米3月雇用者数、予想上回る30.3万人増―失業率は3.8%に低下(1)

4/8 9:54 配信

ウエルスアドバイザー

<チェック・ポイント>
●賃金は前月比0.3%増、前年比4.1%増に鈍化―インフレ圧力緩和
 
●ヘルスケアとレジャー・接客業、建設業が急増―政府部門も増加
 
●先物市場、6月利下げ開始予想を7月以降に先送り
 
 
 
 
 米労働省が先週末(5日)発表した3月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比30万3000人の純増と、前月(2月)の27万人増(改定前27万5000人増)から2カ月連続で伸びが加速、23年1月(48万2000人増)以来、1年2カ月ぶりの高い伸びとなった。市場予想(20万-21万4000人増)も約1.5倍上回り、サプライズとなった。
 
 対照的に家計調査の失業率は3.8%と、前月(2月)の3.9%を下回った。市場予想と一致、1月の3.7%以来、2カ月ぶりの低水準となった。
 
 失業率が低下したのは、失業率の計算で分母にあたる、労働力人口が前月比46万9000人増と、2月の同15万人増を上回り、急増した一方で、失業者数が前月比2万9000人減と、2月の同33万4000人増のあと、急減したため。雇用者数も同49万8000人増と、2月の同18万4000人減から大幅増加となった。雇用急増は24歳以下の若年層の急増を反映した。25歳から54歳までの中核の雇用者数はやや減少したが、依然堅調で、全体的には雇用市場は良好を維持している。
 
 市場が注目していた、労働市場への参加の程度を示す労働者の市場参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は62.7%と、前月の62.5%から上昇した。市場参加率の上昇はインフレ圧力を弱め、雇用市場のタイト(ひっ迫)を示す。
 
 また、過去の1月と2月の雇用者数は計2万2000人の上方改定となった。
 
 3月の雇用統計の強い結果を受け、米債券市場では米経済の強さが確認されたとして、国債が売られ、債券価格と反対方向に動く利回りが急上昇した。政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標に敏感な2年国債利回りは統計発表後、4.71%と、前日終値比0.069ポイント上昇。10年国債利回りも約0.074ポイント上昇の4.382%と、いずれも3月15日以来の高水準に接近した。株式市場でも株価先物指数が下落した。市場では米経済の好調ぶりを受け、6月からの利下げサイクル開始が遅れるリスクが高まったと懸念している。
 
 また、金利先物市場では、FOMCが政策金利を変更する確率を示すCMEのFedWacthツールによると、次回5月1日会合での据え置き予想確率は98%超織り込んでいるものの、6月12日会合での0.25ポイントの利下げ開始の確率が前日の65.9%から57.1%に低下。7月31日会合での利下げ確率は74.8%(前日は80.7%)、9月18日会合の利下げ確率は91.8%となっており、利下げ開始は従来の6月予想から7月以降にずれ込んだ。
 
提供:ウエルスアドバイザー社
(イメージ写真提供:123RF)
 

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最終更新:4/8(月) 9:54

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