ブラザーが価値向上策示せば、TOBに応じる可能性=タイヨウCEO

4/19 12:18 配信

ロイター

Miho Uranaka Rocky Swift

[東京 19日 ロイター] - 業務用プリンターなどを手がけるローランド ディー.ジー.のMBO(経営陣が参加する買収)を巡り、同社を支援する米ヘッジファンド、タイヨウ・パシフィック・パートナーズのブライアン・ヘイウッドCEO(最高経営責任者)は、対抗して買収提案をしているブラザー工業が、MBOを超える企業価値向上策を示すことができる場合には、保有する株式の売却も検討する意向を示した。

ロイターとのインタビューで語った。ローランドDGは2月、タイヨウと組み株式の非公開化を目指して1株当たり5035円でTOBを開始。その後、家庭用プリンターで知られるブラザーがこれを上回る5200円で対抗TOBを表明している。

ヘイウッドCEOは、ローランドDGとブラザーが過去4年間にわたり協業を模索したがトラブルが多発したとし、劇的に業績を向上させた日本企業が「大金持ちの『いじめっ子』からアプローチを受けているが、以前、彼らと協業をしようとして失敗している」と述べた。

タイヨウは、2005年にローランドDGの株式を取得し、現在約19%を保有する筆頭株主だ。ヘイウッドCEOは20年に取締役に就任。ローランドDGの株価はそれからMBO発表前までに約4倍になり、18日の終値は5490円だった。ヘイウッドCEOは、昨年9月にブラザーから買収の意向が示されてから取締役会を欠席している。

ブラザーの対抗TOBについて、ローランドDGはブラザー傘下に入ることによる「ディスシナジー(負の相乗効果)発生の懸念を払拭できていない状況である」として、解消に向けてブラザーに質問状を送るなどしている。想定される「ディスシナジー」について、詳細を明らかにしていないが、ブラザーとの間で協議を続けているという。

ヘイウッドCEOは「ブラザーがこれらの問題に対処し、それが適切な価格であれば、TOBに応じて保有する株式の売却を検討するつもりだ」と話す。ブラザーの出方によっては、TOBの価格引き上げも「選択肢のひとつ」とも語った。タイヨウは先週、公開買付期間を今月26日まで延長することを公表している。

タイヨウは以前、ローランドDGの親会社だった電子楽器メーカーのローランドを非公開化し、その後株式を再上場させた経緯もある。

経済産業省が企業買収指針を策定、東京証券取引所も市場区分を再編し、株主重視の姿勢を一段と強める中、MBOが増加している。LSEGのデータによると、日本では23年に28件、総額で前年比約2.7倍、6280億円のMBOが行われた。

ローランドDGのように争奪戦になるような買収が増加する可能性も高い、とヘイウッドCEOは指摘する。昨年7月には、ニデックによるTAKISAWAへのTOBや、第一生命ホールディングスによるベネフィット・ワンへのTOBなど、相手の同意がない買収提案も広がってきた。

ヘイウッドCEOは、こうした状況を興味深いと語り、「日本の中小企業には、積極的に改革を行ったり、自ら合併を行ったりするチャンスがたくさんある」との見方を示した。

*インタビューは17日に実施しました。

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最終更新:4/19(金) 12:18

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