(ブルームバーグ): 日本の外貨準備高は4月末時点で約1兆2790億ドル(約199兆円)と、前月末から116億ドル減少した。政府・日本銀行が同月29日に円買い介入を実施したとみられ、介入原資となる外貨準備の変化が注目されていたが、今回の結果には反映されていない可能性があるとの見方が出ている。
財務省が9日発表した「外貨準備等の状況」によると、外貨準備高のうち証券は9780億ドルと前月末比で169億ドル減少。一方、預金は1577億ドルと前月から27億ドル増加した。
証券の減少について財務省は、3-4月末まで長期金利が0.4%程度上昇し、債券の時価評価額の減少につながったことに加え、ドル高に伴いドル以外の外貨資産のドル換算額が目減りしたと説明。それ以外の要因は臆測を招くため回答できないとした。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、「介入が入っているともっと低くなっていないとおかしい」と指摘。「29日の介入であれば決済日は5月1日のため、4月末の外貨準備には介入は反映されていない可能性がある」と語った。5月末の外貨準備高は6月上旬に発表される。
政府は為替介入の有無を明らかにしていないが、日本銀行の統計から推計すると、4月29日に円が1ドル=160円台に急落後、154円台に急反発した局面で5.5兆円(約350億ドル)規模の円買い介入が行われた可能性が高い。2022年10月21日の過去最大5.6兆円の円買い介入に匹敵する規模とみられる。
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--取材協力:横山恵利香.
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最終更新:5/9(木) 10:58
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