定年後、再雇用「以外」の形で働く人も必ず知っておきたいこと

4/20 11:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 定年の前と後では、働き方や労働条件が変化するのは一般的なこと。再雇用で同じ会社に働き続ける以外の選択肢についても考えておきたいものです。新たな契約を結ぶ前に知っておきたいワークルールの基礎知識をおさえておきましょう。(社会保険労務士 佐佐木由美子)

*本記事は、佐佐木由美子『1日1分読むだけで身につく定年前後の働き方大全100』(自由国民社)を再編集したものです。
● 無期転換ルールを知ってる?

 定年後に再雇用などで働く場合、期間の定めのある労働契約で働くのが一般的です。そこでぜひおさえておきたいのが「無期転換ルール」です。

 無期転換ルールとは、同一の使用者(企業)との間で有期労働契約が5年を超えて更新された場合、嘱託社員など有期契約労働者からの申込みにより期間の定めのない労働契約(=無期労働契約)に転換されるルールのこと。たとえば契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に無期転換の申込権が発生します。有期労働契約で働く人の雇止めの不安を解消するための制度で、申込みをすれば無期労働契約が成立します。

 では定年後も無期転換の申込みをすれば、ずっと働けるのでしょうか?もし可能となれば、自主的に辞めない限り、いくつになっても企業は雇用を続けなくてはなりません。 そこで企業が高齢者の無期雇用に応じなくてもよい制度として、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者等については、有期雇用特別措置法により都道府県労働局長の認定を受けることで、無期転換申込権が発生しないとする特例が設けられています。再雇用で働くときは、雇用契約書にこうした特例に関する記載があるかどうかチェックしましょう。

【10秒チェック!】定年に達したあと、引き続いて雇用される有期契約労働者には無期転換申込権が発生しない場合も。再雇用で働くときは、契約内容を確認しましょう。

● 業務委託契約で働くときに気をつけたいことは?

 フリーランスや個人事業主として業務委託の形で働く場合、はじめに業務委託契約の内容を書面で確認しておくことが大切です。

 2023年5月には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称「フリーランス法」)が公布されました(2024年秋頃までに施行)。個人や一人会社で従業員を雇わず業務委託を受けるフリーランスを「特定受託事業者」とし、業務委託を発注する事業者には、契約条件を書面や磁気的方法で明示することなど義務付けています。業務委託契約で取引をする際は、業務内容、報酬額、支払期日などの条件をはじめ、秘密保持や損害賠償、契約の解除など一方的にこちら側が不利になるような条項が含まれていないかチェックしましょう。

 契約の種類としてはコンサルティング業務などに多い毎月定額型のほか、営業の受注獲得件数に応じて報酬が発生する成果報酬型や稼働時間に応じた時給計算型などさまざまです。業務委託契約では基本的に働く環境は自由です。委託者側が受託者側に対して直接指示を行うと、偽装請負と判断されることがあるので要注意。労働契約のように業務の遂行方法などに強い拘束を受けることがないか、本来の業務委託契約であるかどうかもきちんと確認しましょう。

【10秒チェック!】業務委託を発注する事業者は、今後契約条件を書面等で明示することが義務に。取引時には必ず内容を確認しましょう。

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最終更新:4/20(土) 11:02

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