ついに中国要人が「タブー破り」の反逆に打って出た…!習近平「経済失政」で国民が払う「肥満化」「賃下げ」「年金崩壊」の《悪夢の代償》

9/19 11:05 配信

マネー現代

ついにあの「禁句」が公然と使われ始めた!

かつて「無尽蔵」と言われた中国のマンパワーも今は昔だ。

前編記事『いま中国で「肥満の急増」が社会問題に…!習近平の失政がまねいた「ジャンクフード問題」の深刻すぎる実態』で見てきたように、高度成長期を経て、経済が成熟していくと知識労働者が増えて、あらゆる経済活動の合理化が進む。

よって、中国経済はこれから「少数精鋭」でやっていかなければならなくなっているが、ここに来て新たな問題が浮上している。それは、肥満の問題だ。

中国で肥満と分類される人の比率は8%と米国の42%に比べればずっと低いが、日本や韓国の数字を既に上回っている。男子児童の肥満率は特に深刻だ。2022年時点で15%を超えており、米国の22%を下回っているが、日本の6%を大きく上回っているのだ。

その背景には、筆者はデフレスパイラルにあると考えている。

これまでもたびたび、このコラムで指摘してきたことだが、ここにきて中国の金融当局の関係者から公然と「デフレ」を指摘する声が上がっている。

中国では「デフレ」という用語は禁句扱いされているにもかかわらずだ。

デフレスパイラル発言に込められた「危機感」

中国政府が9月9日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年に比べて0.6%上昇した。上昇率は7月の0.5%拡大したが、中身が悪い。中国人の食卓に欠かせない豚肉などの値上がりが押し上げており、家計をさらに圧迫する形になっている。

家計の購買力を映すとされる「食品とエネルギーを除くコア指数」の伸びは0.3%にとどまり、2021年3月以来の水準に落ち込んでいる。デフレ懸念はむしろ高まっていると言っても過言ではない。

耐久財の値下がりが加速していることも気がかりだ。自動車などは5.5%下落した。

市場で激しい価格競争が続く中、自動車デイーラーの経営の悪化が進んでいる。業界団体によれば、今年上半期、半数以上のデイーラーが赤字となっており、実売価格が仕入れ価格を下回る「逆ざや」現象が常態化している。

こうした状況で、「デフレ」という禁句を堂々と使ったのは、中国人民銀行(中央銀行)の前総裁、易鋼氏だ。

すでにアナリストの間で「中国経済は危険なデフレスパイラルに陥りつつある」との認識が広がりつつあるが、易鋼氏は、9月6日「当局はデフレ圧力との闘いに集中すべきだ」と、要人としては異例の発言を行った。

タブーを破った易氏の危機感は尋常ではないと思う。

「賃金の下落」が行きつく先

実際、中国ではデフレをさらに深刻化させる「賃下げラッシュ」が起きている。

中国民間企業の調査によれば、8月の労働コスト指数はゼロコロナ対策が開始された2020年4月以来の低水準だ。

賃金減少が家計の支出削減を招き、デフレを助長する。消費者は価格のさらなる低下を見越して購入時期を先送りする。売り上げが減少した企業は投資を抑制するとともに、給与のさらなる削減やリストラを断行する。

日本でも1992年のバブル崩壊以降、賃金が上がらず「失われた30年」を経験したことは、皆さんも身に染みてご存じのことだろう。

「中国はまったく同じ道、いやそれ以上に厳しい悪路を歩んでいる」可能性があるのだ。しかも、中国政府はデフレ回避の政策をほとんど実施していないのが実情だ。

さらに、デフレを助長する少子高齢化は中国では日本以上のスピードで進んでいる。

中国ではじまった「年金大崩壊」

中国では1992年以降30年以上にわたって、16万人以上の子供を外国の家庭に養子として送り出してきたが、中国政府は9月に入り「国際養子縁組を中止する」ことを明らかにした。

総人口が2年連続で減少したことを受けた措置だと言われている。

中国政府は約40年ぶりに定年の引き上げに踏み切った。

国民が強く反対する定年引き上げは長年の懸案だったが、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は13日、定年退職年齢を段階的に引き上げる法案を可決した。政府がこれに踏み切った背景にはのっぴきならない理由がある。

中国人の平均寿命は今や78歳だ。昨年の高齢化率(総人口に占める65歳の人口の割合)は15.4%達しており、2030年には超高齢社会(高齢化率が21%超)になると予測されている。

定年を引き上げなければ今後10年間で約3億人が退職するため、2035年までに年金の財源が枯渇すると危惧されている。

しかし、定年を引き上げても年金財政が抜本的に改善されるわけではない。

中国のネット上では「今の若者は将来、年金をもらえるだろうか」「今の高齢者の年金は若者の給料に比べて高すぎる」など不満の声があふれている(9月11日付RecrdChina)。

中国も日本と同様、年金問題が政治のトップアジェンダの1つになった感がある。

さらに連載記事『いま中国で習近平「重病説」がささやかれる中、経済政策の「ホラー化」が始まった…!失政が原因で生まれた「余剰男」3500万人の「悲惨な実態」』では、深刻さを増す中国経済について考察しているので、ぜひ参考としてほしい。

マネー現代

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最終更新:9/19(木) 11:05

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