あなたの資料、「カッコイイけど内容はペラペラ」と言われていませんか?中身勝負の≪筋肉質な資料の作り方≫を凄腕ITコンサルが紹介
日々の仕事の中でつくる資料、あなたはどのくらい「視覚的効果」を意識していますか? 仕事ができない人の中には、グラフや表を入れすぎたり過剰に装飾したりする人が後を絶たないとITコンサルタントの江村出さんは指摘します。
資料の中身を深めないまま、見た目だけを工夫してしまっているため、時間ばかりかかる割に成果につながっていないというのです。
ここでは、江村さんの新刊『仕事を上手に圧縮する方法 仕事時間を1/5にして圧倒的な成果を上げたITコンサル流 仕事の基本』から紹介します。
■「資料の見た目」は最後のおまけ
みなさんは普段、パワポの資料をどれくらい丁寧に作成していますか? グラフを配置して見やすくしたり、オブジェクトの配置を整えたり、グラデーションを使ったきれいな体裁に整えたりすることに、多くの時間を使ってはいないでしょうか?
細かいところに凝って資料をつくると見た目がよくなり、質の高いアウトプットが出ているように思えます。しかし、あなたがより早く、より高い成果を出したいと思うならば、まずは見た目のこだわりを捨てるところから始めるべきです。
例えば「コストカットのために人員を削減する」という方針が書かれたスライドはいかがでしょうか。これは、どの企業においてもごく当たり前のことですよね。「具体的には?」「どの部署の?」「何人くらい?」「いつまでに?」という中身がなければ、どれだけ丁寧にカッコイイ資料に仕上げたとしても、ペラペラな内容であることを相手には一瞬で見抜かれてしまうものです。
仕事がデキる人は、資料もたいていカッコイイから、自分もやってみようと思いがちですが、デキる人たちは最後の最後にお化粧さながらにカッコよく仕上げているだけなのです。
最初は体裁も整えず、グラフや図も使わず、無機質で構いません。まずは「中身」にこだわって資料をつくることから始めてみましょう。
■中身で勝負するための3つの秘訣
資料も見た目も文章も結局は中身が重要、ということは、これまでお伝えしてきた通りです。それでは、仕事において「中身で勝負する」とは、どういうことなのでしょうか。ここでは、中身で勝負するための基本的な実践方法をお伝えします。
【実践①】直球でいきなり会話しよう
メールやチャットを送っても、なかなか返事が来ないことはありませんか? そのようなときに、もし職場で相手とバッタリ会ったなら、挨拶(あいさつ)はほどほどにして、直球で話しかけましょう。
「あ、お疲れさまです、〇〇の件ですけど……」
いきなり本題を切り出すとびっくりされるかもしれませんが、それも一瞬です。相手もすぐに頭を切り替えて応対してくれ、素早く会話が終わるでしょう。忙しい人と話すときこそできる限り直球で会話するほうが、お互いにとって時間の節約になり、むしろ喜ばれるはずです。
こうした直球勝負は、とにかく短期間で成果を出すことが求められるITコンサルの場合には好まれる方法です。ハッキリと言う傾向にあるので、特に他業種の人からは「冷たい人だな」「無遠慮な人だな」などと思われることもあるようですが、それだけで評価が落ちるということはありません。
丁寧で体裁がきちんと整っていることよりも、中身がしっかり考え抜かれているほうが、信頼も勝ち取れるものなのです。
■実力不足のときに印象を気にしている場合ではない
【実践②】「印象のよさ」よりも「成果を出せる人」であることを重視する
仕事の中には、自分の実力ではまったく歯が立たないものもあります。私もこの仕事に就いて約20年になりますが、いまだに多く遭遇します。
このように、自分の持っている知識やスキルでは成果を出せない状況ならば、誰かに聞くしかありません。
「こんなことを聞いたら、相手にどう思われるかな?」
「質問が多くてうんざりされているかな?」
「初歩的なことを聞かれていると思われないかな?」
「せっかちだと思われてしまわないかな?」
などの印象(見た目)を気にしている場合ではないのです。
急いでいるのに返信がなければ「お忙しいと思いますが返信いただけるとうれしいです」などと添えて、しつこくリマインドするべきです。切羽詰まっているのであれば、成果を出すために嫌がられることを気にせず、なりふり構わずにどんどん聞きましょう。必死な気持ちを伝え続ければ、必ず聞いてくれるはずです。
【実践③】文章はできるだけ箇条書きで書く
みなさんは、長い文章を丁寧に書くのに四苦八苦していないでしょうか。メールも資料も、文章ひとつ組み立てるだけでもけっこう骨が折れる作業です。主語・述語の対応に注意しながら、文末もですます調に統一しなければなりません。接続詞を使う場合は、文章同士の整合性を確認しなければなりません。文章が長くなると、書いている自分でも何を言いたいかわからなくなることさえあります。
こうして礼儀を重んじて苦労してつくった文章も、長ければ長いほど、読むほうは頭を使わなければなりません。
結果として、長い文章は、「書くほうもつらい・読むほうもつらい」ということになりがちです。
■文章ならではの難しさを解消する2つのワザ
この、文章ならではの難しさを解消するためにITコンサルが駆使しているのが、
・箇条書き
・体言止め
です。この2つのワザを使うことで、最低限の言葉で情報を伝えられるようになるため、手間も時間も省略することができます。
例えば、人事部に配属されたあなたが、新たな取り組みの案をリーダーにレビューしてもらうとして、この2つのワザを駆使して書くと次のようになります。
資料の骨子についてコメントをいただけますか?
【課題】離職率の増加(ⅩⅩ%増)
【対策】タレントマネジメントシステムの導入
①スキル可視化→配属の見直し、②モデルケース定義→個人目標の明確化
このメールで言いたいのは、「離職率が増加しているので、システムを活用することで社員の満足度を上げていこうという試み」の提案ですね。具体的には、「社員一人ひとりのスキルと、配属先に求められるスキルを可視化することで、スキルのミスマッチを防ぐ手立てとする」ということです。さらに、「モデルケース定義」とあることから、「社員が将来、どのような人物像を目指すといいかというイメージが明確になり、仕事に対するモチベーションを上げる」という効果が期待されます。
箇条書きの少ない文字からでも、ここまでの内容を読み解くことができるのです。そう考えると、長い文章を、時間をかけてつくるのはもったいないと思いませんか? 文章もきれいで丁寧な「見た目」よりも、筋肉質で要点のみを凝縮した「中身」にこだわるほうが、はるかに短時間でアウトプットを出せるはずです。
東洋経済オンライン
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最終更新:4/13(日) 15:02