プーチン氏が国防相に技術官僚起用、戦時体制強化狙う-長期戦見据え

5/14 0:04 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): ロシアのプーチン大統領が12日遅くに発表した国防・安全保障チームの突然の人事刷新は、西側との長く激しい戦いに備えて、経済的にも戦時体制を強化しようという同大統領の決意がうかがえる。

プーチン大統領が新たな国防相に指名したのは、ベロウソフ第1副首相(65)だ。2012年から国防相を務めてきたショイグ氏(68)は安全保障会議書記に就任する。プーチン氏の長年の盟友で安全保障会議書記の地位にあったニコライ・パトルシェフ氏は解任され、別の職務に就くとされたが、具体的には明らかにされていない。

ロシアのプーチン大統領、国防相と安全保障会議書記を刷新

ベロウソフ氏はプーチン氏の元経済補佐官で、経済に対する国家管理の強化が持論だ。政治コンサルティング会社R・ポリティクの創設者、タチアナ・スタノバヤ氏はテレグラムで、ベロウソフ氏は「軍の指導力」を期待されて起用されたのではないと指摘。ソ連時代の国家計画体制を軍産複合体に導入することがプーチン氏の意図だろうとの見解を示した。

プーチン氏がベロウソフ氏を起用したのは同氏が歴史に詳しく、1960年代の米国で国防長官だったロバート・マクナマラ氏の例が念頭にあったからでもあると、政府協議に詳しい関係者が匿名を条件に語った。

マクナマラ氏はベトナム戦争中のケネディ、ジョンソン両政権で国防長官を務め、効率性を高めるために軍の調達を全面的に見直した。

プーチン氏の最側近の一人であるショイグ氏の更迭は、ウクライナ侵攻を数日で終わらせることに失敗し、3年目に突入した戦争でロシア人兵士に数十万人の死傷者が出ていることへのいら立ちを反映しているのかもしれない。民間軍事会社ワグネルの指導者だったエフゲニー・プリゴジン氏は戦場で失敗続きなのはショイグ氏に責任があると非難し、同氏を標的に23年6月に反乱を起こした。

ロシアの戦略に詳しい関係者2人が語ったところによれば、プーチン氏はウクライナ東部ドンバス地方の完全掌握という最低限の戦争目標を達成する決意だ。

ショイグ氏と同じく、ベロウソフ氏にも軍の経験はない。ウクライナが欧米の支援国から数百億ドル規模の新たな軍事支援を受け始めたことで、ロシアは記録的に膨れ上がる軍事費の効果を最大限に引き上げるという課題に直面している。

インタファクス通信によると、ペスコフ大統領府報道官は13日、国防省と安全保障部門への政府支出は国内総生産(GDP)の6.7%に近づき、80年代の冷戦絶頂期にソ連が計上した水準に迫っていると述べた。

国防省の支出水準はまだ「危機的」ではないが、プーチン氏は「経済的競争力」の必要性からベロウソフ氏を起用したと、ペスコフ氏は説明した。

原題:Putin Turns to a Technocrat to Crank Up Russia’s War Machine(抜粋)

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最終更新:5/14(火) 0:04

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