「家を買って幸せになれる人」と「家を買うのが目的になってしまう人」の決定的な差とは

5/13 6:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、そろそろ家を買おうと考えていたものの、不安を感じる人も多いのではないだろうか。そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決ためにこの春『本当に家を買っても大丈夫か?と思ったら読む 住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では発刊を記念して、本文の一部を抜粋、一部再編集してお届けする。

● 今の時代、家を買うのは難しい?

 不動産業界で仕事をしていると「今から家を買うのは難しいですか?」とよく聞かれます。結論から言うと、10年前と比較して、現在の住宅購入の難易度はたしかに上がっています。そこには、明確な理由が2つあります。

 1つ目の理由は、年収倍率の高まりです。昨今、不動産価格は上昇しているのにもかかわらず、賃金は横ばいのままです。そのことによって、物件価格の年収倍率(物件価格が年収の何倍にあたるか)は年々上昇傾向にあります。

 つまり、以前より支払い面で「頑張って」物件を購入する必要があるため、難易度が上がったと言えるわけです。(ただ、同時に住宅ローン金利は下がっているため、月々の支払金額がグラフのように上がっているわけではありません)

 もう1つの理由は中古(既存)住宅の取り扱いの増加です。新築住宅の着工減少と良質な中古住宅物件数の増加によって、不動産取引における中古住宅の取引率は上昇が続いています。この傾向・比率は都市圏ほど強く、国としても既存住宅の取引活性化を狙っているため、今後も増加傾向となるでしょう。

 中古住宅とは、その名のとおり前オーナーが利用した物件であり、表面上の傷みから、構造・配管といった目に見えないところまで気にかける必要があります。また、新築マンションであれば豪華なモデルルームや説明資料が豊富に用意されていたりしますが、中古マンションとなるとそういうわけにもいきません。

 また、販売されている物件の築年数も年々増加しており、築年数が古い物件ほど購入する際の注意点やトラブルは多く、加えてリフォームなども絡んでくるため、住宅ローンの組み方にはじまり、専門的な視点が欠かせなくなってきます。年収倍率の高まりと中古住宅取引の増加。

 この2つによって、もともと簡単ではない住宅購入の難易度は高まっているのです。

● とはいえ、住宅購入は富裕層だけのものになったわけではない

 ただ、住宅購入の難易度が上がっているからといって、お金を持っている富裕層だけの選択肢になっているかというと、そんなことは決してありません。

 むしろ、こういったなかで感じることは、いい家を買えるかどうかは資金の差ではなく考え方の差によるところが大きいということです。言い換えれば、多くの人が、住宅・不動産リテラシーが未熟であると私は感じています。ここでいうリテラシーとは、「情報を適切に理解、解釈して活用すること」を指します。

 これは、知識がないというよりは、住宅購入に対する考え方やスタンスの部分が未熟な人が多く、またそういったことを学ぶ機会がほとんどないことも意味します。書店に行けば、住宅購入の本はたくさん置いてあるのに、住宅購入に悩んでいる人や一歩目を踏み出せない人は増える一方です。

 住宅購入に正解はありません。同じ5000万円の物件を買うとしてもライフスタイルや年収の違いによって、それが正解になる人もいれば失敗になる人もいます。大事なことは、世の中の価値観に振り回されず、自分に合った家を選ぶことです。

 たまに、タワマンを買ったからといって人生の勝ち組なったと考えている人がいますが、残念ですが、そんなことはありません。タワマンも素敵な買い物ですが、それは人生における幸せの一要素です。もし、タワマンを買うことが目的になっていたとしたら、それは幸せと言えるのでしょうか。

 「家とは自分が幸せになるためのツールである」と私は考えています。決してゴールではありません。ですから、「賃貸VS購入」、「マンションVS戸建て」、「新築VS中古」、「変動金利VS固定金利」など、世間的な対立軸に惑わされず、自分に合った選択をしてほしいと思います。

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最終更新:5/13(月) 6:02

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