新日本酒紀行「こんにちは 料理酒」

4/22 16:02 配信

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● プロが絶賛!地元の酒米でうま味豊かに極めた最上の料理酒

 料理人から圧倒的な支持を得る「こんにちは料理酒」は、大木代吉本店の代表作だ。創業は1865年で、初代代吉さんが醤油蔵から分家し、福島県西白河郡矢吹町で開業。町は江戸時代に奥州街道の宿場として栄え、明治時代に宮内省の御猟場が設置された。猟に訪れた朝香宮が2代目代吉さんの酒を気に入り、随行した雅楽師の「酒造りも楽器を奏でることも、神様へのささげ物」の言葉から「楽器正宗」と命名。1974年、後の4代目、一也さんは農薬不使用の米で純米酒「自然郷」を醸し、その酒を基にアミノ酸量が3倍以上の無添加料理酒を開発。すると、料理人や食品加工業者、自然食品店が大注目。

 2007年に、息子の雄太さんが父の思いを継いで5代目に就任したが、11年の東日本大震災で、15棟あった蔵の8棟が全壊。蔵人も被災し、雄太さんは自ら杜氏になると決意。県の清酒アカデミーに通い、酒蔵を巡り、高い酒質を目指して蔵を再建した。改善を繰り返し、16年に県開発の酒米、夢の香で、清らかな甘味と酸味が調和する「楽器正宗」を世に送り出す。国内外の日本酒評価会で上位に受賞し、高評価を受けて人気酒に。雄太さんは休耕田の復活にも尽力し、6反の圃場で夢の香を育む。また「酵母ではなく、原料から香りを表現したい」と、低グルテリン米やホップを加えた酒にも挑戦。料理酒も環境保全型の夢の香を使ってプレミアム版を開発した。自然を守り、醸造文化を次世代へと、さらなるおいしさを目指す。

 (酒食ジャーナリスト 山本洋子)

 ※週刊ダイヤモンド2024年4月20日号より転載

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最終更新:4/22(月) 16:02

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