達成した。新・中期経営計画では、引き続き“100年続く企業グループ”を目指し、目標値として2026年12月期に、経常利益で55.8億円、親会社株主に帰属する当期純利益で38.3億円を目指す。その他にも、株主還元の指標として配当性向で30%以上、安定した利益構造へのシフトの指標として固定資産を毎期20億円程度積み上げ、強固な経営基盤の指標として自己資本比率30%以上を加えた。弊社では、いずれもレベルの高い目標値となっているが、2023年12月期の実績からの大きなギャップはなく、実現可能性は高いと判断している。

4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、業績に応じた利益還元を基本とし「将来の事業展開」と「財務体質の強化」を勘案して総合的に決定する。2023年12月期は、好調な業績を背景に、1株当たり配当金が年51.00円(前期比31.00円増)と大幅増配となり、配当性向は29.8%となった。2024年12月期の配当予想は未定としているが、親会社株主に帰属する当期純利益で前期比5.2%増を見込んでいることから、順調に推移すれば前期同様に増配が期待できる。弊社の試算では、1株当たり当期純利益予想180.08円、配当性向30%を前提に年54.00円の配当を予想する。

■Key Points
・富裕層や投資家を対象に多様なビジネスモデルを展開。強みは専門性とネットワーク
・ 2023年12月期の親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となる32億円超。富裕層向けの売却が好調、宿泊系不動産の賃料収入など安定収益も伸長
・ 自己資本比率は25%を超え、財務の安全性がさらに向上。販売用不動産4,900百万円を固定資産に振り替え
・2024年12月期は経常利益5,060百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,470百万円と過去最高業績の更新を予想。好調な住居系不動産に加え、事務所・店舗ビルや宿泊系不動産で売却及び賃料収入の機会
・「株主還元の充実」と「筋肉質な経営基盤」を目指す新・中期経営計画がスタート。2026年12月期に経常利益55.8億円、親会社株主に帰属する当期純利益38.3億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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最終更新:3/21(木) 17:34

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