9月に先行まちびらきへ、大阪の顔を作る「うめきたプロジェクト」2期《楽待新聞》

5/17 11:00 配信

不動産投資の楽待

JR大阪駅の北側、通称「うめきた地区」で大規模な再開発が進められている。独自性の高いまちづくりで「大阪の顔」となる都市空間の創出を目指しているようだ。

現在、約17ヘクタールにおよぶ広大な開発区域に公園や複合ビルなどの整備が進んでいる。エリアの先行まちびらきの日程が今年9月6日になることも決定した。

今回の記事では、この大阪中心地で行われている開発事業の全容と、今後の見通しについて紹介する。

■大規模ターミナル駅に隣接した開発区域

「うめきた地区」とは、旧梅田貨物駅にあたる約24ヘクタールの区域を指す。ここにはJR西日本、大阪メトロ、阪急電鉄、阪神電鉄の鉄道4社7駅が乗り入れ、1日約240万人が行きかう西日本最大のターミナルエリアとなっている。

このポテンシャルを生かし、国際競争力を高めていくための開発事業として、2002年より「うめきたプロジェクト」が始動した。開発区域は2つに分けられている。

先行開発区域(約7ヘクタール)は2004年に都市計画が決定し、2010年に工事着工。「グランフロント大阪」と名付けられ、2013年にまちびらきを迎えて以来、梅田の新たな顔として市民に親しまれてきた。

なお、JR西日本はうめきた地区の都市再開発に伴い、大阪駅に近接する新駅の整備を行った。こちらは当初「うめきた(大阪)地下駅」という名称だったが、既存の大阪駅と改札内連絡通路で行き来できるようにし「大阪駅(うめきたエリア)」として2023年3月に開業している。

さらに新しい改札口の整備が進んでおり、2024年9月に予定されている「うめきた2期」エリア(後述)の先行まちびらきに合わせて供用開始となる見通しだ。

また、うめきたプロジェクトから話は逸れるが、JR西日本は新しい路線となる「なにわ筋線」の整備も進めている。これは、新たに整備された大阪駅と難波駅を南北に結ぶ路線だ。

地下鉄中央線の西本町駅を経由し、西本町駅から難波駅までをつなぐ路線と、西本町駅から新今宮駅までをつなぐ路線に分かれる形となる。西本町駅から新今宮駅までの路線は南海電鉄が運営する予定。

なにわ筋線の整備が進められている理由の1つは、関西国際空港や新大阪駅へのアクセス向上を図ることだ。特に課題だった関西国際空港から都心へのアクセスについては、今後、鉄道と道路双方の整備により改善が進められることになるだろう。

■広大な公園と複数の高層ビルを整備

これまで、梅田は大阪都心の中心地であるにも関わらず、旧貨物駅の敷地が有効活用されていなかった。都心にふさわしい街として整備しようというのが「うめきたプロジェクト」の発端だ。

現在開発が進んでいるのは、広さ約17ヘクタールにおよぶ2期区域。2011~19年に都市計画決定を受け、2020年より民間工事が始まった。まちの名称は「グラングリーン大阪」である。

エリア中央を通る道路を境に、北街区と南地区に分かれている。両地区をまたぐように広大な「うめきた公園」が整備されるほか、それぞれの街区に分譲棟と賃貸棟が建設される。

分譲棟と賃貸棟の施工を担当するのは、うめきた2期共同企業体(竹中工務店・大林組)だ。

・北街区

北街区の分譲棟は、地上46階・総戸数484戸からなるタワーマンションである。敷地面積は約7320平米、延床面積は約7万2300平米。2025年12月下旬の完成、2026年3月下旬の引き渡しを予定している。

賃貸棟には、ホテル、店舗、中核機能としての会議室などが入る見込み。

ホテルには、ヒルトングループが運営する「キャノピーbyヒルトン」が入り、32平米を中心とする308室が設けられる。

中核機能(JAM BASE)には、公共団体の利用も想定した会議室・講義室からなるプラットフォーム施設、コワーキングスペース・交流スペースなどを有するイノベーション施設を整備する。

この賃貸棟は、2024年9月に他の再開発建物に先んじて開業する予定だ。

・南街区

南街区の分譲棟の詳細は未定だが、敷地面積が約5170平米、延床面積が約9万3000平米であることが公表されている。この規模を見るに、北街区よりも高層マンションなることが推察される。

賃貸棟(3棟構造)には、ホテル、オフィス、店舗が入る見込みだ。

ホテルは、ヒルトンが手掛ける「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」(50平米中心の252室)と、阪急阪神ホテルズが手掛ける「ホテル阪急グランレスパイア大阪」(23平米中心の482室)が入る。

総貸室面積が約11万3000平米にもなるオフィスは、西日本屈指の規模の大きさだ。カフェやコンビニ、ラウンジなどを備え、快適な環境を作り出す。駅の近さや大胆なレイアウトから、来客ビジネスへの優位性も誇る。

商業部分には、大型フードマーケットのほか都市型スパなどが入居する。都心の利便性と豊かな緑による開放感を兼ね備え、洗練された商空間を提供するという。

・うめきた公園

開発区域の中央に位置する「うめきた公園」は、JR大阪駅に直結し、それぞれの街区とシームレスにつながる。大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の規模(4万5000平米)だという。

公園内には、案内施設や大屋根イベントスペース、カフェ・レストラン施設を併設し、多くの人が快適に利用できるよう計画が進められている。



うめきた2期開発の特徴は、やはり大きな公園にあるだろう。東京で言えば日比谷公園や代々木公園など、都心の大規模公園自体は珍しいものではない。都心への人口集中が加速する現在、大阪都心の梅田にこのような開発がされることはどのような効果をもたらすのだろうか。

今後は、開発区域内の建物が続々と完成していく段階に移る。

2024年9月の先行まちびらきでは北街区賃貸棟、うめきた公園の一部などがオープン。続いて、2025年春ごろに南街区賃貸棟がオープン、同年12月下旬に北街区分譲棟の完成となる見込みだ。

2027年度の全体まちびらき後、うめきたエリアは大阪都市圏にとってどのような存在になるのだろうか。今後の都市開発のモデルケースとなりうる本開発事業の進捗には注目していきたいところだ。

朝霧瑛太/楽待新聞編集部

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最終更新:5/17(金) 11:00

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