ビットコイン上昇は終わり? 反落でも強気を保つべき理由

4/18 6:00 配信

CoinDesk Japan

暗号資産市場は週末に大きな打撃を受け、投資家センチメントはほんの数週間前のユーフォリア(陶酔感)な高みから一気に落ち込んだ。


ビットコイン(BTC)は4月16日に6万2000ドルを割り込み、7万3000ドルを超える直近の記録的な価格から15%超の下落。人気アルトコインのソラナ(SOL)、ペペコイン(PEPE)、dogwifha(WIF)は直近の高値から40%~50%の下落に見舞われた。


全面的な大幅下落にもかかわらず、そして価格がさらに冷え込んだり、しばらく横ばいで推移するとしても、暗号資産に強気な理由はまだいくつかある。

ビットコイン半減期の影響

ビットコインは今週後半に4回目の半減期を迎える。これはおよそ4年ごとに繰り返されるイベントで、新たに発行されるトークンの供給量(マイナーへの報酬)が半分になる。


歴史的に見ると、ビットコイン価格は半減期の時期にはあまり動かなかったが、半減期後には放物線を描いて上昇してきた。


「半減期に関しては、さらなる上昇の勢いはあまり期待できないと考えている」と、LMAXグループ(LMAX Group)のマーケットストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は述べ、「これは既知のイベントであり、市場によって十分に告知されてきた」と続けた。


しかし、より幅広い投資家層にビットコインを紹介することになるファイナンシャルアドバイザーやウェルスマネージャーに対して、ブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)のような伝統的金融大手がアメリカで上場しているビットコイン現物ETFの販売が強化され始めており、今回の半減期はビットコイン価格に追い風となるかもしれない。


「同時に、ビットコイン現物ETFが取引されている今は、幅広いオーディエンスの前で行われる初めてのビットコイン半減期であることを考慮すると、上昇の余地もあると考えている」とクルーガー氏は指摘し、以下のように続けた。


「したがって、今回の半減期では、投資家がビットコインに対して、より興奮することになるかもしれない。投資家はより深く掘り下げることを余儀なくされ、それがさらなるエクスポージャーを得たいという思いにつながるかもしれない」


ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は先週、ブラックロックが同社のビットコインファンド「IBIT」をブルームバーグのホームページで宣伝していると指摘した。

マクロの乱気流に抗う

ここ数週間、暗号資産市場の勢いは衰えたが、最終的に4月12日に反落のきっかけとなったのは、マクロイベントだった。


伝統的市場はイスラエルとイランの軍事的エスカレーションへの懸念の高まりで神経質になり、債券利回りと米ドルは、堅調な米経済のデータと粘着性の強いインフレへの懸念の高まりのなか、投資家が利下げの見込みを価格に織り込まなくなったことで急上昇した。


マクロアナリストでニュースレター『Crypto Is Macro Now』の筆者であるノエル・アチェソン氏は、S&P500の収益利回りが3カ月物および10年物米国債の利回りを下回っていることを指摘し、米国株のさらなる下落を予感させる可能性があると述べた。債券よりも株式を保有することのリスクの高さを埋め合わせるために、この関係は逆になるべきだとアチェソン氏は説明する。


「(株式市場が)急落すれば、ビットコインや他の暗号資産も一時的に打撃を受ける可能性がある」とアチェソン氏。しかし、「現在進行中の他のストーリー(価値の保存手段、半減期、通貨ヘッジ、新たなユースケース、普及の拡大)により、低レベルでの蓄積が促されるため、暗号資産の下落は短期間で終わるだろう」と続けた。


アチェソン氏によれば、最近リスク資産を圧迫している利回り上昇を緩和するような良いニュースが短期的に出る可能性はあるが、その可能性はあまり高くない。


「米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げが間近に迫っているとの主張に戻る可能性があり、そうなれば利回りの上昇を和らげるはずだ。私はこのような事態は想定していないが、もしそうなれば、リスク資産は好調に推移するだろう」と、アチェソン氏は語った。

レバレッジの一掃

デリバティブ市場における大規模な清算イベントは、しばしば資産価格の底を示し、過剰なレバレッジを一掃し、市場から陶酔感を洗い流す。暗号資産市場は、12日と13日を合わせて15億ドル(約2250億円、1ドル150円換算)以上の強気ポジションを清算し、極めて残酷なレバレッジ一掃に耐えた。


「現在、市場ははるかに健全化している」と、K33リサーチ(K33 Research)のシニアマーケットアナリスト、ヴェトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏は語り、「建玉も資金調達率も大幅に減少し、清算が連鎖する可能性が低くなった。このことは、ビットコインが6万ドル以上を堅持していることと合わせて、強力なシグナルだ」と続けた。


これらの出来事は、ビットコインが2万8000ドル~2万4000ドル近くまで急落し、すべての暗号資産で10億ドル近い清算が行われた昨年8月を彷彿とさせる。FTX破綻を受けた暴落以来最大の1日あたりの下落幅の後、10月に3万ドルを上回り、はるかに高い価格にブレイクアウトするまで、価格はほぼ2カ月間、非常に低調なレンジで推移した。

典型的な強気市場の引き戻し

ビットコインは3月に記録した史上最高値から16%下落しており、現在の下落は過去の強気相場の典型的な下落と一致している。


2016年から2017年、2020年から2021年の強気サイクルでは、高値を更新する前に20%から30%の引き戻しが複数回あった。「強気市場において、このような反落がいかに正常であるかを理解している人はほとんどいない」と暗号資産アナリストのOn-Chain CollegeはXの投稿で述べている。

If we compare the #Bitcoin ATH break in prior cycles, it could be argued that current Euphoria phase (market in price discovery) is still relatively young.

Previous Euphoria phases have seen numerous price drawdowns exceeding -10%, with the majority being much deeper, with 25%+… pic.twitter.com/gxGYfOnLBR


― glassnode (@glassnode) 2024年4月12日

以前のサイクルにおけるビットコインのATH(史上最高値)更新と比較すると、現在のユーフォリア期(価格発見相場)はまだ比較的若いとも言える。過去のユーフォリア局面では、10%を超える価格下落が何度も見られ、その大半はもっと深く、25%以上は当たり前だった。現在の市場では、ATHを更新して以来、10%以上の修正が2回あったに過ぎない...


ヘッジファンドのQCPキャピタル(QCP Capital)は16日、現在は神経質になっているにもかかわらず、2025年3月までの長期期限付きビットコインおよびイーサリアムのコールに対して一貫した大きな需要が引き続きあると述べ、市場参加者がまだ価格の上昇を期待していることを示していると指摘した。


|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Lieve Ransijn/ Unsplash|原文:Is the Bitcoin Rally Over? Reasons to Stay Bullish on BTC Despite Correction

CoinDesk Japan

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最終更新:4/18(木) 6:00

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