<新興国eye>カンボジア運輸物流総合計画を公表

3/15 8:41 配信

ウエルスアドバイザー

 2月20日、カンボジア公共事業運輸省は、政府機関、民間200社等を集めた会議で、2023年8月に承認されたインターモーダル運輸物流総合計画2023-2033年を公表・説明しました。

 総合計画では、「運輸物流システムの開発と改善を継続する」とのビジョンの下で、4つの主目的を掲げています。(1)運輸インフラの量的拡充と改善(2)運輸インフラと運輸サービスの効率性・効果の改善(3)国家開発政策の支援に直結する運輸インフラの拡充と改善(4)サービスの効果と物流コストの改善等です。また、開発戦略として、3つの主要運輸回廊、3つの第二次運輸回廊、4か所の運輸ハブ、2か所の国境運輸結節点を重視するとしています。

 総合計画には、174件の優先プロジェクトリストも添付されています。内訳は、道路94件、鉄道8件、内陸水運23件、海運20件、空運10件、物流15件、法整備等4件となっています。目立つ事業としては、プノンペン-シェムリアップ-ポイペト高速道路、高速鉄道(北線・南線等)、新空港とのアクセス鉄道(シェムリアップ、プノンペン)、フナン内陸水路等があります。

 総合計画実現のために必要な予算額は、366億7900万ドル(約5兆5000億円)ですが、このうち今後5年間に開発する90件の短中期プロジェクトのコストは199億2600万ドル(約3兆円)と見積もられ、毎年39億8500万ドル(約6000億円)の予算手当てが必要であるとしています。

 かなり野心的な計画であり、カンボジア政府予算だけでなく、ドナー各国、国際機関、民間企業等の協力を得つつ進めていくことが重要な課題となるものと見られます。また、中国が実施したり計画を作成したりしている高速道路や高速鉄道、空港等は、その採算性や事業の持続性に課題があるものも含まれていると見られ、今後の計画実施に当たっては、事業評価や採算性の精査が必要不可決なものと見られます。

【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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最終更新:3/15(金) 8:41

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