株式週間展望:日経平均、イベント通過で4万円値固めへ
日経平均予想レンジ:3万9300-4万700円
今週の日本株相場はトランプ米大統領就任を経て、日経平均株価が水準を切り上げる展開となった。週末24日の日銀による利上げは予定調和の決定。会見で植田総裁は「経済・物価情勢の展望が実現すれば、それに応じて政策金利を引き上げる」と述べるにとどまり、市場の目は再びホワイトハウスの動向に注がれそうだ。また、来週は国内外の主要企業の決算発表も相次ぐため、業績相場の様相を呈する可能性がある。
<「ハネムーン期間」の値動きは?>
トランプ大統領をめぐっては、各国への強硬な関税政策に踏み切ることが就任前から警戒されていた。しかし、これまではライトなスタンスが目立ち、カナダ、メキシコへの即時の25%課税を見送った。また、対中関税に関しても、日本時間24日午前に「できれば使いたくない」とする米メディアでの発言が伝わっている。
今後も取引材料として貿易相手国への高関税による制裁をちらつかせる可能性はあるものの、マーケットは第1次政権時に特徴的だった、トランプ大統領の株価重視の性格を思い出しつつある。企業もこれを盛り立て、ソフトバンクグループ <9984> などが米国でのAI(人工知能)への巨額投資を発表するなど、まさに祝儀相場になっている。
政権交代後の100日間は一般的に「ハネムーン期間」と呼ばれ、メディアや国民は政府に好意的な態度を取る傾向が強い。市場も強気になりやすく、実際に1981年以降の米大統領就任(連続再選を除く)後の100日間で、S&P500指数は7回中5回値上がりしている。平均の騰落率はプラス3%だった。
一方、日本株はこの期間の勝率がTOPIX(東証株価指数)で6勝1敗とより高く、平均では7%上昇している。しかし、81年以降でただ一度の負けはトランプ大統領の前回の就任時である17年(マイナス0.1%)だった点は留意する必要がある。
<日銀追加利上げはまだ先か>
24日の日銀の金融政策決定会合では、6カ月ぶりの利上げが打ち出された。その後やや円高が進み、前場に300円超上げる場面のあった日経平均が後場はマイナス圏に転じた。
もっとも、1月利上げは繰り返し示唆されていたため、この結果そのものに驚く市場関係者はいなかった。引け後の会見で植田総裁は、賃上げ動向への手応えを述べつつも、先行きの経済・物価次第で金融緩和度合いを調整するという基本姿勢は変えていない。日銀は今回、物価見通しについて24年度を2.7%(従来2.5%)、25年度を2.4%(同1.9%)に引き上げた。
来週は28-29日にFOMC(米連邦公開市場委員会)があり、こちらは政策金利の据え置きが見込まれている。トランプ大統領が利下げ圧力を掛けているためサプライズがあり得なくないものの、やはり直近のインフレ再燃の兆しを踏まえると踏み切りにくいだろう。
また、企業の決算発表も本格化する。海外では来週、29日に出るオランダの露光装置メーカーのASMLホールディングが注目される。同社の受注動向は、半導体の先端投資の指標となる。前週の台湾TSMCのように良好な業況を示せれば、セクター全体への追い風となる。
このほか、米国ではマイクロソフトやメタプラットフォームズ、アップル、キャタピラーなどの決算が控える。日本は27日にファナック <6954> 、29日に信越化学工業 <4063> といった試金石が待ち受ける。日経平均はイベント通過後の余勢を駆り、4万円台での値固めが期待される。予想レンジは3万9300-4万700円とする。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:1/24(金) 17:21