• トップ
  • ニュース
  • 雑誌・コラム
  • 返事はきた?地球の研究者が50年前に発信した「宇宙人向けメッセージ」の中身 パラボラアンテナから電波で撃ち出した

返事はきた?地球の研究者が50年前に発信した「宇宙人向けメッセージ」の中身 パラボラアンテナから電波で撃ち出した

3/24 17:02 配信

東洋経済オンライン

「宇宙人と交流できたら──」そんなことを考えたことはありませんか?  実は人類はすでに何度か宇宙人に向けてメッセージを送っています。本稿では、新著『ウソみたいな宇宙の話を大学の先生に解説してもらいました。』を上梓した平松正顕氏が、研究者たちによって送られた宇宙人へのメッセージの内容を解説します。

■球状星団M13に向けた「アレシボメッセージ」

 宇宙人と交信したい。そんな夢(妄想? )を胸に、まだ宇宙人がいるかどうかもわかっていないのに人類は宇宙に向けてこれまでに何度かメッセージを送ってきました。

 中でも有名なのは、1974年にプエルトリコのアレシボ天文台から球状星団M13に向けて発信された「アレシボメッセージ」でしょう。

 メッセージの中身は、数字、地球生命に欠かせない元素の原子番号、人の形やDNAの二重らせん模様、太陽系の天体やアレシボ天文台のイラストです。これを「0」と「1」の組み合わせで作られたバイナリコードに変換し、さらに電波信号に変換してパラボラアンテナから撃ち出したのです。

 M13は地球から約2万5000光年の距離にありますから、もしM13にこのメッセージを読み解ける高度な知性を持った生命体がいたとしても、受け取れるのはまだまだ先のこと。

 即座に解読して返信してきたとしても、その信号が地球に戻ってくるまでにはさらに2万5000年かかります。

■次なるメッセージも検討されている

 アレシボメッセージへの返事はまだありませんが、次なるメッセージを送ることを検討している人たちがいます。

 A Beacon in the Galaxy(BITG)と名づけられた信号を考えたのは、NASAジェット推進研究所のジョナサン・ジァンさんたちです。バイナリコードに変換して電波で送るのはアレシボメッセージと同じですが、その内容はより充実したものになっています。

 もちろん、宇宙人に理解することが難しい内容は避けたほうがよいでしょう。BITGでは、例えば人間の文化や言語に関する情報は入れないことにしました。地球上の人間どうしですら、文化や言語が違う人と意思疎通をするのは難しいですから。

 メッセージの1ページ目に入れられたのは、なんとバイナリコードと普通に私たちが使っている10進法の数字の変換について。その後、足し算と引き算、指数関数のグラフなど算数の内容が続きます。

 バイナリコードを解読できる知性があれば10進法も理解できるだろうし、それが理解できればその後に続くメッセージの内容も理解しやすいだろう、という研究者たちの最大限の親切心の現れでしょうか。

 算数の後には、水素原子が出す光のスペクトル、DNAの構造、人間の形、太陽と惑星の大きさ、世界地図、地形の説明などが続きます。メッセージを受け取った相手が地球に連絡を取りたいときのために、地球が天の川銀河のどこにあってどの周波数で待ち構えているかという情報も盛り込みます。

 ちょっと欲張りすぎな気がしますが、大丈夫なのでしょうか。

■考案者が同僚に見せたら、大半がわからなかった

 アレシボメッセージを考案した地球外知的生命探査の先駆者であるフランク・ドレイクさんは、実際に宇宙に信号を送る前にノーベル賞受賞者を含む同僚たちに信号を見せてみました。

 ところが、バイナリコードが画像になっていることに気づいたのはたったひとり、内容が理解できた人はひとりもいなかったそうです。このメッセージを受け取る宇宙人は、よほど知性が発達していなくてはいけません。

 むやみに宇宙にメッセージを送るのは危険ではないか、と考える研究者もいます。車いすの物理学者スティーブン・ホーキング博士は生前、宇宙人からの信号を捉えても返信するのは危険だ、と語っていたそうです。

 メッセージを頼りに宇宙人が地球を訪れたとしても、人類の文明は彼らにとってはバクテリアのようにとるに足らないもので、何の感慨もなく我々は消されてしまうのではないか、というのがホーキング博士の心配です。

■どんな結末が待っているかはわからない

 メッセージを読み解いたのならバクテリア扱いされることはないのでは?  とも思いますが、相手がどんな考えを持っているかを知る手段はないので、どんな結末が待っているかはわかりません。

 あなたなら、宇宙人にまず伝えたいことは何ですか?  あるいは、どこかの星からメッセージが来ていることに気づいたら、現地に行って何をしてみたいですか? 

 実際にどう対応するかはともかく、宇宙人とのコミュニケーションを考えることは私たち自身について深く考えることにもつながります。

 深く深く考えたその先に、まずは地球人どうしで喧嘩しないような知性を発達させていきたいものです。そして、何万年後かに来るかもしれないメッセージの返事を待ちましょう。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:3/24(日) 17:02

東洋経済オンライン

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング