中国ファーウェイ、研究コンペ通じ米大学の最先端研究に資金提供

5/2 19:15 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米政府が禁輸措置の対象としている中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)がワシントンに本部を置く米財団を通じハーバード大学を含む米国の大学での最先端研究に資金を秘密裏に提供している。

非公開の文書や事情に詳しい関係者の話によれば、オプティカ財団が運営している研究コンペティションの一つで、ファーウェイは唯一の資金提供者となっている。このコンペは2022年に始まり、すでに数百万ドルの賞金が出され、世界中の科学者から数百の提案を集めている。

オプティカ財団は非営利の専門家団体オプティカの1部門。オプティカのメンバーは光に関係する研究を通じ通信や生体診断、レーザーなどのテクノロジーを支えている。

ブルームバーグが検証した非公開の文書には、オプティカ財団はこのコンペの「資金源またはプログラムスポンサーとしてファーウェイを指定することを義務付けられるべきではない」と記されている。「この契約の存在と内容に加え、両当事者間の関係も極秘情報と見なされなければならない」との記述もあった。

米政府はファーウェイの技術が中国政府のスパイ活動に利用されるのではないかと懸念し、同社に対し数年にわたり多くの規制を課している。ただ、今回明らかになったことが示唆しているのは、そうした取り組みにもかかわらず、ファーウェイが国際的な研究の最前線に引き続きとどまっているという実態だ。

複数のコンペ応募者や大学関係者、そしてコンペ審査員の1人は、ブルームバーグの記者から問い合わせを受けるまでファーウェイがこのプログラムに資金を提供していることは知らなかったと語った。

ブルームバーグの取材に応じたある応募者グループは、資金の提供元は外国企業ではなくオプティカ財団だと考えていたと答えた。

年100万ドル

オプティカ財団のウェブサイトには、「Early Career Prizes & Fellowships」として11件の応募要項が掲載され、ファーウェイが資金を提供しているコンペ以外は全ての個人や企業の資金提供者が記載されている。同社がスポンサーとなっているコンペの賞金は年100万ドル(約1億5500万円)で、同サイトで次に高額な年間賞金の20倍だ。

ファーウェイの広報担当によると、同社とオプティカ財団はグローバルな研究を支援し、学術交流を促進するためにこのコンペを創設。同広報担当はまた、コンペが宣伝と見なされないようにするためファーウェイの社名は非公開にされ、悪意はなかったと説明した。

オプティカのリズ・ローガン最高経営責任者(CEO)は財団の寄付者には「米国の寄付者も含め匿名希望もある」とし、「この慣習は何ら不自然ではない」と発表文でコメント。

ファーウェイの寄付は外部の法律顧問によって検証され、財団理事会の承認を得ているとする同CEOは、「オプティカ財団理事会とオプティカ理事会およびスタッフとの間で、財団プログラムの資金提供や支援について完全に透明性を保っている」と主張した。

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原題:Huawei Secretly Backs US Research, Awarding Millions in Prizes(抜粋)

--取材協力:Siuming Ho.

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:5/2(木) 19:15

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