MUFG株が14年半ぶりPBR1倍回復、3メガ銀でいち早く復帰

3/5 10:49 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の株価純資産倍率(PBR)が5日、1倍を回復した。ブルームバーグのデータによると終値ベースでの1倍回復は2009年8月以来、14年半ぶり。3メガバンクグループの中で解散価値とされるPBR1倍の復帰をいち早く果たした。

MUFGの株価は前日比1.8%高の1596.5円で取引を終え、23年12月末の1株当たり純資産(BPS)である1589.9円を上回った。終値ベースでは06年9月以来の高値となった。

同日発表された東京都区部の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が2カ月ぶりに日本銀行が目標とする2%を超えたことで、マイナス金利政策の早期解除を後押しするとの見方から、MUFGなど銀行株には収益改善を期待した買いが入った。

PBRが1倍を下回っていると、理論上は株式価値よりも解散価値の方が高いことを意味する。東京証券取引所が昨年3月、PBR1倍割れ企業に対し改善に向けた取り組みの開示を求めたことで、市場関係者からの注目も高まった。

地方銀行なども含めたTOPIXの銀行セクターを構成する78銘柄のうちPBRが1倍を上回るのは楽天銀行とセブン銀行に次いで3社目。大手金融機関では大和証券グループ本社が今年1月に1倍を回復している。

MUFGの業績は貸出業務など本業が好調な上、円安・ドル高の為替要因も海外収益を押し上げ、23年4-12月期(第3四半期累計)の連結純利益は1兆2979億円と同期としての過去最高を更新。今期(24年3月期)は1兆3000億円と最高益を見込む。日銀がマイナス金利政策を解除すれば業績の押し上げにつながるとの期待もある。

S&Pグローバル・レーティングの吉沢亮二マネジングディレクターは「MUFGは日本のメガバンクの中でも国際展開が進んでおり、収益性が高いことが評価できる」と分析。マイナス金利政策の解除については「政策金利が上がることは銀行にとってプラスとマイナスの両面があるものの、大手銀行にとってはプラスの面が大きく、自己資本利益率(ROE)の向上期待がある」と述べた。

MUFGはこれまでの投資家向け決算説明会で、低PBRはROEが資本コストを下回っているためだと説明。ROEの改善を通じ、株主価値の持続的な向上を目指すとしてきた。今期のROE目標を7.5%、中長期目標として9-10%を掲げる。

ただ、今期純利益で過去最高益の更新を見込むとはいえ、米銀と比べた利益やROEの水準では劣る。最大手JPモルガン・チェースの23年12月通期の純利益は496億ドル(約7兆4000億円)、ROEは16.9%で足元のPBRは1.8倍弱の水準で推移している。

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最終更新:3/5(火) 15:14

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