デフレを後戻りさせないことに「私の政権の存在意義」-岸田首相

3/28 23:23 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ):  岸田文雄首相は、日本銀行による17年ぶりの利上げを受けたデフレ脱却の見通しについて道半ばとした上で、デフレを後戻りさせないことに政権の存在意義があるとの見解を示した。28日夜の記者会見で語った。

岸田首相はデフレ脱却に向けた「千載一遇の歴史的チャンスを手にしている」としながらも、「まだ道半ば」と指摘。「抜け出すチャンスをつかみ取れるか、後戻りしてしまうか。これからの対応次第だ」と述べ、数十年に一度の正念場にあるとの認識を示した。

その上で、「分配と成長の好循環をしっかり回してデフレ心理を一掃し、新たな経済成長のステージに移行する」ことが政治におけるデフレからの完全脱却と定義した。

緩和的な金融環境の維持は適切

日銀は先週の金融政策決定会合で、マイナス金利を解除するとともに、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の廃止や上場投資信託(ETF)の新規購入の停止も決定。2013年4月以来の大規模な金融緩和政策からの正常化に向けてかじを切った一方で、植田和男総裁は「当面緩和的な金融環境が継続する」との考えを示した。

これに対し、岸田首相は「前向きな経済の動きをさらに確実なものにするとの観点から、緩和的な金融環境が維持されることは適切である」の見解を改めて表明。その上で、「デフレからの完全脱却のための最大の正念場にあたって、政府と日銀は緊密な連携を継続していく」と強調した。

日銀に追加利上げを期待しているのかとの質問に対しては、明言を避けた。「デフレからの完全脱却、新たな成長型経済への移行、こうした方向に向けて今、正念場にある」とし、政府として政策を総動員する考えを示した上で、「日銀もぜひ密接に連携しながら対応していただくことを期待する」と語った。

行き過ぎた動きには適切対応-為替

岸田首相は足元の円安を受け、「為替相場はファンダメンタルズを反映し、安定的に推移することが重要だ。過度な変動は望ましくない」とし、高い緊張感を持って為替動向を注視していきたいと述べた。その上で、「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せず適切な対応を取りたい。これが政府の基本的な考えだ」との考えを明確にした。為替介入の可能性については明言を避けた。

日銀がマイナス金利政策の解除後も緩和的な環境を維持する姿勢を示したことで、円相場は27日、対ドルで約34年ぶりの安値に下落した。早期利下げ観測が後退する米国との金利差が意識された。日銀と財務省、金融庁が同日3者会合を開催した後は、円買い介入への警戒感もあり、足元は151円台前半で推移している。

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最終更新:3/28(木) 23:23

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