米インフレに中国発の「上昇圧力」、金融緩和開始に遅れも-NY連銀

3/27 3:51 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 不動産不況に見舞われる中国が製造業や景気をてこ入れする取り組みは、米国のインフレに「有意な上昇圧力」を与え、金融緩和開始の遅れにつながる可能性があると、ニューヨーク連銀が新たな調査リポートで指摘した。

中国製造業企業への信用の流れは過去数年に急加速している。当局が不動産セクターへの融資減少を補おうと努めていることが背景にある。製造業を後押しする政府指導部の発言と相まって、こうした新たなアプローチは中国の経済成長率を少なくとも短期的に、過去2年間を上回るペースに加速させる可能性があると、ニューヨーク連銀のエコノミストは記した。リポートは同連銀の公式ブログに今週掲載された。

このシナリオが現実となる場合、中国製造業による需要増加はコモディティーや中間財の価格を押し上げ、ドル下落をもたらす公算が大きいと、ニューヨーク連銀の同チームは説明。そうなれば「米インフレのリスクバランスは持続的に上方向に傾斜する」とし、「そのようなインフレ要因は、政策緩和への市場の期待を後ずれさせる可能性がある」と続けた。

米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、1月に前年同月比で2.4%上昇。伸びは1年前の半分より低いが、なお当局の2%目標を上回る。投資家は現在、米利下げ開始時期を6月か7月と予想している。

ニューヨーク連銀のチームは今回の調査結果について、「製造業主導の中国景気拡大は米国にとってディスインフレ圧力になるという一般的な見解と、明らかに食い違っている」と指摘。中国製品の価格は、品数の増加により下がる可能性が高いが、コモディティー価格の上昇といった他の影響がそれを上回るとの見方を示した。

その上で、信用フローの変化で中国経済の生産が押し上げられたとしても、短命の「シュガーハイ」に終わる可能性が高いとも同エコノミストらは記述。中国が既に「世界の製造業エコシステムにおいて突出した存在感」を持っているためだと論じた。

原題:US Faces Inflationary Risks From China Factory Boom, NY Fed Says(抜粋)

--取材協力:Christopher Condon.

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:3/27(水) 3:51

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