インタビュー:過度な円安は是正必要、2%物価目標の弾力的見直しを=中尾元財務官

4/8 15:40 配信

ロイター

Yoshifumi Takemoto Tetsushi Kajimoto

[東京 8日 ロイター] - 元財務官の中尾武彦みずほリサーチ&テクノロジーズ理事長は8日、ロイターのインタビューに応じ、足元の為替水準は過度に円安で是正が必要だとし、いつ介入があってもおかしくないと述べた。日銀が2%の物価目標を掲げていることも円安要因だと指摘、物価目標の弾力的な見直しが必要との考えを示した。

中尾氏は、現在1ドル151円台で推移する為替水準について「ビッグマック指数や国際通貨基金(IMF)が試算する購買力平価などと比較しても明らかに過度に円安」と指摘。円安が「実質賃金、消費を下押ししている」として円高方向への是正が望ましいとの見解を示した。

為替介入については「いつでもあり得る」と発言。通貨安誘導でなく「過度の自国通貨安に対抗する為替介入は米国など海外の理解も得られやすい」と述べた。

また「市場経済システムにおいて金利は重要な指標で、あるのが常態。円安是正の効果を持つ日銀による追加利上げは望ましい」としつつ、適切な時期や利上げ幅については発言を控えた。

円安是正の一環として中尾氏は政府・日銀が掲げる2%物価目標の見直しを提唱する。本来インフレを抑制するために欧米中央銀行が導入を始めたインフレターゲット(物価目標)政策について、日本のように「デフレ下で長くこだわることについては実効性や副作用に疑問が持たれる」と批判した。

日本国内の足元の物価上昇については「エネルギーや食糧などの国際価格の上昇と円安を反映したもので、安定的な物価上昇と認めにくいのはわかる」と指摘。「賃金上昇を伴う持続的な物価上昇の達成が難しいとした場合、日銀が2%目標を掲げている限り、緩和的な政策を継続せざるを得ず、金利差を通じて円安要因になる」との見方を示した。

3月に日銀が決めた異次元緩和の諸方策の修正は適切だが「(異次元緩和は)副作用も大きく、もっと早く修正できればよかった」とも述べた。

中尾氏は2013年からほぼ10年にわたる大規模な金融緩和の副作用として「国債の大量購入による財政規律の喪失、内外の金利差を反映した行き過ぎた円安、債券市場のゆがみや、長短金利差がなくなることによる金融セクターの機能低下」などをあげた。

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最終更新:4/8(月) 15:40

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