タムロン社長、CFO設置やIR部門拡充に意欲-株主還元で株上昇

4/11 6:00 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): カメラの交換レンズを手がけるタムロン株は2月に株主還元策の充実を発表した後一段高となり、上昇基調が続く。こうした中、桜庭省吾社長は、最高財務責任者(CFO)の設置やIR部門拡充の考えを示した。

桜庭氏は5日のインタビューで、CFO設置は外部人材の登用も含めて「当然考えている」とした。IRの拡充にも意欲を見せたが、人材獲得に苦労しているとも述べた。

タムロンは2月、2026年12月期までの中期経営計画を発表。総還元性向60%を目安とし、機動的な自己株式取得を実施するなどと表明した。あわせて効率的な経営の構築を目指すとしており、財務戦略の立案・執行の体制を強化する考えだ。

桜庭氏は狙いについて、前期(23年12月期)末時点で約80%だった自己資本比率を少し下げ、「適正なキャッシュアロケーションを目指したい」と述べた。新規事業にも資金を振り向けたいという。

同社株は2月の中計発表後、急騰。上場来高値を更新する場面が続いたが、10日の終値は前日比1%安の6900円だった。

岡三証券の島本隆司シニアアナリストは、株価の好調は資本政策の発表もあるが、根底にあるのは交換レンズで「利益をしっかりと出しているところ」だと指摘。写真関連以外の事業成長は今後の課題であるものの、交換レンズの需要は今年に入っても堅調で、今後の株価も「基本的に安定的に上がっていく」との見方を示した。

1950年創業のタムロンは、カメラ・双眼鏡用レンズの製造を祖業とし、光学技術を横展開して監視カメラやFA(工場の自動化)、車載などに事業を拡大してきた。ブルームバーグのデータによると、ソニーグループやニコンに製品を供給する。

今期(2024年12月期)の営業利益は、写真関連事業の伸びなどを見込んで前期比5.1%増の143億円を計画する。カメラ市場自体は横ばいが続くが、高価格帯のミラーレスカメラ用製品のラインアップを拡充するほか、南米やアフリカ地域の開拓も進める。現時点で5%程度の交換用カメラレンズの世界シェア(金額ベース)を今後は7-8%に引き上げたいという。

不正経費問題は

タムロンでは昨年夏、元社長ら経営幹部が経費を私的に流用したことが発覚。11月に外部専門家と社外取締役で構成する特別調査委員会が調査報告書を公表した。現在は再発防止に取り組んでいる最中だ。

ブルームバーグのデータによると、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントがタムロン株の10.87%を持つ大株主となっている。桜庭氏はエフィッシモはアクティビストとしてではなく純投資という形で、不正経費問題についても、「タムロンのスタンスをきちんと説明して納得いただいていると思っている」とした。

立花証券の福永幸彦アナリストは、一連のガバナンス問題は「市場としてはもう終わった話になっている」として、買い推奨を継続する。

タムロン株の約13%を持つ筆頭株主のソニーGについて、桜庭氏は「いい関係は構築できている」とした一方で、資本提携を含めた関係の深化については「そこは避けたいと思っている」と述べた。

シグマ(非上場、川崎市)など同業には非上場の企業もあるが、桜庭氏は現時点で非上場化は検討していないと述べた。東京証券取引所プライム市場に上場していることで、顧客からの信用度や資金調達面でメリットがあり、採用面でも有利になるとしている。

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最終更新:4/11(木) 6:00

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