バンコン主流のハイエースで珍しいキャブコン仕様のキャンピングカー「ファンルーチェ・セレンゲティ525」

4/1 10:02 配信

東洋経済オンライン

 キャンピングカーにはさまざまなタイプがあるが、とくに幅広いユーザーから支持を受けているのがトヨタ自動車(以下、トヨタ)の商用バン「ハイエース」をベースとするモデル。多くは、外装をあまり変更しない「バンコン(バンコンバージョン)」タイプが主流だが、少数派ながら外装を大きく変更した「キャブコン(キャブコンバージョン)」というタイプも存在する。中でも誕生から20年の歴史を誇り、根強い人気を誇るのが「ファンルーチェ(Funluce)」というブランドの「セレンゲティ525」だ。

■セレンゲティ525とは? 

 キャブコンは、一般的にトヨタのキャンピングカー専用シャーシ「カムロード」をベースとする大型の高級モデルが多い。それらと比べ、このモデルはハイエースをベースにすることで、走行安定性がより高く、外装もスタイリッシュにできるなどの利点がある。しかも室内には、常設ベッドや広いリビング、キッチンなど、本格的で使い勝手もいい装備が満載。バンコン仕様のハイエース・キャンピングカーとは一線を画す、快適なクルマ旅を味わうことが可能だ。

 ここでは、そんなセレンゲティ525の最新モデルを「ジャパンキャンピングカーショー2024(2024年2月2~5日、千葉県・幕張メッセ)」で取材。多くのユーザーから長年親しまれている熟成の装備群や、今後導入を検討中の新アイテムなどを紹介する。

 キャンピングカーの製造・販売を手がけるキャンピングカーランド(愛知県日進市)のブランドがファンルーチェだ。セレンゲティ525は、2024年で誕生20周年を迎える同ブランドのフラッグシップという位置付けとなる。

 ベース車両は、ハイエースのスーパーGL(ロング・ワイドボディ/ミドルルーフ)で、車体のほとんどをオリジナルのキャビン部(室内空間)に架装したキャブコンというジャンルに属する。前述のとおり、ハイエースがベースのキャンピングカーは、外装を大きく変更せず、主に室内を架装したバンコンと呼ばれるモデルが主流。一方、このモデルでは、運転席以外の部分に“シェル”と呼ばれる独自製作の外装を架装することで、ボディを大型化。そのぶん、いわゆる一般的ハイエース・ベースのバンコンと比べ、より広く快適な室内空間を作り出していることが特徴だ。

■独自のシェルで大胆に変更された外装

 ボディサイズは、全長5245mm×全幅2100mm×全高2870mm。ベースとなるノーマル車が全長4840mm×全幅1880mm×全高2105mmなので、全体的に大柄なボディに変更されている。とくに一際目立つのが、コクピット上方へせり出した部分。これは、内部にバンクベッドと呼ばれる就寝スペースが設置され、キャブコンの多くに採用されているもの。この部分を見るだけでも、このモデルがバンコン仕様のハイエースとは一線を画すことがわかる。ほかにも、オリジナルのエントランスドアやリアに設置したラゲッジ用ドアなど、本格的キャンピングカーらしい装備が満載だ。

 また、外装の架装部分には、独自の「鋼製スペースフレーム入り多層高断熱FRPシェル」を採用する。FRPボディ、合板、鋼製スペースフレーム、独立発泡断熱材などを組み合わせた内部構造を持つこのシェルは、高い断熱性や防音効果を持つことが特徴だ。会場の担当者いわく、「一般的なバンコンと比べ、夏場の室内温度は13℃程度も低くなる」とのこと。とくに近年の夏は猛暑が続く傾向にあるが、この独自シェルやアクリル2重窓、標準装備のルームエアコンなどとのマッチングにより、快適なクルマ旅や車中泊を楽しむことができるという。

 加えて、このモデルでは、トヨタの予防安全技術「トヨタセーフティセンス」も搭載。前方の車両や歩行者をミリ波レーダーと単眼カメラで検知し、衝突被害軽減ブレーキなどを作動させる「プリクラッシュセーフティ」はじめ、数々の安全運転支援システムも備えている。

■車中泊仕様とは一線を画す、充実した内装が魅力

 一方の室内。車体の助手席側すぐ後方にあるエントランスから入ると、テーブルと対面式ソファを備えた明るい雰囲気のリビングが目に飛び込む。壁には木目調の化粧ボード、天井にはファブリックを施し、床面はクッションフロア仕上げとなっている。走行中の着座シートになるソファは、運転席のすぐ後ろが後向きに座る2列目シート、後方側は前向きに座る3列目シートの役割だ。2列目・3列目ともに2名乗車で、計4名の着座ができる。ほかにも、エントランス右横に1名用の横向きベンチシートもあり、運転席と助手席を合わせると乗車定員は計7名となる。

 室内左側にはキッチンもあり、脱着式のカセットガスコンロやガラス蓋(ふた)付きシンクを備える。シンクにある蛇口は、スイッチを押すと40Lの給水タンク(ポリタンク2個)から電動ポンプで給水するタイプだ。また、キッチン用家具には容量65Lの車載用冷凍冷蔵庫も搭載。上部には収納棚やオプションの電子レンジも備えるなど、旅先での調理などに十分対応する装備を持つ。

 就寝スペースは、まず、車体後方に2段ベッドを常設。サイズは1920mm×850~900mmで、それぞれ大人1名ずつ、計2名が横になれる。また、車体前方にあるバンクベッドは、停車時にフロアを後方へ引き出すことで拡張でき、1900mm×1900mmのスペースを確保。大人3名の就寝が可能だ。加えて、リビングのソファもベッド展開が可能で、こちらには子ども2名が寝ることができる。就寝定員は大人5名+子ども2名だ。

 ほかにも、このモデルは、リチュウムサブバッテリー(300Ah)システムや245Wソーラーパネル、走行充電システムなどを採用。キャンプ場などでエンジンを停止した状態でも、室内で家電製品を使うことを可能とする。夏場の車中泊などで重宝するルームエアコンも標準装備だ。また、2段ベッドと3列目シートの間には、着替えをしたり、オプションのトイレも設置できるマルチルームを設定。大自然の中でも、まるで家で過ごしているような感覚を味わえる装備が揃っている。

■最新モデルでは、より豪華なインテリア空間を提案

 今回の展示車両では、これらに加え、さらに特別な装備が施されていた。それは、コクピットの内装にブラックレザーのカスタマイズを施したことだ。ハイエースは、商用バンなのでコクピットはかなり質素。そこで、ダッシュボードやセンタコンソール、左右ドアなどをブラックレザー張りとすることで、高い質感を演出したのだ。これらにより、まるで乗用の高級車のような感覚で、運転を楽しむことができる。この仕様はまだ参考出品だが、今回のショーで来場者などからの反響がよければ、オプション設定するとのことだ。なお、このモデルの価格(税込み)は、さまざまなオプションが付いた展示車両の場合で1191万800円だ。

 20年もの長い年月で熟成を重ねてきただけに、さまざまな快適で利便性の高い装備を持つのがこのモデル。価格的には、より大型で室内が広いカムロード・ベースのキャブコンとさほど変わらないが、それでもいまだに多くのユーザーが愛用していることは確か。ここで紹介したブラックレザー仕様など、今後もアップデートを続けることで、さらにロングセラーモデルとしての位置を確立することが予想できる。

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最終更新:4/1(月) 10:02

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