中森明菜と松田聖子は除外した「昭和の名曲」アンケートにあがった名曲【アイドル編】

4/29 7:02 配信

マネー現代

(文 安藤 由美) 数年前から広がりを見せている70年代、80年代の昭和ソング人気。まだまだ人気は衰えることはない。今年3月には、シンガーソングライターのジャンク・フジヤマが敬愛する70年代後期から80年代にかけてシティ・ポップ・サウンドを集めたカヴァーアルバム『憧憬都市 City Pop Covers』を発売。昨年秋には『ドライフラワー』の優里が『詩-80's』をリリースし、尾崎豊や長渕剛、ハウンドドックなどカヴァー曲を歌っている。他にも、ここ数年、上白石萌音、エレカシの宮本浩次、JUJUなどのカヴァーアルバムも話題になった。

 また、松原みきの『真夜中のドア~stay with me』、泰葉の『フライディ・チャイナタウン』、竹内まりあの『プラスティック・ラヴ』などは韓国のDJ Night Tempoなどが新たなブームを作り、ソウルやシンガポール、マレーシアなど世界に広がった。

 さらに、3月末まで放映されていたドラマ『不適切にもほどがある! 』では、尾崎豊の『15の夜』を『米寿の夜』、桑名正博の『セクシャルバイオレットNo1』を『セクシャル・ハラスメント・No.1』ともじったパロディ曲が流れ、SNSでも「懐かしくて、お腹を抱えるほど笑った」「子どもに原曲はこんな曲だよ、って教えたらいい曲だねと、サブスクでダウンロードしていました」というさまざまな声が上がった。

親とのカラオケで「いい曲」を実感

 実際に、10代、20代に「昭和の曲」の印象を聞いてみると、「聴いている」という声は想像以上に多かった。

「きっかけはTikTok。流れてきた曲がいい曲で、誰の曲なんだろうって調べていたら昔の曲だった。歌詞がストレートですんなり入ってくる感じが新鮮」(21歳 女性)

 「最近、動画の『歌ってみました』で、昔の曲を歌う人が増えている。サビが盛り上がる曲が多くて、カラオケで歌っていて気持ちいい」(23歳 女性)

 「ヒトカラ(ひとりカラオケ)が多いから、人が知らない曲でも熱唱出来るものがいい。昔の曲は、メロディが歌いやすくて、歌詞が刺さるものが多い」(19歳 女性)

 「親とカラオケに行くと、昔の曲はバラードが多くていい曲だなと思う。覚えて友だちの前で歌ったら『それ誰の曲? 』と聞かれたこともある」(18歳 男性)

 「母が中島みゆきのファンだったから知っている曲が多くて。友だちとカラオケに行ったときに歌うと、『すごくいい曲だね』っていつも言われます」(19歳 女性)

 ということで、昭和を経験した世代(40代以上)にアンケートにご協力いただき、『10代、20代に知ってほしい「昭和の曲」』に関して調査した。「昭和」と言っても幅広くなりすぎてしまうので、70~80年代に限定。セレクト基準としては、そのアーティストの熱狂的なファンだったという視点は外してもらい、昔よく聴いた、歌ってよかった、昔の想い出とリンクしている、といった視点で選んでもらうことに。また、できるだけ超メジャー級なものは避けて、みなさんが思う名曲を選んでいただいた。もちろん、ここに上げるモノは個人的な視点なので、「違う」の意見もあるかもしれないが、それは「昭和には名曲が多い」ことでご理解いただきたい。

 さて、あなただったら、どんな曲を「多くの人に知ってほしい昭和の曲」としてあげるだろうか。

昭和のアイドルたちの名曲たち 女性編

 昭和はアイドル全盛時代。松田聖子、中森明菜、小泉今日子、山口百恵、キャンディーズ、ピンクレディ……、あげたらキリがないほどたくさんのアイドルがいた。松田聖子と中森明菜の2大アイドルに関してはそれだけで特集記事になってしまうので、今回はあえてラインナップから外すことに。では、女性編からスタートしよう。

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◆伊藤咲子『乙女のワルツ』(1975年リリース)
推薦コメント:子どもの頃、亡くなった母がよく歌っていて懐かしくて今でもカラオケで歌います。とっても歌いやすい曲なのに、歌詞がめちゃくちゃ切なくて…、母を想い出して歌う旅に涙が出ます(48歳 女性)
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 今回のアンケートで、伊藤咲子は『木枯らしの二人』『ひまわり娘』を選んだ人も。アイドル曲でありながらも思い切って歌えるので、歌っていて気持ちいいというコメントも多かった。伊藤咲子は現在も歌手として活躍。

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◆岩崎宏美『家路』(1983年リリース)
推薦コメント:岩崎宏美さんは名曲が多くて、知っている人も多いと思いますが、この曲はカラオケで歌うと、同世代は「火サス(ドラマ「火曜サスペンス劇場」)の曲だ!」といって、下の世代からは「覚えたい」と言われることが多いです(51歳 女性)
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 『思秋期』『ロマンス』『聖母たちのララバイ』とあまりに名曲が多い岩崎宏美。カヴァーされることも多いため、妹の岩崎良美の『タッチ』含めて、30代以下にも馴染み深い曲が多い。

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◆高田みづえ『硝子坂』(1977年リリース)
推薦コメント:高田みづえといえば、桑田さんが作った『私はピアノ』や『そんなヒロシに騙されて』が代表曲ですが、私にとっては圧倒的にデビュー曲の『硝子坂』一択です。かなりメジャーな曲ではありますが、高校生の娘とカラオケに行ったときに、「すごくいい曲、覚えたい」と言っていたので、時代を超える曲だなと改めて感じました(53歳・女性)
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 圧倒的な歌唱力で、ヒットを飛ばしていた高田みづえだが、当時大関だった若嶋津と結婚を期に引退。最近少しずつテレビ出演などをしているが正式な復帰は宣言していない。他にも『愛の終りに』『秋冬』なども切ない名曲で今も人気が高い。

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◆柏原芳恵『最愛』(1984年リリース)
推薦コメント:中学生の頃よく聴いていました。ちょっと背伸びした感じの恋愛の曲にドキドキしたのを覚えています。それから失恋するとこの曲を思い出します。大人になってから中島みゆきが作った曲だと知って、だからグサッと刺さったのね、と納得したのを覚えています(52歳・女性)
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 「ちょっと大物、夏ひとりじめ。よしえはNo.1。」は80年にデビューした柏原よしえ(のちに芳恵に)。『ハロー・グッバイ』(81年)に大ブレイク。83年以降、『春なのに』『カモフラージュ』など中島みゆき制作の曲もヒットし、切ないバラード系も多い。

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◆小泉今日子『夜明けのMEW』(1986年リリース)
推薦コメント:キョンキョンも出す曲全部ベストテンに入っていたので、メジャー曲だと思いますが、この曲はテッパン。ちょっぴり切なくて、かわいくて。亡き上司が歌っていたことを想い出してジワッときます(52歳・女性)
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 松田聖子、中森明菜と並んで人気があった小泉今日子。『なんてったってアイドル』のような王道曲以外にも『木枯らしに抱かれて』『魔女』などもあがった。ちなみに筆者は、ギリギリ昭和を過ぎてしまうのだが、テクノ調の1989年発表『Fade Out』がめちゃくちゃ好きだ。

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◆松本伊代『サヨナラは私のために』(1986年リリース)
推薦コメント:当時、親に隠れて深夜『オールナイトフジ』を観ていました。当時とんねるずといっしょにMCをしていたのが伊代ちゃんでした。それまで伊代ちゃんの曲に一切関心がなかったのですが、この曲は「悲しみ三部作」と呼ばれていて大人っぽい曲。きれいになって困らせたいとか、本当は会いたいのに嘘をつくとか、女性心満載で大好きです(53歳・女性)
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 松本伊代の「悲しみ三部作」の1曲で、他の2曲『信じ方を教えて』『思い出をきれいにしないで』は、川村真澄と林哲司が制作した楽曲で、恋に破れても強がる女性や切ない女心を描いている。

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◆浅香唯『セシル』(1988年リリース)
推薦コメント:当時、クラスの男子がみんなファンでした。もちろん、当時片想いだった男子もファンで、少しでも唯ちゃんに近づきたくて覚えた曲ですが、結局は振り向いてもらえなかった(笑)。今改めて聞いて、“人は大人にたるたび弱くなるよね”という部分が沁みます(50歳・女性)
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 スケバン刑事で大ブレイクした浅香唯。『虹のDreamer』『C-Girl』など今でも人気が高い曲が多い。

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◆工藤静香『抱いてくれたらいいのに』(1988年リリース)
推薦コメント:今でもカラオケでよく歌います。昭和の曲って、中森明菜の曲もそうですが、アイドルとは思えない歌詞や歌い上げ系の熱唱曲が多いと思います。この曲もスローバラード系で歌うとめちゃくちゃすっきりします。子どもの前で歌ったら引かれましたが(笑)、工藤静香の曲だと知って驚いていました(52歳・女性)
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 おニャン子→うしろ髪ひかれ隊→ソロというか形で1987年に『禁断のテレパシー』でソロデビュー。昭和ギリギリの88年に、『FU-JI-TSU』『MUGO・ん…色っぽい』などの平成に向けてヒット曲を連発する。『抱いてくれたらいいのに』は、ソロデビュー当時、脱アイドルともいえる名曲。

昭和のアイドルたちの名曲たち 男性編

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◆郷ひろみ『よろしく哀愁』(1974年リリース)
推薦コメント:当時も今も郷ひろみさんは人気があるので、王道の曲であるかもしれません。郷さんの曲は『お嫁サンバ』『GOLDFINGER'99』とか派手な曲が注目されますが、一番の名曲はこの曲だと思います。“会えない時間が会い育てる~”とか歌詞がめちゃくちゃいいです(60歳・男性)
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 多くの人が知っている曲ですが、若い人に聞くと知らない人もいたのであえて入れました。他にバラードでは、『哀愁のカサブランカ』『言えないよ』『あなたがいたから僕がいた』などをあげる人も。

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◆西城秀樹『ラストシーン』(1976年リリース)
推薦コメント:この曲は大友康平さんなども歌っています。それも素敵ですがやっぱりご本家の秀樹さんの曲が好きです。カラオケで歌うと後輩からいい曲ですね、とよく言われる曲です。秀樹さんの曲は、歌っていて気持ちいい曲が多い。他には『ブルースカイブルー』もよく歌います(58歳・男性)
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 多くアーティストが西城秀樹の歌唱力を真似して歌手を目指したという逸話も。それだけ抜群の歌唱力を持っていた。歌い上げる曲が好きな人にはお勧めしたい。

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◆野口五郎『甘い生活』(1974年リリース)
推薦コメント:野口五郎の曲は『私鉄沿線』や『青いリンゴ』などよく歌う曲はありますが、歌詞が好きなのはこの曲ですね。シチューエーションは今とは違いますが、今聞いても古いぼけた感じがしないと感じます(58歳・男性)
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 昭和の新御三家といえば、郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎が鉄板のアイドルだった。でも、楽曲を観ると、アイドルといってもとても大人っぽい歌を歌っていたことがよくわかる。

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◆豊川誕『汚れなき悪戯 』(1975年リリース)
推薦コメント:子どもの頃、歌っていたら母に怒られた記憶が。今歌詞を改めて読むと意味深い歌詞ですよね。でも、妙に耳に残ってしまって今も口ずさみます。豊川誕さんは、とても儚い感じがして、子どもながらにどうしてこんな悲しい歌い方をするんだろうと思っていましたが、その分記憶にも残る人でした(58歳・女性)
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 1975年にジャニーズ事務所から『汚れなき悪戯 』でデビュー。生い立ちなどから切ない歌詞の楽曲が多かった。

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◆光GENJI 『ガラスの十代』(1987年リリース)
推薦コメント:当時、大人気で誰もが知っている曲だったので王道ソングかもしれませんが、以前、職場の後輩とカラオケに行ったときに歌ったら、この曲を知らなかったみたいで「すごくいい曲」と言われました。今20代だと光GENJIを知らない人もいるんだな、と妙にしみじみとしました(45歳・女性)
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 チャゲ&飛鳥(現・CHAGE and ASKA)の飛鳥涼が作った『STAR LIGHT』、『パラダイス銀河』も今も歌う人が多い。

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◆チェッカーズ『Blue Rain』(1987年リリース)
推薦コメント:デビュー当時はロカビリーっぽい雰囲気のアイドル路線だったチェッカーズ。この曲ぐらいから少し路線が変わった印象がありました。確か『世界ふしぎ発見』のエンディング曲でした。明るい曲も好きですが、バラード系はやはりいいですね。フミヤのその後の『TURE LOVE』につながる隠れた名曲だと思っています(54歳・女性)
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 『ギザギザハートの子守歌』『ジュリアに傷心』『涙のリクエスト』など、今でも歌い継がれている曲は多い。

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◆男闘呼組『秋』(1988年リリース)
推薦コメント:当時付き合ってきた彼女がファンで、どうせアイドルだろうと思っていたらめちゃくちゃちゃんとしたバンドでびっくり。楽曲も男っぽくてかっこよかった。この曲は、歌っていて気持ちがいいですね(54歳・男性)
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 デビュー曲の『DAYBREAK』も人気がある。アイドルというよりもバンド系。女性だけでなく、男性ファンも多かった。

 ◇後編「尾崎豊に浜省、中島みゆき…ストレートな切なさが沁みる「昭和の名曲」人気調査【ポップス編】」では、フォークやニューミュージックなどを併せて【ポップス編】としてお届けする。

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最終更新:4/29(月) 7:02

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