病院を口コミサイトで探している人の「落とし穴」 後悔しない病院の選び方

4/6 4:51 配信

東洋経済オンライン

厳しい寒さが続いていたかと思えば急に暖かくなり、寒暖差で体調を崩す人が少なくありません。たまにしか行かないのでどの病院にしようかな……。引っ越したばかりで評判のいい病院を知らない……。そんなとき、手軽にインターネットの口コミやランキングサイトで病院を探せるようになりました。
しかし、簡単便利になったようにみえる病院選びにはいくつもの落とし穴があります。知らずに自分に合わない病院を選んでしまったら、不調が長引くことにもなりかねません。

「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)にレギュラー出演中の秋津壽男医師の著書『100歳まで元気なのはどっち?  長生きする人・しない人の習慣』より、病院選びの“正解”をご紹介します。

■Q1. 体調不良のとき、はじめに行くべきなのはどっち?  公立の総合病院or近くの診療所

 体調がわるいとき、どうせなら大きな病院で診てもらったほうが安心だろうと思って総合病院や大学病院に行こうとする人もいるでしょう。しかし、いきなり大きな病院に行くことにはデメリットもあります。

 医療は、外来診療にあたる「1次医療」、入院や検査、手術などの「2次医療」、先進医療を行う「3次医療」の3つの段階に分けられます。

 そして、それぞれの段階によって、病院は次のように分類されます。

• 1次医療→地域に密着した診療所、クリニック
• 2次医療→入院や専門外来の機能をもつ総合病院
• 3次医療→国の承認を受けた大学病院やがん研究センターなど特定機能病院
 それぞれの病院には、各段階に適した役割があります。たとえば、総合病院や大学病院は、2次や3次医療の機関なので、手術や検査のために高度な設備を用意しています。しかし、患者さんを多数抱えているため、どうしても一人ひとりの体の変化には気づきにくいものです。

 その点、1次医療である診療所やクリニックにかかりつけ医がいると、患者数も限られているため、「以前に比べると、少し痩せましたね」というように、体の些細な変化にも気づいてもらえて、がんなどの大病の早期発見につながります。

 さらに、手術が必要になった場合にも、かかりつけ医との間に相談できる関係があれば、大学病院にせよ、公立病院にせよ、腕のたつ信頼できる医師のる医療機関を紹介してもらうことができます。

 その意味でも、普段から1次医療に適した診療所やクリニックに通って、かかりつけ医を作っておくことが大切なのです。

 A1. まずは地域の診療所で、気になることを相談できる“かかりつけ医”を作っておきましょう。

■Q2. 病院選びで後悔しないのはどっち?  口コミサイトで探すor実際に行ってみて決める

 病院を探すとき、多くの人がインターネットの無料口コミサイトなどを参考にするのではないでしょうか。しかし、無料サイトでお金を払わずに情報が得られるのには、理由があります。

 たとえば、私の病院にも、「評判の良い書き込みをします。口コミの悪評を消します」という営業メールが毎日のように送られてきます。お金を払うと、口コミを書き換えてくれる業者がたくさんいて、無料サイトはそのように作られているのです。

 無料サイトの口コミだけで、自分のかかりつけ医を決めては駄目だということです。

 まずはお試しで病院に行ってみるといいでしょう。病院の雰囲気や医師の人柄、あなたとの相性、どの医師が執刀してくれるかなどは、実際に足を運んでみなければ分かりません。風邪をひいたときのほか、自治体健診や区民健診、市民健診、インフルエンザのワクチン接種などの機会を利用して、気になる病院の中の様子を調べてみましょう。

 病院に入ってみるとスタッフの態度が冷たい、医師がパソコンの画面ばかり見てこちらを全然見ないといった様子が分かるかもしれません。あるいは逆に、健診や予防接種を受けに行っただけなのに、「何か気になっていることはありませんか?」「もしかしてお父さんも血圧が高いですか?」など、よもやま話のように聞いてくれる医師がいるかもしれません。

 命を預ける病院・医師選びですから、有名な医師がいるか、きれいな施設かなどよりも、「この人ならば信頼できる」と思えるかどうかが大切です。

 A2. 後悔しない病院選びのためには、実際に行ってみて病院の様子を知る必要があります。医師との相性などをみて、安心して通える病院かを確かめましょう。

■Q3. 大腸がんの検査で異常が見つかったとき、正しい行動はどっち?  痔かもしれないのでしばらく様子をみるor大腸カメラ検査をすぐに受ける

 2022年のがん死亡者数のなかで、大腸がんが原因だったケースは男性で2位、女性で1位となっています。

 大腸がんは進行がとても遅く、また、肛門からの内視鏡(大腸カメラ)検査が可能なので発見しやすいがんです。早期発見・治療例ではその9割がほぼ完治しています。それなのに、なぜこんなにも死亡者数が多いのでしょうか? 

 原因のひとつとしては、大腸カメラ検査の受診率が低いことが挙げられます。大腸がん検査として最初に行われる便潜血検査はあくまで便中の潜血の検査であって、精密な大腸がん検査とは言えません。

 便潜血検査は便中に血液がないかをまず調べるのですが、粘膜の隙間にいるおとなしいがんの場合は出血しないので、便潜血検査が陰性だからといって大腸がんの心配がないとは言い切れないのです。

 反対に、陽性の反応が出たとしてもがんだとは言い切れないのが厄介です。便潜血検査は、浴槽に血を一滴垂らしても反応するくらい高い精度の検査で、がんではなく軽い痔による出血でも、陽性の結果が出てしまうのです。

 医師としてもあまり患者さんに負担をかけたくないために、便潜血反応が陽性でも、もともと痔だという人には「痔のせいで出血の陽性反応が出たのかもしれないから、少し様子を見ましょうか」とお茶を濁し、結果的にがんを見逃すことがあるのです。

 消化器科の専門医は、「大腸がんの進行は遅いし、早期発見なら9割は治るのだから、5年に一度でいいから内視鏡検査を受けてほしい」と口を酸っぱくして言っています。

 A3. 便潜血検査では、大腸がんを見落とす可能性があるため、自覚症状がなくても5年に一度は大腸カメラ検査を受けましょう。

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最終更新:4/6(土) 4:51

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