株式週間展望:金利急騰と中東緊迫が重荷、日米中銀ウイークに下値模索も
日経平均予想レンジ:6万2000-6万5000円
日米の中銀ウイークを目前に控えた今週の日本株相場は、日米の債券金利の急上昇や日銀高官のタカ派発言、中東情勢の緊迫化といったリスク要素の拡大を背景に、日経平均株価が下値を探る展開となった。来週はFOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀の金融政策決定会合が予定されており、ボラティリティーの一段の高まりに注意が必要となる。
<追加利上げの確度高まる>
今週は米10年債利回りが5%近くまで上昇し、株式からの資金逃避を招く展開となった。中東では再び米国とイランが攻撃の応酬を始め、原油先物相場を押し上げた。インフレ懸念を背景にFRB(米連邦準備制度理事会)による追加利上げの可能性を市場が早期に織り込んだ格好。足元のデータをみても、10日発表の米8月PPI(生産者物価指数)の伸びは前月から拡大し、市場予想も上回った。
金利先物市場の動向から算出されるFedWatch(フェドウオッチ)ツールによると、日本時間11日午前時点で9月FOMC(15-16日)での0.25ポイントの政策金利の引き上げ確率は70%を上回る。きょうの夜にはより重要な米8月CPI(消費者物価指数)の発表も控え、粘着性の高いインフレがここでも確認されれば追加利上げが確実になる公算だ。前年同月比の上昇率のコンセンサスは総合が3.4%、コアが2.4%となっている。
日銀をめぐっては、増(ます)審議委員が10日の福井県での講演で、現在の政策金利(1.0%)が名目中立金利(1.1-2.5%)の下限を下回っていることから「依然として緩和的」だと述べた。中東情勢などを踏まえて、急速な利上げを迫られるリスクを避けるべきだとし、適切な追加利上げを進める姿勢を強調した。これに先立ち、氷見野副総裁も「これまで以上に物価の上ブレリスクを意識する必要がある」と話すなど、追加利上げへの地ならしが進んでいるように見える。
17-18日の日銀金融政策決定会合に関しては、一部で政策金利を現在の1%から1.25%へと引き上げる方針だと報じられた。市場には2回分に当たる0.5ポイントの利上げを意識する向きもあっただけに、上げ幅が0.25ポイントにとどまればタカ派度合いは想定内と言える。もっとも、10月会合での連続利上げの可能性は残るだろう。18日の会合後の植田総裁の会見が注目される。
<中間選挙へ向けアク抜けも>
長期化も懸念される米国とイランの軍事衝突や中東の紛争激化を背景に、日米の利上げ加速は既定路線になっている。また、ECB(欧州中央銀行)も10日に2会合ぶりの利上げを打ち出した。世界的な債券市場の軟化とさらなる金利上昇不安が、株式市場の当面の重荷となる可能性は簡単には否定できない。ただ、それでも調整・もみ合いの局面は1カ月程度で終わることも想定される。
その背景として挙げられるのが、11月に控える米中間選挙だ。現在は中間選挙前特有の政局への不透明感も潜在的な株安要因となっているとみられるが、株式市場は選挙本番が迫るにつれて政策への期待感や不確実性の払しょくを先取りし、自律反発をたどるケースがある。これに加え、AI(人工知能)需要にけん引される日本企業の好業績を考慮すれば、株価の一方的な深掘りは十分に回避できるとみる。
来週の日本株は、急激な金利上昇と中東の地政学的緊張にさいなまれる中で、FOMCと日銀会合という日米の重要イベントもあり相場全体の騰勢が強まりにくいとみる。日経平均の予想レンジは6万2000-6万5000円とする。ただし、こうした局面下でも、金利上昇が利ザヤ改善をもたらすメガバンクをはじめとする銀行株や、ホルムズ海峡の緊迫化に伴う運賃高騰が追い風となる海運株などは、局地的な物色の受け皿を担うかもしれない。
このほか、日本時間16日には米8月小売売上高が発表される。高金利下における個人消費の耐久力を精査する上で見逃せない。また、国内では18日朝に8月全国CPIが控えている。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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