約6万円本格BBQグリルが「コスパいい」と言える訳 持ち運びが簡単で、日本の住環境にもフィット

3/31 9:41 配信

東洋経済オンライン

 アメリカ発のBBQグリルブランド「Weber」から発売されたポータブルガスグリルを試してみた。キャンプ、アウトドアでのバーベキュー、家のベランダ等でも使える本格グリルで、フタがあるので肉や野菜を高火力で焼き上げられ、クリスピーでジューシーな食感を楽しめる。さらに折りたたむことができ、持ち運びが簡単でコンパクトなデザインとパワフルなグリル機能が特徴だ。

■折りたたんで持ち運べる本格ガス式グリル

 Weberは1952年に設立されたグリル専門メーカーで、フタ付きグリルのパイオニアとしてアメリカでは知られている。2016年に日本法人Weber-Stephen Products Japan合同会社が設立され、日本で販売を開始。Weber公式サイトのほか、家電量販店やホームセンターの一部で販売している。

 日本国内では炭を使うタイプが主流となっているが、グリル専門メーカーであるWeberでは熱源が炭だけでなく、ガスや電気を使ったさまざまなタイプの製品を展開している。熱源が電気やガスであれば火起こしの手間がなく、初心者でも点火が簡単だ。温度調整もしやすいというメリットもある。

 日本ではアウトドアで使用することが多いが、アメリカでは家で友人や家族で楽しむコミュニケーションツールとしての役割を果たしている。そのため、家の庭にグリルを置いて頻繁に使うとのことだが、日本では置き場所のハードルが高い。

 日本の住環境にぴったりなグリルが「Weber Traveler」だ。広げた状態で高さ94.5cm、幅110.7cm、奥行58.4cmで、たたむと高さが34cmほどになる。立てて玄関やテラスに置いて収納しておくことができ、いつでも使いたいときに出して使えるグリルなのだ。レバーを引くだけでゆっくりと下がり、折りたたむことができる。工具なども不要で、女性の筆者でも簡単に扱えた。

■鋳鉄の焼き網と、フタでジューシーに焼き上げる

 温度調整が簡単なガス式で、ガスは専用のキャンプガス缶(実売価格1390円)を使用する。ホーローコーティング鋳鉄製焼き網を使用しており、持ってみるとずっしり重い。部品のひとつひとつがしっかりと頑丈で高級感がある。

 火を点けるのは、点火ボタンがあるので迷うことなく簡単にできる。フタをして15分ほど待つと、焼き網が熱くなる。焼き網を事前に加熱することで、食材を焼いても網につきにくくなる。

 Weberが勧める調理法は、先に食材にオリーブオイルを塗り、塩胡椒をしておくこと。オリーブオイルで食材が焼き網につきにくくなり、味もつく。あとはフタを閉めて、片側を食材に合わせて数分ずつ焼くだけだ。焼き加減を見張る必要もない。

 沖縄県産アグー豚のポークステーキは、片側4分ずつ焼き、焼き上がったら焼き時間の3分の1程度の時間休ませておくことで、切ったときに肉汁が出にくくなる。

 完成したポークステーキは、焼き目がしっかりついており、しっとりした食感に驚いた。豚は焼き方を失敗するとパサパサになりがちだが、フタをして焼いているからか、水分が保たれていた。肉汁が出ていないので、豚の味を存分に味わえる。

 日本では薄い肉や野菜を焼くことが多いが、海外では分厚い肉を豪快に焼く。外に焦げ目をつけ、中をジューシーに焼き上げるなら、フタがあるほうがうまく焼ける。ただ、日本人はあまり分厚い肉を日常的に食べる習慣がなく、スーパーでも手に入りにくいことがある。同社に聞いてみたところ、魚介類や野菜などもおすすめだという。

 Weber Travelerは横幅が広いため、長ネギが丸ごと1本入る。長ネギに豚バラ肉を巻き付け、オリーブオイルを塗ってから塩胡椒し、焼くと絶品だ。豚バラ部分がカリカリで、切ってみると長ネギから水分があふれ出す。このように、野菜を組み合わせて使える料理にも向いている。

 ほかにも美味しさに驚いたのは丸ごと焼いたピーマン、エリンギだ。こういったバーベキューでは野菜を切ってから焼くことが多いが、丸ごと焼いてしまったほうが野菜の甘みを存分に味わえる。切った野菜と丸ごと焼いた野菜を食べ比べてみたが、フタをして丸ごと焼いたほうはみずみずしく、いくらでも食べられそうだ。

 ハンバーガーも手軽にできる。鶏もも肉に塩胡椒して、皮目をパリッと焼き、バンズも軽く焼く。レタス、トマト、タルタルソースなどをお好みで入れれば完成だ。焼きたての焦げ目がついたバンズと、肉汁あふれる鶏肉との相性が抜群だ。

■使い勝手もよく、後片付けもカンタン

 使い勝手もよい。折りたためることが大きな特徴だが、細部もグリル専門メーカーらしい工夫がある。

 焼き網の横は、サイドテーブルとして使える。調理する際に、食材などの仮置き場として、また別売りのクッキングボードを使えば、そこで食材のカットもできる。細かいところだが、そういったスペースが用意されているのでスムーズに料理できる。

 後片付けも、簡単だ。10分ほどフタをして加熱し、焼き網についた炭化した食材の残りカスを専用の3面グリルブラシでこするだけ。焼き網は鋳鉄のため重いが、外して洗う必要はない。フタをして加熱することで内部は250℃以上になるため、洗わなくても衛生面では特に問題ないのだという。

 また、調理中に落ちた油や食材かすは、別売りの専用のアルミ製容器がキャッチする。拭き取れば1枚で数回使用できる。あとはフタの裏側など、気になる場合は拭き取ればよい。

 実際に試してみたが、軽くこするだけで汚れが落ちるので、後片付けはすぐに終わった。バーベキューは料理後の後片付けが面倒だが、そういったお手入れの面でもよく考えられている。

 ただ、熱源は専用ガス缶を使用するため、補充が少々面倒だ。いざ使うときにガス切れ、ということがないようにある程度は持っておきたい。公式サイトやAmazonなどのネットショップで購入できるが、約2時間で1缶を使い切る。頻繁に使うのであれば燃料のコストは少々高いと言えるだろう。

 日本では、コンセントに挿すだけで手軽にバーベキューが楽しめる電気式も人気とのこと。コンパクトな「Weber Pulse 1000」は2021年の発売以来、特に売れているという。

■人が会話して楽しむことが目的

 Weberのブランドメッセージは、「コミュニケーションツール」。会話をしたり、食事をしたり、友人や家族が楽しむことを第一に考え、なるべく手間をかけないで調理・後片付けができるように工夫されている。

 人が集まって話をしながら楽しむバーベキューだが、誰かが席を立って火加減を調整したり、調理のためにつきっきりになったり、後片付けが大変になる人が出てくる。そういったことまで含めてバーベキューを楽しみたいという方もいるかもしれないが、面倒だと感じる方のほうが多いだろう。

 Weber Travelerは火起こし(点火)も火加減の調整も簡単で、食材は細かくカットしなくてもよい(むしろカットしないほうが美味しい)。調理中はフタをして置いておけるので会話も楽しめる。お手入れはほぼ不要で、後片付けのことを考えてお酒を控える必要もない。

 筆者は主婦ということもあって、「手間がかからないグリル」という点が魅力的だった。お店のような焼き加減をすぐに味わえるので、実際に持っていたら頻繁に家でも使いたくなりそうだ。

 価格も良心的だ。Weber Travelerは折りたためる本格グリルで、丈夫なアルミフレームや砂浜でも移動しやすい大型ホイール、ホーローコーティングのしっかりした鋳鉄製焼き網などを採用している。これで5万9990円であればコスパがよい。

 WEBER-STEPHEN PRODUCTS JAPANマーケティングマネージャーの田中さやか氏は「バーベキューグリルは日本ではまだアウトドア用というイメージですが、手軽に庭やベランダでも楽しんでいただきたい。バーベキューグリル入門機として普及を目指しているため、Weber Travelerは価格を抑えました」と話す。

 日本では競合する製品はほぼなく、バーベキューグリル専門メーカーとしてアウトドアやバーベキューが好きな方の間では知名度が高いWeber。中でも折りたためるWeber Travelerは、使いたいときだけ、サッと出して使える点が新しい。ホームセンターや家電量販店などで実物をチェックしてほしい。

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最終更新:3/31(日) 9:41

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