ステーブルコインの拡大が停滞──アメリカのCPI発表を前に

5/14 7:00 配信

CoinDesk Japan

第1四半期の暗号資産(仮想通貨)強気相場で重要な役割を果たしたステーブルコイン(ドルペッグ型暗号通貨)の拡大は、ビットコイン・ブロックチェーンが4月20日に強気のイベントとされるマイニング報酬の半減を実施して以来、停滞している。


90%以上のシェアでステーブルコイン市場を支配している上位3つのステーブルコイン、すなわちテザー(USDT)、USDコイン(USDC)、ダイ(DAI)の合計時価総額は、過去3週間、1490億ドルと1500億ドルの間(約23兆円前後、1ドル=155円換算)で推移している。


10x Researchによると、この統合は数週間の上昇トレンドの後であり、市場に弱気な影響を与える可能性があるという。


「半減以来、ステーブルコインの流入はほぼゼロになり、ビットコイン先物のレバレッジは劇的に減少した。半減後の上昇に関する強気な発言とは裏腹に、暗号資産トレーダーは資金を引き揚げたり、流入を一時停止したりしている」と、10x Researchの創設者であるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は5月13日の顧客向けメモで述べた。


ティーレン氏は、ビットコイン(BTC)は今後数週間で5万5000ドル以下に調整する可能性があり、世界第2位のトークンであるイーサリアム(ETH)は2500ドルまで下落する可能性があると付け加えた。


トレーダーは暗号資産の購入やデリバティブ取引の資金調達に広くステーブルコインを利用していた。したがって、その供給量の拡大は、市場への流入の増加、すなわち強気の展開を意味すると言われており、その逆もまた然りだ。


3つのステーブルコインを合わせた時価総額は、半減までの4カ月間で23%以上増加し、約1490億ドル(約23兆円)に達した。市場のリーダーであるビットコインの価格はその間に50%以上上昇し6万5000ドルとなり、暗号資産の時価総額は50%増加し3兆2000億ドル(約496兆円)となった。


ステーブルコインの拡大停滞は、アメリカのスポット型上場投資信託(ETF)への資金流入が著しく減速していることと重なる。


Coinglassのチャートによると、ETFへの日次フローは4回目の半減を挟んだ数週間で著しく減速し、ビットコインの強気相場の風が弱まった。半減以来、BTCは6万ドルから6万5000ドルの間で冴えない取引が続いている。

アメリカの消費者物価指数(CPI)と中国の景気刺激策が下支えになるか

5月15日に発表されるアメリカの消費者物価指数(CPI)が予想を下回る可能性があり、ビットコインが6万5000ドルを上回ると予想する向きもある。


ニュースレターサービスLondonCryptoClubの創設者はCoinDeskに「15日のCPIは、6万5000ドルを突破し、株式と同様に年初来高値を更新できるかどうかの鍵となるだろう。レバレッジが不足していることから、市場は上値を追う体制が整っておらず、今朝はこの跳ね返りを追わざるを得なかった」と語った。


ブルームバーグによると、4月のCPIは前年同月比3.4%上昇し、3月の3.5%から緩やかになるとの見方がコンセンサスとなっている。コアCPIは、変動の激しい食品とエネルギーを除いたもので、前年同月比3.6%上昇と、3月の3.8%から低下すると予想されている。


インフレ率が再び鈍化すれば、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が高まり、暗号資産を含むリスク資産への資金流入に拍車がかかるだろう。


中国による流動性注入計画も、その一助となる可能性がある。ブルームバーグによると、世界第2位の経済大国である中国は、12月までに1兆元(約1400億ドル、約21兆5000億円)の国債の売却を目指しており、このような国債の発行は過去26年間で4回目となる。


「ビットコインが本日早朝に6万3000ドルまで跳ね上がったのは、おそらく中国が『中国の特色ある量的金融緩和』で市場に流動性を氾濫させようとしているからだろう」とLondonCryptoClubの創設者たちは語った。


「今朝、中国は景気刺激策として1兆元の長期国債を発行する号砲を鳴らした。人民銀行はまた、習近平の指示の下、これらの債券を流通市場で購入することをほのめかしている。中国は市場に流動性の波を起こそうとしている」と彼らは付け加えた。


|翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Stablecoin Expansion Stalls Ahead of U.S. Inflation Data

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最終更新:5/14(火) 7:00

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