資産運用のおけるwin-winとは(日本ベル投資研究所)

4/9 17:21 配信

アイフィス株予報

・個人の金融資産をどのように活用するのか。まずは働いて所得を得て、そこから金融資産を作っていく。所得が少なければ、資産形成にまわすお金は出てこない。でも、少ないながらも貯める癖をつけないと貯蓄は増えていかない。

・働きながら運用する資産形成世代には、NISAやiDecoを活用して何とか新しい習慣を身に付けてほしい。高齢になってくると、生活のために資産を取り崩す層が増えてくる。

・でも、取り崩すだけでは、いずれなくなってしまうかもしれない。インフレの時代に戻ってくると、現預金中心の資産は目減りしてしまう。資産を取り崩しながらも運用を続けて、資産をできるだけ長持ちさせる工夫をしたい。

・バブル崩壊後の日本は、デフレ局面が30年間も続き、その間に所得が増えず、世界でみると相対的に貧しくなってしまった。日本の世帯所得(中央値)は、1995年に550万円であったものが、2021年には423万円まで低下した。

・一方、米国は円換算でみると、同321万円が同777万円となった。ドル高とインフレ率の差が顕著に出ている。そもそも日本の競争は低下し、生産性も上昇せず、結果として所得が減少した。

・これを取り戻すには、まず日本企業に強くなってもらう必要がある。デフレ経済から脱却して、マイルドなインフレが当たり前の世界にする必要がある。今それがみえつつある。金利がつく世界になれば、円安にも歯止めがかかり、通貨による目減りを防ぐことができる。

・労働力不足の時代は、給料が良く働き易い会社に人は移動して、自らの所得を改善することができる。会社は給料を上げて、社員を確保する必要がある。それができない会社は淘汰されていく。こういう社会に変わりつつある。

・まずは製品やサービスの値上げを促進して、2100兆円を超える個人金融資産を、企業のEX、DX投資に向け、企業の新陳代謝を通して、経済を活性化していく。そのためにも、資産運用の高度化を図る必要がある。

・資産運用の高度化とは、何よりも資産運用のパフォーマンスを上げる。現預金においているだけでは、インフレの時代では目減りしてしまう。お金は十分働いていない。つまり、積極的に投資にまわってリターンを上げるようには動いていないのである。

・現預金から、債券、株式、オルタナティブ投資などのリスク資産にポートフォリオを組み替えていく必要がある。2023年3月までの15年間でみると、主要なアセットクラスのリターンとリスクは、年率平均で国内株式3.6%(リスク19.4%)、海外株式6.9%(21.9%)、国内債券1.4%(2.3%)、海外債券2.5%(8.7%)であった。

・債券よりも株式の方が、リスクは高いがリターンも高い。国内よりは海外の方が、同じようにリスクは高いがリターンも高い。

・これに対して、オルタナティブ資産(オルタナ)はリターン10.5%(リスク13.8%)であった。オルタナとは、プライベート・リスク、プライベート不動産、プライベート・デットなど、従来と違うアセットクラスへの投資を意味する。

・オルタナを入れると分散がより効くので、例えばオルタナを20%入れたポートフォリオのリターン・リスクは、4資産分散のポートフォリオのリターン4.2%(リスク11.3%)に対して5.5%(11.3%)と、リターンが高くなっている。明らかにオルタナを入れた方がパフォーマンスは改善する。

・うまく運用すれば、資産所得倍増は実現できる。問題は、うまく運用できるか、にある。多くの人々は、資産運用のやり方が分からないという。次に、1円でも損をするのが嫌だという。リスクをとるということは、損をする可能性がある。

・でも、リスクをとるから、プラスのリターンが得られる。長期、分散投資を継続的に実行すると、一定のリスクをとってもプラスのリターンを得ることができるというには実証済みである。

・ただ、それを信用し、信頼を得るには、実績でリターンをみせていく必要がある。まず、日本企業にもっとしっかり稼いでもらう必要がある。業績が上がれば株価は上昇するはずである。

・次に、資産運用会社(アセットマネジャー)に、会社としての腕を磨いてもらう必要がある。プロのファンドマネジャーが一流の腕をもち、運用プロセスを高度化して、運用会社のガバナンスを充実させつ必要がある。金融庁はこれを実行させる政策を推進している。

・最大のポイントは、利益相反の回避である。運用会社が銀行や証券会社の子会社では、親会社グループの販売を優先して、運用会社の顧客の利益を蔑ろにするのではないか。運用会社は、本当に顧客優先のビジネスを展開する仕組みを実現しているか。この懸念を払拭していく必要がある。

・アクティブ運用のフィー(手数料)はパッシブ運用より高いが、パフォーマンスでアクティブがパッシブに負けているようでは意味がない。まして、フィーを取られたうえで、パフォーマンスがマイナスになるようでは、その運用商品は信頼できない。

・アクティブ投信の活性化をどう図るのか。そもそもパッシブに負け続けるような運用商品の販売が続くのはおかしい。通常なら誰も買わないはずである。ところが、情報が十分でないとそういう商品の販売が継続してしまうこともある。

・そこで、ファンドリサーチが重要になる。内外の多様な運用商品(ファンド)をきちんと調査して、その運用プロセスを評価する。高い評価ができたファンドのみを推奨する。その情報を顧客に的確に伝える。

・ファンドリサーチの情報を利用する金融機関が、何らかのバイアスを持ち込まないようにすることが問われる。ここでもうっかりすると、利益相反が生まれる。

・オルタナ商品も場合によって、情報開示が十分でないことがある。これによって、リスク把握が十分でなく、局面によって想定外の損失が出たりする。

・利益相関を防ぐには、いくつもの階層において、それをチェックしていく必要がある。その上で、顧客がプラスのリターンを上げて始めて、運用機関や販売サービス機関も、そのリターンの一部を得られるという成果報酬的なスキームが一段と重要になろう。

・顧客である投資家は、自らのリターンが上がった上で、その一部をシェアするというのは納得できるはずである。ここで注意すべきことは、手数料や信託報酬はコストであるから、コストは安い方がよいということだけにとらわれてはならないだろう。

・金融機関の利益優先はあってはならない。一方で、運用の高度化にはコストがかかる。アクティブはパッシブよりもコストがかかる。一流のプロの仕組みを作り、維持するためのコストである。このコストは投資であって、それも含めた上で、投資のリターンを考慮したい。そのリターンをwin-winで享受できれば、この上ない。

・では、運用会社は企業に対して、どのように働きかけるのか。このエンゲージメントが一段と強化されていこう。野村アセットマネジメントでは、議決権行使基準について、TOPIX100を構成する企業に対して、より厳しい基準を設定した。これをロールモデル事業と称している。

・例えば、1)社外取締役の人数の最低基準を過半数とする、2)監査役会設定基準の取締役の任期は1年とする、3)報酬に関するガバナンスを整備する、4)役員退職慰労金を設けない、5)モニタリングボードの要件として、取締役の人数を5~19名とする。そうでない場合は議案に反対するとした。

・資本コストを意識していない経営に対して、アクティビストによる経営参画の要請も一段と高まってこよう。これによって、中長期的なパフォーマンスが上がれば望ましいが、それが本物か。

・投資家として、運用会社に何を望むか。改めて考えてみると、win-winの実践にあろう。win-winを実践する運用機関のプロフェッショナル商品に投資したい。

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最終更新:4/9(火) 17:21

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