身長149センチ体重44キロの女性、食事管理も運動も頑張ってるのに「カロリーオーバー」警告のなぜ

11/21 12:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 今回は読者の相談にお答えします。座り仕事ではあるものの、ほぼ毎日運動習慣があるにもかかわらず、健康診断で「血圧と中性脂肪が高い」と言われてしまったCさん。アプリで食事管理をするようにしたところ、「カロリーオーバー」「脂質・飽和脂肪酸が多い」と注意されるように……昼はお弁当、夜も自宅で手料理と食事に気を付けており、毎日バランス良くいろいろなものを食べています。いったい何に気を付ければいいのでしょうか?(管理栄養士 岡田明子)

● アプリで食事管理しているCさん 食事は気を付けているが、カロリーと脂質の管理が悩み

 Cさんは身長149センチ、体重44.5キロの女性で、アプリ(あすけん)を用いて食事管理をしています。定期的に(ほぼ毎日)運動していますが、小柄なこともあって一日の摂取カロリーを抑えないと、アプリから「カロリーオーバーです」と指導が入ります。昼食はお弁当、夜は自宅での食事を心掛けていますが、外食するとカロリーが大幅にオーバーすることが悩みです。ダイエットが目的ではなく、食事内容は健康を意識していますが、時々カレーやパスタも食べています。

 最近、健康診断で血圧と中性脂肪の数値が高いことが判明し、食事の見直しを始めました。γGTPも高いため、お酒の摂取を週1~2回に制限。食事では塩分と脂質を調整し、バナナや牛乳、ヨーグルト、納豆などを取り入れていますが、脂質や飽和脂肪酸が過多になりがちなのが悩みです。

 Cさんの3日間の食事記録を見ると、毎日さまざまな食材を食べています。主食も1食あたりごはん80~150g、食パン1枚程度ですが、それでも総摂取カロリーが多いのでは、と気になっています。塩分の摂取量は1日6グラム以下を守っています。食生活の改善には意識が向けられているものの、カロリーと脂質の管理に苦労している様子がうかがえます。

 Cさんの生活スタイルや食事の内容を考慮しながら、「摂取カロリーについて」「脂質、飽和脂肪酸について」の2点を中心に、アドバイスしていきたいと思います。

 最近は、アプリを使って食べたものを記録し、栄養バランスや摂取エネルギーを一目で把握できるようになりました。Cさんは、日によって摂取カロリーが低めだったり、オーバーだったりして困惑されているようです。まず、カロリーとは何かをおさらいしましょう。

● カロリーは量よりも質を意識して! 炭水化物とタンパク質と脂質の最適バランス

 炭水化物、脂質、タンパク質は、いわゆる3大栄養素で、エネルギー源です。これらのエネルギー総量をカロリーと呼びます。私たちはこれらのカロリーを摂取することで生命活動を維持していますが、カロリーは量より質を意識することが大切です。例えば、約600kcalの昼食でも、焼き魚定食とチーズハンバーガーセットでは栄養バランスに差があります。

 カロリー計算には係数が関わります。炭水化物とタンパク質は各グラム数に対して4を掛け、脂質は9を掛けるのが一般的です。これにより、それぞれの栄養素のカロリーが算出され、総カロリーに占める割合が分かります。日本人の食事摂取基準によると、成人のタンパク質は13~20%、脂質は20~30%、炭水化物は50~65%が目安です。このバランスを意識して食事を選ぶことが重要です。

 目安として、カロリーの半分を炭水化物から、4分の1ずつをタンパク質と脂質から取るとバランスが良い食事といえます。同じ600kcalだとしても、焼き魚定食(ごはん、焼き魚、おひたし、冷ややっこ、具だくさんのみそ汁)であれば上記のバランスを満たしますが、チーズハンバーガーセットだとタンパク質が不足し、脂質がオーバーしてしまいます。

● 炭水化物を減らすと、 その分脂質過多になりやすい

 カロリーの数値を見るよりも、3大栄養素の割合に注目することが大事です。特に脂質は係数が大きいため、総カロリー中での割合が高くなりがちです。Cさんご自身も「脂質調整のため、納豆や豆腐を減らした」と言われている通り、ヘルシーだとされる商品でも、脂質が半分以上を占めていることがあります。

 脂質のグラム数に10を掛けると、総カロリーからの割合が簡単に計算できます。まずは、総カロリーの中で脂質の割合に注目して、食事選びを行いましょう。

 糖質制限ブームにより、ご飯の量を減らしている方が多いですが、Cさんの場合もご飯を80~100gと控えめにされています。ご飯の量を減らすと、おかずの量が増え、それに伴い脂質の摂取量も増えがちです。ご飯は1食あたり150~200g摂取するのが理想的です。血糖値の上昇を抑えるためには、白米を玄米や胚芽米に変えると良いでしょう。これにより、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素も摂取できます。

● 脂質の適切な摂取と 飽和脂肪酸の取り扱いについて

 Cさんは、脂質や飽和脂肪酸が過多になりやすいという問題を抱えています。食事記録を見ると、肉を使用した炒め物や揚げ物、肉料理がひんぱんに登場します。主食は1食に1品にとどめ、中性脂肪が高い、油物の料理は控えることを心がけるとよいでしょう。代わりに、良質な脂質を含む青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を、焼き魚やお刺身で取り入れると効果的です。また、油を使わない調理法、例えばテフロン加工のフライパンを使用するのもおすすめです。

 Cさんが特に気にしている飽和脂肪酸は、取り過ぎると肥満や生活習慣病につながるリスクがあります。成人の場合、飽和脂肪酸は全脂質の7%以下に抑えることが望ましいです。飽和脂肪酸は、脂身の多い肉、皮付きの肉、加工肉(ベーコンやウィンナーなど)、バターやクリームチーズなどの乳製品に多く含まれています。Cさんはカルシウム摂取のために乳製品を増やしていましたが、それが飽和脂肪酸の取り過ぎにつながっているようです。

 カルシウムは、小魚、豆腐、納豆、小松菜、大根の葉、水菜、切り干し大根、ひじきなどからも摂取できます。ビタミンDやビタミンKを一緒に摂取すると、カルシウムの吸収や骨への取り込みが助けられます。これらのビタミンは魚や緑黄色野菜に多く含まれています。

● 万能な食材は存在しない 食材は3日単位でバランスを考えて選ぼう

 多種類の食材を取り入れることで、カロリーオーバーしたり、栄養素が偏ったりすることがあります。品数を増やすよりも、質を考えて旬の食材を取り入れるとよいでしょう。3日単位でさまざまな食材を取り入れることもお勧めです。また、食事記録を見ると、野菜、海藻、キノコ類が不足している傾向があるため、これらを意識的に摂取することが大切です。季節に応じた鍋料理なども活用して、これらの食材を取り入れましょう。

 Cさんは日々運動をしていますから、これを継続し、3日ごとにさまざまな食材を摂取することが推奨されます。アプリでのグラフ化や数値化は参考になりますが、万能な食材は存在しません。アプリのアドバイスは気にしすぎず、目安として考えるようにしましょう。バランスを考えながら旬の食材を取り入れ、健康を維持していくことが重要です。

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最終更新:11/21(火) 12:02

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