取引先への「手土産に悩む」時に意識すべき鉄則 高級果物より1000円の歯磨きジェルが喜ばれる

3/17 12:02 配信

東洋経済オンライン

ビジネス相手に渡す手土産を探して、デパ地下やオンラインショップを右往左往した経験のある人は、少なくないのではないでしょうか。セクレタリーズ アドバイザーの渡邉華織氏に、喜ばれる贈り物を選ぶコツを解説してもらいます。
※本稿は『好かれる人のさり気ない気配り100式』から一部抜粋・再構成したものです。

■印象に残る手土産の選び方

 何か手土産や贈答品を渡すときは、「その人ならでは」のものを選んでみてはどうでしょう。

 お料理が趣味の方なら調味料や調理グッズ。出張が多い方なら便利な旅行グッズ。小さいお子様がいらっしゃる方には、ご家族で楽しめるもの。あるいは、いつも身に着けているブランドで定番や最新の小物。先方の会社のコーポレートカラーのものなどです。

 このようなものを選べるのは、日ごろからその人のことをよく観察しているからこそ。もし自分がこういうプレゼントをもらったら、「ああ、自分のことをわかってくれているんだ」とうれしく思うのではないでしょうか。

 なお、50〜60代の人になると、同じような心づかいを過去に何度も経験しているのであまり驚きがありません。そこで私なら、まったく違う路線で攻めてみます。

 「これ、今、流行なんですよ」「20代、30代の人のトレンドなんですよ」という先方が知らなそうな、珍しいと思ってもらえそうなものを選んでみる。

 もちろん若者に詳しい50代、60代もいますが、多くの方は今の若い人たちのトレンドには通じていないことが多い。先方の会社のサービスやものづくりに直接役に立つことはなくても、少なくとも話のネタになるでしょう。

 「今、これバズってるんです」「すごく話題で、並ばないと買えないんですよ」という説明から、会話が弾むことも往々にしてあります。

 一昔前は手土産を渡すとき、「つまらないものですが」と言って渡すのが決まり文句のようになっていました。

 でも最近は、「あなたのことを思って、こういう理由でこれをご用意しました」というように、なぜそれを選んだかという「理由」を一言加えることが多くなりました。そのほうが、より気づかいが伝わるからではないでしょうか。

■高級すぎる手土産は相手に負担をかける

 私たち秘書が厳選した手土産の名品を紹介する『接待の手土産』というサイトがあります。このサイトをつくって初めて知ったのが、接待の手土産についての誤解でした。「接待の手土産というのは、偉い人が偉い人に渡すものだから、高級なものに違いない」と思われていたのです。

 実は接待の手土産は、3000〜5000円がボリュームゾーン。ところがサイトがスタートした当初、掲載を希望してエントリーしてくる商品は10万円もするワインや、桐箱に入ったフルーツみたいなものばかりだったのです。

 しかしどんなトップ企業の社長であっても、口に入れる食べ物・飲み物で単価が1万円を超える手土産を贈ることはほとんどありません。もし1万円以上だとすれば、栄転や昇格などの記念に、少し名の知れたワインを贈るようなとき。

 だから手土産にしろ、会食の場所にしろ、自分が用意するときは、金額的に無理をすることはありません。会社の経費ならまだしも、自腹を切る場合は特にそうです。でないと逆にいただいた側はすごく恐縮してしまうし、居心地が悪くなってしまう。

 それに「高級すぎて自分では食べたこともないけれど、高いものだからいいだろう」というものは、渡すときの説明もどこかそらぞらしい。

 何のために手土産を持っていくかといえば、「思い」を伝えるためです。

 何を思ってそれを用意したかがいちばん重要なのであって、値段やお店のブランドは二の次。もらった相手が喜ぶかどうかがポイントです。したがって、もらったほうが、「こんな高そうなものもらっちゃった。なんだか無理させちゃったな。かえって悪かったな」と負担に感じるようでは本末転倒なのです。

 でも自分が食べておいしかったものであれば、「いや、これは〇〇さんのお口に合うかどうかわからないけれど、僕は近所の和菓子屋さんの豆大福がすごく好きで、これを〇〇さんにも食べてもらいたかったのでお持ちしました」と言える。そのほうが、よっぽど気持ちが伝わると思います。

■食べ物以外も検討してみる

 手土産やお中元・お歳暮といえば食べ物中心ですが、それ以外にもおすすめはたくさんあります。

 例えばタオルやハンカチは、もらったほうもあまり負担になりません。

 ある程度の予算がある場合は普段自分では買わないような、ワンランク上の靴下や折りたたみ傘もいいでしょう。

 ゴルフが好きな人には、ゴルフボールやゴルフマーカー(自分のボールの代わりに、芝の上に置いておく目印)などのゴルフ用品も定番。

 私がよく用意したのは、ユニセックスな香りのシャンプーやボディーソープなどのアメニティグッズです。食べ物と同じく消耗品なので、身に着けるものやインテリア用品と違い、好みがうるさい人にも喜んで受け取ってもらえますし、家族構成なども気にせずに済みます。

 海外や遠方の方には、その土地でしか手に入らない名産品や伝統工芸品もおすすめ。今はどこの伝統工芸品でも現代風にアレンジされた、おしゃれなものがたくさんあります。

 こんなふうに考えてみると、食べ物以外を贈るほうがいいときもあることに気づくのではないでしょうか。

 これは贈り物の鉄則ですが、「生活必需品だけれども、自分では買わない高級品」は間違いなく喜ばれます。最近のヒットは「歯磨きジェル」でした。

 ホテルオークラのスイートルームだけにアメニティとして置いてある「木曽檜歯磨きジェル」をご存じでしょうか。小さいサイズは1000円ぐらい、それより少し大きいプッシュ式は2000円ぐらい。多くの方から、「これはいい」と言ってもらえました。

 この歯磨きジェルが素晴らしいのは、健康にいいというエビデンスがあるところ。なおかつ「オークラのスイートルームにしか置いていない」というストーリーも心をくすぐります。たった1000円でその歯磨きジェルが買えるのですから、手土産とか贈り物とかいうのは本当に金額ではありません。決め手は日頃から情報収集をしているかどうか。自分なりの情報収集をして、面白いものを用意したほうが喜ばれると思います。

■タブーには一応留意する

 「ハンカチは涙を拭くものだから、人に贈るのは縁起がよくない」

 「入院している人へのお見舞いに花を持っていくとき、鉢植えの花はNG。寝つく(根つく)に通じるから、病気の快復が遅れる」

 こんな言い伝えは初めて聞いた、という人もいるのではないかと思います。

 このようなタブー(禁忌)に科学的根拠はありません。むしろ贈ってはNGとされるものでも、場合によっては喜ばれることもあります。

 入院している人にとっては、切り花よりも鉢植えのほうが花瓶の水を替えなくて済むので便利ではないかと思いますし、ハンカチは値段も手頃だし、何枚あってもうれしい。私も普段、仲のいい人には普通にハンカチを贈っています。

 ほかにも、

 「目上の人に靴や靴下を贈るのは、『踏みつける』『見下す』という意味になるので失礼にあたる」

 「結婚のお祝いに、ハサミや包丁(切れる)、ガラス製品(壊れる)はタブー」

 などと言われていますが、中には「それって、こじつけでは……」と思うようなものがなきにしもあらず。

 でもこういう習わしとか古いルールのようなものは、一応頭の片隅に入れておいたほうがいいでしょう。

 例えばご年配の方で、大安や仏滅などの六曜を気にしている方や、古くからのルールを重んじて行動している方には、ルールを守っておいたほうが失礼になりません。やはり「念には念を」です。

 「接待 手土産」「入院 お見舞い」などのワードで検索すると、いろいろなコンテンツが出てきて、基本的なおすすめ品や、避けるべきものがわかると思います。最初のうちはそれに沿った無難なものを贈るといいでしょう。

東洋経済オンライン

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最終更新:3/19(水) 0:51

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