【2025】お花見シーズン目前!混雑を避け花見を快適に楽しむ方法を考えてみた 関東の穴場スポットはどこだ? 菜の花や富士山と「桜のコラボ」も人気 

3/21 13:02 配信

東洋経済オンライン

 「花見には行きたい。でも人混みは嫌だ」ーー。多くの人はそう考えるだろう。だが、現実は甘くない。

 花見の人口は近年急増している。クロスロケーションズが2023年と2024年の花見の人流調査を比較したところ、東京の千鳥ヶ淵周辺で242%、大阪城公園周辺で230%に増加したという。

 さらに悪い(? )情報がある。2025年に花見を「予定している」「するかもしれない」と答えた人の割合は、2024年の1.2倍におよぶという(2025年3月6日、インテージの調査)。これは2019年に「お花見をした」人と同水準ということだが、インバウンドの急増を考慮するとコロナ禍以前を大きく上回る人出になる可能性が高い。

■混雑を避けたい人向け・花見の場所選び

 では、どうすればストレスなく花見を楽しむことができるのだろうか。そのためには、花見を快適に行うための条件(いいかえれば花見のストレス要因)を冷静に見極める必要がある。

 異論はあるかもしれないが、花見の満足度は「開花状況・天気・気温・混雑」に左右されるところが大きい。「満開で快晴のうえ暖かく、空いていれば」まちがいなく素晴らしい花見になるし、「咲き始めやほぼ散りかけのうえに雨やどんよりとした曇りで寒く、人混み」では残念な花見になるだろう。

 開花状況や天気と気温については、天気予報などを注視して、極力ベストに近いときに行ってもらうほかないが、混雑についてはいくつかの方法でコントロールが可能である。この点について少し考えてみたい。

 混雑を避けるには、まず人出の多いスポットを外すというのが近道である。ヤフー・データソリューションによれば、2024年3・4月に「桜」「花見」とともに検索された地名のうち、関東地方で多かったのは、次の順番だという。

 1位:目黒川(東京都)

 2位:上野公園(東京都台東区)

 3位:六義園(東京都文京区)

 4位:靖国神社(東京都千代田区)

 5位:赤城南面千本桜(群馬県前橋市)

 4位までは都内の定番スポットである。5位の赤城南面千本桜は、前橋市の赤城山斜面に広がる桜の並木道で、1000本を超えるソメイヨシノが植えられている。

 標高430mから700mと高低差があるために、花見のピークが長いというメリットがある。それでも桜の時期は駐車場待ちにかなり時間がかることもあるようだ。4月5〜20日の土日はJR前橋駅からシャトルバスも運行している(2000円)。

 こうした有名どころは外したほうがよいわけだが、人が集まる名所といっても空間的に2種類に分けられる。

 一つは「線的」な名所である。目黒川や千鳥ヶ淵などがその典型例だ。川沿いや堀沿いを歩かなければ花見にならない。その場合、きわめて狭いエリアに人が集中することになるため、混雑は不可避である。千鳥ヶ淵は皇居の堀と桜のコントラストが美しく、個人的にも非常に好きなところなのだが、もし行くとするなら朝早い時間などを狙いたい。

 もう一つは公園をはじめとする「面的」な名所である。都内の有名なスポットでいえば新宿御苑がそれにあたる。新宿御苑は70種約900本の桜が咲く都内屈指の名所で、花見の人出は上野恩賜公園に並んで全国で2番目に多い(ジョルダンの「お花見人出ランキング」による)。

 とはいえ、敷地面積は58.3haで東京ドーム12個分に相当する。人間の数が多くても面的な広がりがあれば拡散し、少なくとも押し合いへし合いや、スムーズに歩くのもままならないような状況は生まれない。

 新宿御苑は2021年以降、花見の時期の土日(2025年は3月22日から4月6日まで)に事前予約制を導入し、1時間あたりの入場者数の上限を定めている点もプラスといえる(9:00〜10:00、16:00〜17:30に入園の場合は予約不要)。園内では飲酒ができないので、酒盛りとは無縁の健全? な花見をしたい人にとっては最適だ。

 なお、広大な新宿御苑すべてに桜が咲いているわけではない。桜園地へはJR千駄ヶ谷駅に近い千駄ケ谷門からが近い。ウェザーニュースによれば、2025年の満開予想日は4月2日である。

 しかし、河川敷や公園、神社のようなところは、どうしても名所などとして知名度が高くなってしまいがちである。一方、ほかの目的をもって建てられた施設の場合、不特定多数が来ることを想定しないため、名所のリストに載ることを原則としてない。「穴場」の代表例が大学である。

 たとえば東京大学はHPによると「教育・研究活動に供することを目的として、広く一般の方に構内を開放」している。構内の史跡探訪のため入構することは認められており、駒場キャンパス北西にあるラグビー場や野球場周辺は、本数こそ多くないものの美しい桜が見られる。キャンパス隣に位置する駒場公園も花見の名所として知られる。

 またICU(国際基督教大学)も期間と場所を限定し、関係者や近隣の住民に観桜可能としている。

 構内立ち入りのルールについては大学のHPを事前に確認し、迷惑がないよう桜を楽しんでほしい。

■SNSで人気になったスポットも

 SNSの急成長は花見の名所の序列も急速に変えつつある。筆頭に挙げられるのが、埼玉県幸手市の権現堂桜堤(県営権現堂公園)だろう。

 大正時代には桜の名所として知られていたが、1988年に周辺の休耕田に菜の花が植えられ、菜の花と桜のコラボレーションが注目されてから、急速に知名度を上げるようになった。いまや年間60万人と全国5位の人出を集めるようになった。

 筆者も近年何回か訪れているが、アジア系のインバウンド旅行者が自撮りを楽しんでいる姿が多く見られ、「今どき」の花見スポットと感じた。2025年の満開予想日は4月1日である。

 実は権現堂桜堤からほど近い埼玉県久喜市に隠れた花見スポットがある。青毛堀川という農業排水路沿いに青葉さくら通りと名づけられた通りがあり、桜と菜の花が同時に咲き乱れる姿が美しい。

 JR宇都宮線・東武伊勢崎線の久喜駅から徒歩20分ほど。権現堂桜堤への拠点となる幸手駅からバスと徒歩で計15分ほどの距離なので、権現堂桜堤の行き帰りに寄るのもよい。

 「桜+菜の花の競演」ということでは、熊谷桜堤もおすすめだ。規模が小さい分、花見客の数もやや落ち着いている。JR・秩父鉄道の熊谷駅から500mと公共交通機関からのアクセスがよいのも魅力だ。2025年は4月3日が満開予想日である。

■「関東の吉野山」

 桜の名所で桜の本数が多い場所といえば、約3万本を数える吉野の桜だが、関東地方で桜の本数が多いのは、埼玉県秩父市と皆野町にまたがる「美の山公園」。標高581.5mの独立峰である蓑山周辺を整備した41haの自然公園内にはソメイヨシノ、ヤマザクラなど約8000本もの桜が植えられている。秩父市街地や奥秩父の山々をのぞむ眺望が魅力である。

 2025年は4月19日から運航開始と遅いために難しいが、これまでは例年3月後半から4月初頭に運行を開始していたのが、熊谷駅と秩父市の三峰口駅を結ぶ秩父鉄道のSLパレオエクスプレスだ。

 2026年以降、運行開始時期が例年並みに早くなれば、熊谷桜堤で桜と菜の花を楽しんだ後にSLの車窓から沿線の桜を楽しみ、皆野駅で下車。そこからタクシーか徒歩で美の山公園をめざすという花見のハシゴも可能となる。

 首都圏から近いエリアは人口が多いため、どうしても花見の人出も多くなってしまう。そのため、このエリアから離れることで、混雑度を緩和させることができる。

 桜は、そのものが美しいが、何かと組み合わせることで、その魅力をより引き立たせることができる。千鳥ヶ淵であれば皇居の堀になるし、新宿御苑では背景の高層ビルになる。

 権現堂桜堤や熊谷桜堤は菜の花との組み合わせである。そのほかにも川や湖、城や寺などとの組み合わせは鉄板といえるだろう。

 その組み合わせの最たるものの1つが富士山ではないだろうか。

 富士山と桜の組み合わせといえば、タイ人のSNS投稿からブレイクが始まった新倉山浅間公園(山梨県富士吉田市)がよく知られているが、筆者のおすすめは富士市の潤井川沿いの龍巌淵である。JR身延線の入山瀬駅から600mとアクセスも悪くない。

 桜は50本と多くないが、龍巌淵の南側にある滝戸橋からは、富士山と桜、さらに河川敷の菜の花というトリプルコラボが堪能できる。2025年は4月2日が満開予想日である。

■花見の穴場を探すには? 

 花見の穴場を探すにはどうすればよいのだろうか。最初からエリアが決まっているのであれば、「桜+久喜市」のように桜+地名(できるだけ細かな分類のほうがよい)で画像検索をすると、そのエリア内で桜の美しい場所を画像で確認することができる。

 最初から桜と何かのコラボを期待するのであれば、「桜+雪山」「桜+茅葺き」など、自分の関心があるキーワードを入れて画像検索をすることで、自分のイメージに近い花見スポットを見つけることができるだろう。

 まだ地元の人以外にあまり知られていないような花見の穴場が、日本には多く残されている。

東洋経済オンライン

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最終更新:3/22(土) 19:34

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