子どもに「いい点取ったらご褒美」はNGな深い理由 試験結果で報酬をあげる東大生の親は少ない

4/2 9:41 配信

東洋経済オンライン

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。
その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第110回は子供の勉強の成果に対して、ゲームやスマホを買うなど、報酬を与えることの是非をお話しします。

■勉強の成果に対して報酬をあげる親

 みなさんは、子どもの勉強の成果に対して報酬を与えることについて、どう思いますか? 

 例えば、「次のテストで満点が取れたら、ゲームを買ってあげる」とか、「英検3級が取れたら、スマホを買ってあげる」など、勉強の成果に対して子どもに何らかの報酬をあげる家庭は多いですよね。

 そういった指導は、短期的にはとても効果があるものです。勉強のモチベーションにつながりますし、やる気も大幅にアップすることと思います。

 しかし、これを続けてしまうと、うまくいかなくなることが多いのです。実際、東大生の親御さんに話を聞いてみても、そうした育て方をしている家庭はほとんどありませんでした。

 「1度もしたことがない」または「1度だけ、勉強の成果に対して報酬をあげたけれど、それ以降はそういうことはしていない」という家庭がほとんどでした。なぜ、東大生の親は、子どもの勉強に対して報酬を与えないのでしょうか? 

 これについて言及している『ドラゴン桜』のワンシーンがあるので、まずはご覧ください。

 ※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

 いかがでしょうか。桜木先生が話しているとおり、勉強のモチベーションが「報酬」だけになると、それ以降の勉強がおろそかになってしまいます。一度「ゲームを買ってもらえるから勉強しよう!」と思ってしまうと、それ以降のテストでは、「ゲームが買ってもらえないんだったら、もうあんまりやる気にならないな」と思ってしまい、むしろ勉強に対するモチベーションは下がってしまうんですよね。

 そのため、報酬をゴールにし続けるというのは、長期的に見ると子どもの勉強に対して悪影響なのです。

 それではどうすれば勉強のモチベーションが上がるのでしょうか。まずは子どもに大きなゴールを立ててもらうことがいいと思います。中学や高校・大学でどこに行きたいのか、という長期的なゴールを設定しましょう。

 例えば勉強に対してやる気が低い子どもでも、「〇〇高校に行きたい!」となったら、やる気を出して勉強することでしょう。逆にやる気が低かったら、「このままだと〇〇中学に行けないけど、それでもいいの?」と言ってあげましょう。

■行きたい大学がないときは、東大を目指そう

 普段の勉強に身が入らないのは、長期的な目標がないからです。「頑張らなくてもいい」と思ってしまうのは、目標がないからです。子どもが自分で、「今頑張らないと、将来の自分に大きなマイナスがある」「行きたいところに行けないかもしれない」と考えることができると、やる気が湧いてくるものです。

 「でも、目標がないんだよな」「行きたい大学なんてないし」と子どもが思うかもしれない、と考える親御さんもいるかもしれません。そういうときは「東大に行こう!」とアドバイスするのがいちばんいいと思います。

 「何を言っているんだ」と思う人もいるかもしれせんが、極端なことを言っているわけではありません。野球部に入ったら、とりあえず甲子園を目指しますよね。陸上部だったらインターハイを目指しますよね。実力はどうであれ、とりあえず目標はいちばんテッペンに置くと思います。

 勉強だったら東大です。「こういうことがしたい」という具体的なイメージがないのであれば、そして目指す大学がないのであれば、無条件で、東大でいいのです。

 高い目標があれば、人は頑張れるようになります。もし「東大を目指したら?」と親御さんが言って、子どもから「ええ、そんなのは無理だよ」と言われたとしても、根気強く言い続けると、いつの間にかその気になっていることもあります。

■モチベーションはずっと機能し続ける

 東大生の親御さんに話を聞くと、小さいときから根拠なく「東大を目指したらいいんじゃない?」と言い続けていたという家庭が多いです。

 最終的に東大を目指さなかったとしても、「東大に行けるかもしれないんだから、もっと勉強しよう」という意識自体は、ずっと勉強のモチベーションとして機能し続けるはずです。それは、短期的な報酬よりもずっと効果のあるものになるはずです。ぜひ試してみてください。

受験勉強や、子供への教育など、西岡壱誠さんへの質問を募集しています。こちらの応募フォームからご応募ください。

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最終更新:4/2(火) 9:41

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