ノーベル賞の発表迫る、お家芸の物理学は?
ノーベル物理学賞には2000年代、10年代にそれぞれ4人の日本出身者に輝いているだけに、20年代もその期待は大きく、既に21年にプリンストン大学・上席研究員の真鍋淑郎氏(国籍は米国)が同賞を獲得している。
<鉄系超伝導の細野氏ら有力>
ノーベル物理学賞は1949年の湯川秀樹氏を皮切りに、これまでに12人の日本人(および日本出身の)科学者が授与されている。これは化学賞の8人、生理学・医学賞の5人を上回る最多の数で、量子物理学のほか、青色発光ダイオードの発明といった実用領域でもその成果が評価されてきた。
今後の候補者としては、化学分野でも取り上げた、「六方晶窒化ホウ素(h-BN)」の高純度化技術を開発した物質・材料研究機構(NIMS)の谷口尚氏と渡辺賢司氏(関連株は9月23日付「ノーベル賞の発表迫る、化学部門は期待大!」参照)のほか、さまざまな電子機器を支える「ネオジム磁石」の発明者の佐川真人氏(同)らが知られる。
東京科学大学(東京工業大と東京医科歯科大が統合)の細野秀雄栄誉教授も、長年の有力候補だ。細野氏は鉄系の材料を使った超伝導物質の発見や、化合物半導体の1つで、スマートフォンのディスプレーなどに使われる透明酸化物半導体の開発で人類に貢献した。
関連銘柄は超電導で古河電気工業 <5801> 、住友電気工業 <5802> 、フジクラ <5803> 、SWCC <5805> といった電線株のほか、絶縁材料の有沢製作所 <5208> 、電源でアドテック プラズマ テクノロジー <6668> などが浮上する。また、酸化物半導体の製造装置でアルバック <6728> も。
<カーボンナノチューブ、光格子時計も>
軽くて強く柔軟性を備えた微小物質「カーボンナノチューブ」の筒状構造を発見したのは、名城大学の飯島澄男終身教授。物理学賞のほか化学賞でも期待される。名城大は14年の赤崎勇氏、19年の吉野彰氏とノーベル受賞者を輩出している。関連株は日本ゼオン <4205> 、GSIクレオス <8101> や大阪ソーダ <4046> 、パーカーコーポレーション <9845> などだ。
このほか、ペロブスカイト型太陽電池の宮坂力・桐蔭横浜大学特任教授も物理学賞の候補とみる向きがある(本紙は化学分野で紹介)。また、超高精度で時間を計れる「光格子時計」で東京大学・香取秀俊教授も有力。銘柄は中核のNTT <9432> のほか、光学モジュールでシグマ光機 <7713> も面白い存在だ。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:10/7(月) 13:33