川口市の新築ワンルームで「宅配ボックス」が義務化、設置費用や補助金は《楽待新聞》

3/2 19:00 配信

不動産投資の楽待

トラックドライバーに時間外残業の上限規制が適用されることで、輸送力の低下が懸念される「2024年問題」。その対策として、国が共同住宅での宅配ボックス設置を促進している。

宅配ボックスは、宅配便の再配達率を減少させる効果があり、荷物を運ぶドライバーの負担軽減や業務効率化につながる。

国土交通省や各自治体でも設置費用の一部に補助金を設けるなど、宅配ボックスに対するニーズの高まりを受け、対策に動き出していた。

そんな中、埼玉県川口市が新築ワンルームマンションに宅配ボックスの設置を義務付ける条例を制定し、話題となった。今回は、川口市が宅配ボックスの義務化へ踏み切った背景などについて解説する。

■「2024年問題」受け、ワンルーム条例改正へ

川口市は今回、2017年1月に施行された「川口市ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」(以下、ワンルーム条例)を改正する形で宅配ボックスの設置を義務化する。

ワンルーム条例は、ワンルームマンション(床面積が40平米未満の住宅を含む、全てまたは一部が共同住宅・長屋である建築物)の建築や管理の基本的な事項を定めたもの。

ワンルームマンションの増加に伴い、近隣住民とのトラブルを未然に防ぎ、良好な住環境の形成を図ることが目的だ。具体的には、廃棄物の保管方法、駐輪施設の設置義務付けなどを定めている。

対象物件を新築する場合は、建築基準法の確認申請を行う前に、条例手続きを完了する必要がある。

さらに、建築基準法の完了検査の前に条例の検査を受け、合格通知の交付を受けなければならない。

川口市で新築ワンルームマンションなどを建築する場合は、条例義務違反とならないよう「ワンルーム条例に関するあらまし」を確認し、余裕を持ったスケジュールで進めるべきだろう。

川口市はなぜ、他の自治体に先んじて義務化に踏み切ったのか。

同市開発審査課の担当者によると、やはりきっかけは「2024年問題」にあるという。単身者が多いワンルームマンションは不在率が高い傾向にあることから、ワンルームマンションに狙いを定めた格好だ。

実際、川口市が市内の宅配業者にヒアリングを行ったところ、以下のような声が聞かれたという。

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・ネット通販の急速な拡大により、配達ならびに再配達件数が増加しており、配送車の路上駐車が近隣住民の迷惑となっている。

・共同住宅における再配達率は2~3割ほどであり、その多くは単身者向けのマンション。再配達件数が多く、ドライバーの負担が大きい。
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国土交通省の調査によると、再配達率の全国平均は11.4%。単身世帯が多い都市部でも12.6%となっている。川口市における再配達率は2~3割とのことで、平均よりも高いことがわかる。

このような背景を踏まえ、再配達件数の減少、および路上駐車の減少を目指し、他の自治体に先立って宅配ボックス設置の義務化を進めることにしたという。

■江戸川区ではすでに条例が施行

2023年11月末、市は条例の改正案を議会に提出、同定例会で可決された。同年12月25日より公布されており、2024年4月1日に施行となる。

施行日以降にワンルーム条例の手続きが開始された物件は、宅配ボックスの設置が義務化されるということだ。

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川口市ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例
第6条の2
建築主等は、ワンルームマンション等の建築に当たり、当該ワンルームマンション等の敷地内に、ワンルーム住戸の数に応じて必要な数の宅配ボックスを設けなければならない。
ただし、宅配トラック等の駐車又は停車による当該ワンルームマンション等の周辺の交通への支障を生ずるおそれが少ないと市長が認める場合は、この限りでない。
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上記の「建築主等」とは、建築主、設計者または工事施工者を指している。条例に反して宅配ボックスを設置しなかった場合は、市長より勧告・措置命令などをされる可能性もある。

また、宅配ボックスの必要数について、条例に具体的な記載はないが、4戸につき1つ程度を目安としているとの報道がされている。

なお、施行日以前に条例手続き中の物件や、すでに条例手続きが完了し、着工している物件などは対象外だ。

実は、条例で宅配ボックスの設置を義務化したのは、川口市が全国で2例目。川口市より先んじて義務化を行っていたのは東京都江東区で、条例は1月より施行されている。

住居の8割以上を集合住宅が占めているという江東区では、ワンルームに限らず、3階建て・10戸以上の新築マンションで設置を義務化。住戸数に対して1割以上の設置を求めている。

■設置はオーナー負担、助成は限定的

各地で宅配ボックスの設置が推進される一方で、所有者としては費用面が気になるところだ。

宅配ボックス設置費用は、基本的に所有者負担となる。今後、江東区や川口市のような設置の義務化が進むと考えられる中で、これからマンションを建てるオーナーにとっては悩ましい問題になりそうだ。

宅配ボックスの設置費用は、種類やサイズ、機能によって変わってくる。

10ボックス程度にかかる大まかな費用の目安としては、ダイヤル式(ダイヤル錠・ボタン錠、電気配線工事不要)の宅配ボックスで40万~60万円、電子式(タッチパネル・カードキー、電気配線工事必要)の宅配ボックスで80万~100万円ほどが目安とされる。

国土交通省は、宅配ボックス設置の支援策(補助金)を行っているものの、その対象となる物件はいまだ限定的。設置費用を家賃に転嫁することで、実質的に賃借人が負担するものとすると考え方が強い。

東京都荒川区など、自治体によっては宅配ボックスの設置費用に対する助成を行っているところもあるが、いずれも条件や上限額が設けられており、設置の補助は十分とは言えない状況にある。

宅配ボックスの設置費用は決して小さな負担ではないが、「2024年問題」などの事情を踏まえると、宅配ボックス設置の必要性は各地で高まっていくものと考えられる。

国や各自治体の助成など視野に入れつつ、設置を検討せざるを得ない局面になってきているのかもしれない。



ECサイトの普及や「2024年問題」は、もはや止めることができない状況にある。宅配ボックス設置義務化の動きも、今後全国的な広がりを見せる可能性がある。

オーナーにとっては費用面での懸念が残るところだが、宅配ボックスの設置によって、再配達件数の減少に寄与できるほか、入居者の満足度向上も期待できる。

江東区や川口市の取り組みをきっかけに、いま一度、宅配ボックスの必要性について考えてみても良いかもしれない。

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最終更新:3/2(土) 19:00

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