ロランDG争奪戦のタイヨウ、価格引き上げ含む3つの選択肢-CEO

4/19 12:00 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): ローランドDGを巡る争奪戦で、MBO(経営者が参加する買収)による株式公開買い付け(TOB)を実施中の米投資ファンド、タイヨウ・パシフィック・パートナーズ最高経営責任者(CEO)のブライアン・ヘイウッド氏は、現在のTOB価格引き上げのほか、対抗するブラザー工業の提案に乗るなど3つの選択肢があるとの認識を示した。

ヘイウッド氏は18日、ブルームバーグとのインタビューで、3つの選択肢を提示。1つ目はブラザー工が予定するTOBに応じた保有株の売却、2つ目はタイヨウが実施しているTOB価格の引き上げ、3つ目が期限終了に伴うTOBの断念だと明かした。ロランDGの企業価値を上げるために「3つのうちのどれが最も戦略的に正しいかを検討する」と語った。

タイヨウは、ロランDGの発行済み株式の19.4%を保有する筆頭株主で、ヘイウッド氏はロランDGの社外取締役も務める。田部耕平社長と組んで進めるTOBは、価格据え置きのまますでに2回期限を延長しており、3つの選択肢からどれを選ぶかの期限は迫っている。

ヘイウッド氏は、タイヨウによるTOBが成立した場合、さらなる企業価値の向上が可能だと話す。経営者が決めることだと前置きしながら、「利益が出ていない事業はやめるということも当然出てくるだろう」として、構造改革の必要性も指摘した。再上場のほか、経営者の同意を前提に他の事業会社への売却も念頭に3-5年でのエグジットを検討するという。

国内の事務機器業界では、ペーパーレス化の動きを背景に各社が戦略転換を迫られている。東芝テックとリコーは複合機事業の統合に向けた手続きを進め、コニカミノルタと富士フイルムホールディングスは業務提携に向けた協議を開始した。だが、ヘイウッド氏はニッチ分野に強みを持つロランDGの高い技術力を守るため「今は単独での生き残りを考えている」と話した。

2019年から協業していたブラザー工とロランDGの関係については、結果的にうまくいかなかったと振り返った。重要事項の決定の際にブラザー工の事情でプロジェクトが遅れたほか、品質問題の発生などもあったという。半面、ロランDGがブラザー工のTOB提案にディスシナジー(負の相乗効果)の懸念が払しょくされないと主張していることについては、「きちんと説明するべきだ」と訴えた。

ヘイウッド氏は経済産業省が昨年公表した「企業買収における行動指針」を支持しているとし、ブラザー工から昨年9月に買収提案があった際には、ロランDGに対してしっかり検討するべきだと助言したと明かした。「ブラザー工の提案が、本当にロランDGの企業価値を向上させるのかを見極める必要がある」と語った。

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最終更新:4/19(金) 12:00

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