テスラ「新モデル」前倒しへ、株価急伸 現行車台・生産ラインで

4/24 5:53 配信

ロイター

Hyunjoo Jin Akash Sriram

[23日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラは23日、現在のプラットフォーム(車台)と生産ラインを使った「新しいモデル」を計画より前倒しして2025年の早い時期に投入すると発表した。これを受け、株価は引け後の時間外取引で12.5%上昇した。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話説明会で、新型モデルの生産を25年の早い時期、場合によっては今年終盤に開始すると表明。同氏は1月に次世代低価格EV「モデル2」を25年後半に発売する目標を設定していた。

ロイターは今月上旬、事情に詳しい複数の関係者の話として、テスラがモデル2の開発を中止したと報じた。モデル2は販売価格を約2万5000ドルに抑え、テスラが大衆向け自動車メーカーへと成長する原動力になると期待されていた。

マスク氏は当時、「ロイターはうそをついている」とXに投稿していた。

この日言及した新型モデルはこれとは別の製品とみられる。テスラもマスク氏もロイターの報道には直接触れなかった。

新型モデルは現在の製造ラインで製造され、現在のプラットフォームと次世代プラットフォームの要素が採用されるという。テスラは「コスト削減は従来想定ほどではないかもしれない」と指摘。モデル2の予想価格が2万5000ドルよりも大きくなる可能性を示唆した。

完全自動運転車「ロボタクシー」についても言及したが、発売時期は明らかにしなかった。

ロイターは今月上旬、テスラがモデル2向けに開発していたプラットフォームでロボタクシーの開発を続ける計画だと報じていた。

マスク氏は、新型モデルが現行EVを一部あるいは完全に刷新したものになるかとのアナリストの質問には回答を避けた。

テスラのエンジニアリングチーフ、ラース・モラビー氏は、「革命的な」製造プロセスに投資するリスクを回避することになると発言。マスク氏は以前、手頃な価格の新型車は製造技術革新の実験台になると語っていた。

ガイドハウス・インサイツのアナリスト、サム・アビュエルサミド氏は「新型プラットフォーム(開発)が棚上げたされたことは明白なようだ」と指摘。新たな生産施設や既存工場の刷新に多額の資金を投じる考えがないため、現行品の生産を継続することになるだろうと述べた。

テスラは新型モデルの計画により「不確実な時期」に設備投資をより良く管理できるようになるとした。

<低調な決算>

この日発表した第1・四半期決算(3月まで)は売上高が213億ドルと前年同期の233億3000万ドルから減少。LSEGがまとめた市場予想は221億5000万ドルだった。世界的な需要鈍化と競争激化で納車台数が減少した。

減収となるのは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により生産と納車が妨げられた20年第2・四半期以来。

度重なる価格引き下げの影響を反映し、1台当たりの平均売上は前年同期から5%近く低下し、4万4926ドルだった。

純利益は11億3000万ドル。前年同期は25億1000万ドルだった。

低調な決算にもかかわらず、手頃な価格の車両計画は投資家に歓迎されたが、懐疑的な見方もある。

フリーダム・キャピタル・マーケッツのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ジェイ・ウッズ氏は「有望に聞こえるが、テスラはこれまでの展開の遅れを見るにつけ、『show-me(証拠を見るまで信じられない)』銘柄になりつつある。もし実現できるなら素晴らしい」と語った。

<「AIロボティクス企業」>

一方、マスク氏はテスラを今後、人工知能(AI)やヒト型ロボット、自動運転車を使ったサービスに多角化させるビジョンを示した。テスラは自動車メーカーではなく「AIロボティクス企業と見なされるべきだ」と強調した。

同氏は、自社の自動運転車は「(民泊仲介大手の)エアビーアンドビーと(配車大手の)ウーバーを組み合わせたようなもの」になると説明。一部車両はテスラが所有・運営し、他の車両は個人が所有するがテスラのネットワークで貸し出されるという。

ロイター

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最終更新:4/24(水) 12:12

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