ブラックストーンCEO「日本で人員大幅増強」-業容拡大に意欲
(ブルームバーグ): 米投資会社ブラックストーン・グループのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は日本での事業拡大に意欲を示した。「日本は金融業界の人々にとって最も興味深い場所の一つとなっている」と述べ、人員は「大幅に増加する」との見通しを明らかにした。
シュワルツマン氏(77)が23日、ブルームバーグとのインタビューで述べた。具体的な増員数には触れなかった。日本の個人資産はアジアの中でも特に貯蓄の割合が高く開拓余地があると指摘。2025年早々にも個人向けインフラファンドの提供を開始し、同年はこれを含め、少なくとも3つの新商品を投入する計画という。
同社は21年に日本で個人向け事業に参入。低金利を背景に国内で資金運用難の環境が続く中、2月末に投入した個人向けプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドは好調だ。9月末時点の残高は13億8572万ドル(約2100億円)となった。機関投資家向けの商品を個人が買いやすいよう、ある程度流動性のある公募ファンドとして組成している。
日本では政府の「資産運用立国」戦略で個人の投資が奨励される中、オルタナティブ(代替)資産が組み込まれた金融商品の販売競争が激化しつつある。
楽天証券の篠田尚子ファンドアナリストは、これらの個人向けファンドについて「富裕層、準富裕層の奪い合いが始まっている」と分析。投資家の選択肢は増えるが、「ある分野で競争が激しくなると独自性を出すために商品性が複雑になる」とし、販売面などで改めて投資家保護の意識が問われるとの認識を示した。
また、シュワルツマン氏は日本について株高、低金利で事業環境が良く「ここに焦点を当て、人員を増やす理由はたくさんある」と述べた。同社のジョン・グレイ社長は9月、今後3年で日本の不動産と企業向けに約200億ドル(約2兆8700億円)を投資する見通しを示していた。
大統領選
一方、2週間後に迫った米国大統領選挙に関連してシュワルツマン氏は、共和党のドナルド・トランプ氏、民主党のカマラ・ハリス氏のどちらが勝利しても米国に景気後退のリスクはないとの見方を示した。
楽観的な見通しの理由として、米経済が非常に好調な上、両候補ともに多くの景気刺激策を表明していることを挙げた。一方で、双方が対抗して毎日のように新たな政策を表明しており、大統領就任後にそれぞれが実際に何をするかを現時点で予測するのは不可能だとも述べた。
11月5日に投開票される米大統領選は、今年から来年にかけての世界市場と経済に最も大きな影響を与えるイベントの一つとして注目を集めている。トランプ氏は大規模な追加関税、ハリス氏はインフレに苦しむ中間層支援策など、両候補が掲げる政策の力点は全く異なる。
シュワルツマン氏は、仮に民主党政権になった場合、これまでの歴史を見ると経済分野での規制に積極的であるため、PE業界の取引に影響を与える可能性があると述べた。同氏は今年5月、米国の経済、移民、外交政策が「誤った方向に向かっている」との懸念からトランプ氏支持を表明していた。
グローバルな投資環境について、シュワルツマン氏は、日本やインド、オーストラリアでは案件が今後も活況を呈するだろうと述べた。欧州は先進国の中で最も経済成長が鈍化する可能性が高いものの、それでもチャンスはあると付け加えた。
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最終更新:10/23(水) 16:36