<発掘!飛躍株>2つのM&Aから浮かび上がる有力銘柄
ソニーグループ <6758> がKADOKAWA(カドカワ) <9468> 買収を検討しているという。また、日本テレビホールディングス <9404> の系列の4放送局による経営統合も明らかになった。これからは一見すると互いに関係のない案件だが、ある事実を物語る。そして、そこから浮かび上がる有力銘柄も見えてきた。
<「IP」「テレビ局新境地」にはまる壽屋>
ソニーGは2021年に資本・業務提携したカドカワの株式を、今年9月末時点で2.1%保有していた。今回の試みはアニメの覇権を狙うばかりか、ソニーGに不足している領域のIP(知的財産)を豊富に持つカドカワをグループ化することで、自身の弱点を補う思惑があるものと思われる。
その一方で、日テレHD系列の札幌テレビ、中京テレビ、読売テレビ、福岡放送が持株会社を設立し、その下で経営統合することが発表された。統合によりコスト削減や効率化を図るといい、業界の収益体質改善が急務であることが浮き彫りとなった形だ。
くしくもほぼ同じ時期に持ち上がった2つのM&A(企業の合併・買収)。前者はIPの重要性を象徴するものであり、後者は、厳しい事業環境に置かれ変革を迫られる放送局の状況を映している。つまり、「テレビ局は新たなビジネス展開が必要」であり、そして「IPの持つ力は大きい」ということだ。
そこで注目されるのが、この両方のニーズに合致する要素を内包する壽屋 <7809> だ。フィギアやプラモデルの企画・製造・販売を手掛ける同社は、自社IP製品に強みがある上、昨年にはテレビ朝日ホールディングス <9409> 傘下のテレビ朝日と資本・業務提携し、同社が筆頭株主になっている。事業面でも、IPコンテンツの開発をともに進める関係にある。
<時価総額は「お買い得」、再編の目へ>
テレビ朝日Hは東映アニメーション <4816> の第2位株主でもあり、東映アニメの親会社の東映 <9605> とともにIPビジネスの再編に乗り出す可能性も指摘される。なぜなら、東映もIP創出に課題があり、バンダイナムコホールディングス <7832> と今年に資本・業務提携したものの、ソニーGのカドカワ買収の動きに焦りを感じているはずだからだ。
テレビ朝日Hも本業のテレビでは成長が見込めず、IPビジネスを収益柱の一つとして育てたいところ。壽屋の時価総額(120億円程度)を踏まえると、食指を伸ばしても決しておかしくないだろう。
折しも壽屋は、訪日客で連日にぎわう直営店舗の盛況さとは裏腹に、原材料高の価格転嫁が遅れて今6月期第1四半期(7-9月)は営業赤字(非連結)を余儀なくされた。株価は買収する側にとっては「お買い得」な安値圏に停滞しているだけに、ひとたびIPをめぐる再編劇の口火が切られれば、台風の目のような存在になるのかもしれない。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:12/4(水) 16:40