中国ファーウェイ、スマホも自動車も破竹の勢い 2024年の売上高22%増、実質8割増益を達成
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の業績伸張が止まらない。同社が3月31日に発表したアニュアルリポート(年次報告書)によれば、2024年の売上高は前年比22.4%増の8620億7200万元(約17兆7781億円)に達した。
純利益は625億7400万元(約1兆2904億円)と、前年との単純な比較では28%減少した。ただし、これはファーウェイが2020年に譲渡したスマートフォンのサブブランド「栄耀(Honor)」の売却益を複数年に分けて決算に組み入れていた影響によるものだ。
栄耀の売却益は損益計算書の「その他の収益」の一項目に含まれる。2023年は558億5300万元(約1兆1518億円)を計上していたが、2024年はゼロになった。これを除外して試算すると、2024年の税引き前利益は前年比8割近い増益となる。
■5Gインフラ事業も成長持続
「2024年の業績は予想通りであり、中でも自動車関連事業は初の通期黒字化を達成した。この先10年はAI(人工知能)の演算能力に対する持続的な需要拡大が、巨大なビジネスチャンスになるだろう」
ファーウェイの輪番董事長(訳注:交代制の会長職。任期は6カ月)を3月末まで務めた孟晩舟氏は、声明の中でそうコメントした。
事業部門別に見ると、通信事業者向けの「ICTインフラ事業」は2024年の売上高が3699億300万元(約7兆6283億円)と前年比4.9%増加。ファーウェイによれば、競合他社と差別化した5G(第5世代移動通信)ネットワークのソリューションを提供し、ヨーロッパやアジアの通信事業者の収益改善に寄与したことが受注拡大につながったという。
ファーウェイのICTインフラ事業の一部であるコンピューティング事業では、サーバー向けCPU(中央演算処理装置)の「鯤鵬(Kunpeng)」やAIチップ「昇騰(Ascend)」など、AI演算能力の要となる独自の半導体の開発を加速している。とはいえ、これらのチップを活用するソフトウェアのエコシステムは、まだ万全とは言えない状況だ。
ICTインフラ事業と並ぶ柱である「消費者向け端末事業」は、2024年の売上高が3390億600万元(約6兆9912億円)と前年比38.3%の大幅増収を記録。ファーウェイがアメリカ政府から制裁を受ける前の2018年の水準に迫った。
消費者向け端末事業の領域には、スマートフォンやスマートウォッチなどのデジタルデバイスとともに自動車関連事業も含まれている。
■スマホの販売台数5割増
そのうちスマホ事業に関して、ファーウェイは2024年に競合メーカーを凌駕する躍進を遂げた。市場調査会社IDCのデータによれば、ファーウェイ製のスマホの販売台数(出荷ベース)は前年比5割増加。中国のスマホ市場におけるシェアは前年の11.7%から16.6%に上昇し、アップル、栄耀、OPPO(オッポ)を抜いてvivo(ビボ)に次ぐ第2位に浮上した。
自動車関連事業の急成長も、消費者向け端末事業の大幅増収に貢献した。ファーウェイが主導するスマートカー連合「鴻蒙智行(HIMA)」は、協業先の自動車メーカーと立ち上げた5つのブランドを傘下に擁する。
ファーウェイによれば、5ブランドの2024年の総販売台数は43万台を超え、中国のEVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)の市場における車両価格30万元(約619万円)以上のカテゴリーでトップシェアを獲得したという。
(財新記者:劉沛林、呂婭霆)
※原文の配信は3月31日
東洋経済オンライン
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最終更新:4/22(火) 16:02