鈴木財務相、円相場は「金利差だけで決まるわけではない」-共同会見

4/19 6:39 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 鈴木俊一財務相は18日、日米の金利差は円相場を下押しする多くの要因の一つに過ぎないとの認識を示した。円は対ドルで約34年ぶりの安値水準で推移している。

鈴木財務相は米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、「為替水準は金利差だけで決まるわけではない」と発言。経済状況や市場参加者のセンチメント、投機など「さまざまなことが要因になっている」とし、「金利差だけが今の水準をつくっているわけではないと思う」と述べた。

為替はG20の議題にはなかったので発言はしなかったとした上で、ワシントン滞在中の他の機会を使って、日本政府として為替に関し緊密なコミュニケーションを取ることを複数の国と確認できたと説明した。

今年2月に開かれたブラジルG20の議長総括では、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する」という2021年4月のG20声明の為替に関するコミットメントを再確認していた。

外国為替市場では円安が進み、16日に一時1ドル=154円79銭と約34年ぶり安値を更新。17日に開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明で為替の過度な変動は経済に悪影響を与えるとしたコミットメントが再確認され、市場では為替介入への警戒感が高まっている。

G7が「過度な為替の変動は経済に悪影響」との認識を声明で再確認

G7共同声明には、17年5月の為替相場に関するコミットメントを再確認するとの一文が加わった。神田真人財務官は会議終了後、「日本の主張を踏まえ、為替を含む過去のG7における政策対応に関するコミットメントが再確認されている」と説明。7年前の声明に明記された「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与え得る」との認識が「肝となる」と語った。

G7に先立って開かれた日米韓財務相会合では、イエレン米財務長官が、自国通貨の急激な下落を巡る日本と韓国両国の懸念に留意する姿勢を示した。声明には「最近の急速な円安およびウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存のG20のコミットメントに沿って、外為市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」と明記された。

イエレン米財務長官、円安とウォン安への懸念に留意-初の日米韓会談

米経済の堅調さを背景に米金融当局による利下げ観測が後退する一方、日本銀行は急ピッチでの利上げはないことを示唆している。

今後は段階的利上げへ、ペース「かなりゆっくり」-野口日銀委員

鈴木財務相と共に記者会見に臨んだ日銀の植田和男総裁は、円安が輸入財の国内価格上昇を通じて日本のインフレに影響を与える可能性はあると発言。

それについて「無視できない大きさの影響が発生した場合には、金融政策の変更もあり得る」と述べた。最近の円安の動きについては、4月25、26日の金融政策決定会合で示す経済・物価情勢の展望(展望リポート)で取り上げることになると話した。

原題:Japan’s Suzuki Says Yen Set by ‘Various Factors’ Beyond Rate Gap(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

Bloomberg

関連ニュース

最終更新:4/19(金) 6:39

Bloomberg

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング