貯金が平均以上でも要注意?40歳代から70歳代の貯蓄「中央値」と「毎月4.2万円赤字」になる老後家計・年金生活の実態

5/4 15:16 配信

LIMO

5月に入り、目に鮮やかな新緑とさわやかな初夏の風が心地よい季節となりました。大型連休を利用して、これからの生活設計についてゆっくりと思いを巡らせている方も多いのではないでしょうか。

近年は物価上昇や将来の年金不安も重なり、老後への備えに対する関心は一段と高まっています。

しかし、実際の貯蓄額は世帯の形や年代によって大きく異なり、「平均額」だけでは実態を正しく把握することはできません。

本記事では、年代ごとの貯蓄額に注目し、「平均」と「中央値」の違いを世帯別に整理して解説します。

さらに、老後に対する不安の差が生まれる要因や年金生活の実態にも触れながら、自分に合った備えを考えるためのポイントを確認していきます。

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【年代別】単身世帯(おひとりさま)の「貯蓄額(平均・中央値)」はいくら?

まずは、金融経済教育推進機構の「2025年家計の金融行動に関する世論調査」を参考に、単身世帯の貯蓄状況を確認していきます。

●【40歳代】単身世帯(おひとりさま)の「平均貯蓄額と中央値」
 ・金融資産非保有:32.1%
 ・100万円未満:15.1%
 ・100~200万円未満:7.1%
 ・200~300万円未満:5.9%
 ・300~400万円未満:4.3%
 ・400~500万円未満:2.2%
 ・500~700万円未満:6.2%
 ・700~1000万円未満:4.6%
 ・1000~1500万円未満:6.2%
 ・1500~2000万円未満:1.2%
 ・2000~3000万円未満:2.8%
 ・3000万円以上:9.9%
 ・無回答:2.5%
 ・平均:859万円
 ・中央値:100万円
40歳代では、平均が859万円である一方、中央値は100万円と大きく乖離しています。

内訳を見ると、金融資産を持たない人や、貯蓄が100万円未満にとどまる層も一定数存在していることがわかります。

●【50歳代】単身世帯(おひとりさま)の「平均貯蓄額と中央値」
 ・金融資産非保有:35.2%
 ・100万円未満:10.1%
 ・100~200万円未満:7.4%
 ・200~300万円未満:4.6%
 ・300~400万円未満:2.7%
 ・400~500万円未満:3.3%
 ・500~700万円未満:4.9%
 ・700~1000万円未満:4.6%
 ・1000~1500万円未満:6.0%
 ・1500~2000万円未満:3.3%
 ・2000~3000万円未満:5.5%
 ・3000万円以上:10.4%
 ・無回答:1.9%
 ・平均:999万円
 ・中央値:120万円
50歳代では平均が約1000万円に達していますが、中央値は120万円にとどまり、こちらも差が大きい点が特徴です。

次章では、60~70歳代の状況も見ていきます。

●【60歳代】単身世帯(おひとりさま)の「平均貯蓄額と中央値」
 ・平均:1364万円
 ・中央値:300万円
●【70歳代】単身世帯(おひとりさま)の「平均貯蓄額と中央値」
 ・平均:1489万円
 ・中央値:500万円
60~70歳代では、平均は1300万円台~1400万円台に上昇し、中央値も300万~500万円となっています。

退職金や相続などの影響によって数値は押し上げられていると考えられますが、貯蓄額には個人ごとのばらつきが大きいことが読み取れます。

【年代別】二人以上世帯の「貯蓄額(平均・中央値)」はいくら?

続いて、同じ資料をもとに二人以上世帯の貯蓄状況について確認します。

●【40歳代】二人以上世帯の「平均貯蓄額と中央値」
 ・金融資産非保有:18.8%
 ・100万円未満:10.0%
 ・100~200万円未満:6.2%
 ・200~300万円未満:5.1%
 ・300~400万円未満:4.4%
 ・400~500万円未満:2.6%
 ・500~700万円未満:7.3%
 ・700~1000万円未満:6.1%
 ・1000~1500万円未満:9.7%
 ・1500~2000万円未満:6.5%
 ・2000~3000万円未満:8.2%
 ・3000万円以上:13.1%
 ・無回答:2.1%
 ・平均:1486万円
 ・中央値:500万円
子どもがいる家庭では、住宅費や教育費、養育費などの支出が重なる時期ですが、平均は1500万円近く、中央値は500万円となっています。

●【50歳代】二人以上世帯の「平均貯蓄額と中央値」
 ・金融資産非保有:18.2%
 ・100万円未満:6.5%
 ・100~200万円未満:6.4%
 ・200~300万円未満:4.1%
 ・300~400万円未満:3.5%
 ・400~500万円未満:2.2%
 ・500~700万円未満:6.7%
 ・700~1000万円未満:7.7%
 ・1000~1500万円未満:9.3%
 ・1500~2000万円未満:6.1%
 ・2000~3000万円未満:8.1%
 ・3000万円以上:18.8%
 ・無回答:2.2%
 ・平均:1908万円
 ・中央値:700万円
50歳代になると平均は2000万円に近づき、中央値も700万円まで伸びています。

ただし、金融資産を持たない世帯や100万円未満の世帯を合わせると約2割に達しており、資産状況にはばらつきが見られます。

●【60歳代】二人以上世帯の「平均貯蓄額と中央値」
 ・平均:2683万円
 ・中央値:1400万円
●【70歳代】二人以上世帯の「平均貯蓄額と中央値」
 ・平均:2416万円
 ・中央値:1178万円
60~70歳代では、平均が2000万円を超え、中央値も1000万円以上の水準となっています。

「老後が不安な人」と「老後は安心な人」の違いは何がある?

では、老後資金について不安を抱える人と、安心している人にはどのような違いがあるのでしょうか。

●違い1:必要な老後資金を把握しているかどうか
老後に不安を感じている人の多くは、「生活費はいくら必要か」「公的年金はいくら受け取れるのか」「自分に必要な資金はいくらか」といった点が明確になっていない傾向があります。

現状を把握しないまま対策を講じていないことが、不安につながる要因の一つです。

まずは生活費を試算し、「ねんきんネット」などで将来の年金見込み額を確認しましょう。

そのうえで不足額を整理し、どのくらいの頻度で、いくらずつ、どの金融商品で準備していくかを具体的に考えることが重要です。

●違い2:「自然に貯まる仕組み」を活用しているかどうか
貯蓄は意思だけに頼ると継続が難しく、毎月の積立額も安定しにくいものです。

そこで有効なのが、給与が入ったタイミングで先に貯蓄分を確保し、残りで生活する「先取り貯蓄」です。

金融機関には毎月自動で積み立てができるサービスもあるため、活用を検討してみるとよいでしょう。

こうした仕組みを取り入れることで、日々忙しい中でも無理なく貯蓄を続けやすくなります。

●違い3:老後に向けてお金や働き方、暮らしを考えて見直しているか
老後への備えは、資金面だけでなく、どのような生活を送りたいかを考えることも重要です。

生活スタイルによっては固定費の見直しも可能であり、50歳代から暮らしのダウンサイジングを検討するのも一つの方法です。

また、現在は60歳代でも働く人が増えており、働き方の選択肢も広がっています。

収入確保の観点から、キャリアの見直しを行うことも大切といえるでしょう。

【目安の考え方】老後資金はいくら必要?

老後資金を考える際に大切なのは、漠然とした目標額を設定するのではなく、日々の収支をもとに必要な金額を見積もることです。

基本となる考え方は、「毎月の不足分に老後の年数を掛け合わせる」というシンプルなものです。

一例として、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月およそ4万2434円の赤字が発生しています。

この状況が20年間続くと仮定すると、不足額は約1000万円に達します。

また、単身世帯の場合は毎月約2万9980円の赤字となっており、同様に20年間で約720万円の不足が見込まれます。

このように、必要となる老後資金は一律ではなく、世帯の人数や生活スタイルによって大きく異なります。

数年前に話題となった「老後2000万円問題」についても、あくまで目安の一つであり、すべてのケースに当てはまるものではありません。

まずは自身の生活費と年金収入をもとに、毎月どの程度の不足が生じるのかを把握し、その積み上げとして必要な資金を考えることが重要です。

では、実際に年金で生活しているシニアはどのように感じているのでしょうか。

次章では、「年金だけでは日常生活費をまかなうのが難しい」と答えた人の割合について見ていきます。

年金生活のシニアが「年金にゆとりがない」と感じる理由とは?

老後は年金収入だけで生活できるのかについて、現在の60歳代・70歳代の実態を調査データから確認していきます。

●60~70歳代の約3割が「年金だけでは日常生活費もカバーできない」という現状
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025」によると、二人以上世帯では、60歳代の33.6%、70歳代の26.5%が「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。

また、単身世帯では、60歳代の50.7%、70歳代の35.5%が同様に「年金だけでは日常生活費を賄うのが難しい」と回答しており、二人以上世帯と比べてより厳しい状況にあることがうかがえます。

物価上昇が続く中で家計への負担は増しており、健康面や介護への不安を抱えながら、切実な思いで日々を過ごしているシニア世帯も少なくありません。

老後資金は「平均」ではなく、自分の状況に合わせた備えが重要

本記事では、年代ごとの「平均貯蓄額」と「中央値」の違いを世帯別に紹介しました。

老後に安心して生活するためには、まず現状を把握し、必要な資金を具体的に見積もることが重要です。

そのうえで、継続的に貯蓄できる仕組みを取り入れたり、働き方や生活スタイルを見直したりすることが、将来の安心につながります。

平均値にとらわれるのではなく、自分に合った準備を進めることが大切といえるでしょう。

参考資料

 ・金融経済教育推進機構「2025年家計の金融行動に関する世論調査」
 ・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
 ・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

川勝 隆登

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最終更新:5/4(月) 15:16

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