慶應卒・年収800万・・・46歳の彼が婚活で大苦戦→再婚にたどりついた軌跡

4/7 10:32 配信

東洋経済オンライン

 結婚が当たり前ではなくなった時代。自分に合った相手を見つけて相手からも選んでもらえることはどんどん難しくなっている。年齢を重ねて、独身の同世代が少なくなるとなおさらだ。

■エリート会社員博之さんが離婚した理由

 2年前に再婚を果たして現在は子育て中の矢野博之さん(仮名、46歳)のスペックは決して悪くない。東京23区内に実家があり、慶応義塾大学を卒業してからは一人暮らしをしながらの会社員生活。大手メーカーで管理職をしている現在の年収は800万円を超える。

 「新卒で入った会社で20年近く勤めてから転職し、今の勤務先で3社目です。婚活をしていたときも年収は700万円ほどありました」

 身長は166センチで体重は70キロ台後半。スマートとは言えないが太り過ぎでもない。頭髪はやや後退しているが優しく真面目そうな雰囲気を漂わせている。

 「婚活を始めたのは2015年11月です。結婚相談所での5年半で150人以上とお見合いをしたと思います。お見合い申し込みを断られたことは数え切れません」

 東京在住のエリート会社員である博之さんには2つの弱点があった。1つ目は離婚歴があって前妻との間に息子がいて養育費を払っていること。それだけでお見合い自体を断られることが圧倒的に多かったという。

 「前の妻はすぐに再婚して、再婚相手と息子は養子縁組をしました。だから私が養育費を払う必要はないのですが、実の父親であることには変わりないので月1万円だけ息子名義の銀行口座に振り込むようにしています。会うのは年に1回程度ですけど」

 気になる離婚理由も博之さんは詳細に教えてくれた。4歳年下の前妻との出会いはネット婚活で、交際していたときに海外駐在になったのをきっかけに結婚。帰国後に子どもが生まれてから前妻の性格が急変したという。

 「専業主婦だったので家事や育児を任せ過ぎていたのがよくなかったのかもしれません。反省して私も家事に参加するようにしたのですが、『お前』呼ばわりをされるようになって殴られたこともありました。それに私が怒ると110番通報をされ、私が暴力を振るったと嘘をつかれて……」

 明らかにDV被害だが、博之さんは結婚自体が嫌になることはなかったようだ。前妻の申し入れで離婚をした後、「一人はやはり寂しい」と婚活を再開。今度こそちゃんとした女性と結婚したいと思って結婚相談所に入会した。しかし、交際相手から宗教の勧誘をされるなどのトラブルがあったという。大人しそうな博之さんは狙われやすいのかもしれない。

 「相手は私と同じくその結婚相談所の会員だったので明らかに管理不行き届きです。クレームをつけてすぐに退会しました」

 社会人としては管理職分野でのキャリアを重ねているという博之さん。雰囲気は優しげだけど、プロの「管理」には厳しいのだ。勤め先と同じく結婚相談所も2回替えて、3社目で相性のいいカウンセラーと出会って成婚に至った。

■女性に好かれるような立ち振る舞いができない

 「そこにも3年間お世話になりました。結婚したかったので途中で諦めようと思ったことはありません。断られても次があるだろうと思い続けていました」

 なかなかの強メンタルである。ただし、博之さんの努力は「自己改善」よりも「活動継続」に集中していた。2つ目の弱点である「女性に好かれるような立ち振る舞いができない」ことは少しずつしか直らなかった。

 「カウンセラーの方と月に1回面談ができたので、無頓着だった身だしなみなどは少し直せたと思います。でも、炎天下でハイキングデートに誘ってしまったり、学歴の話ばかりして嫌われたり。私の目がギラギラしていて怖かったという理由で、婚約をした3日後に交際終了されたこともあります」

 いわゆる高望みをしていたわけではない。旅行やドライブ、山歩きなどの趣味を共有できる同世代ならばいいな、と願っていたに過ぎない。実際、婚約を解消された相手は同い年のシングルマザーだった。

■楽観的で寛容な11歳年下の女性と出会う

 そんな博之さんに幸運が訪れたのは婚約解消の翌月だった。落ち込みながらも結婚相談所の上限数までお見合い申し込みをして、そのうちの1人である志保さん(仮名)と会うことができた。博之さんより11歳も年下の未婚女性である。

 「趣味はまったく合わなかったのですが、なぜか印象はお互いに悪くなかったようです。妻は熱烈な広島カープファンなので、今では私もにわかファンになっています」

 薬剤師の志保さんは楽観的で寛容な女性らしい。ネガティブになりがちな博之さんが彼女のことを「ますます好きになった」出来事がある。

 「真剣交際中に東京ドームで巨人対広島戦を観に行きました。私は待ち合わせ時間を1時間も間違えてしまったのです。それを理由に交際終了されてもおかしくありません。でも、彼女は『本屋で立ち読みをしていたから大丈夫』と軽い調子で許してくれました。とにかく心の広い人なんです」

 結婚後は志保さんの希望で不妊治療を受けて子どもを授かった。費用は博之さんも出すつもりだったが、そのために貯金していたという志保さんが全額負担。住まいは博之さんが借りている45平米の賃貸マンションに志保さんが引っ越して来てくれた。

 「家賃や光熱費、コープの宅配などは私の銀行口座から引き落としされていますが、妻も月末に一定金額を振り込んでくれています」

■辛い体験をしてきたからこそ得た幸せ

 離婚と婚活で貯金がほとんどなくなったという博之さん。稼ぐ力がある志保さんとの生活に深い安心感を覚えているようだ。ただし、結婚・出産を経ても「全然怒らない」という志保さんの朗らかさには、経験を重ねて成熟した博之さんの立ち振る舞いも影響していると筆者は思う。

 「病院勤務の妻は1年間の育休中ですが、私も2カ月半は育休を取得して家事と育児に専念しました。職場復帰した今でも、泣き叫ぶ子どもの世話で大変な妻の負担を少しでも減らすようにがんばっているつもりです。仕事優先で週末限定の家事・育児だった前の結婚の私とは大いに違います」

 DV被害からの離婚や謎の理由での婚約解消といった辛い体験をしてきた博之さん。だからこそ志保さんに対して尊敬と感謝を持ち、思いやりのある行動ができているのだろう。幸福は他人とは比べられないけれど、過去の自分と比較して現状の有難みを実感することはできる。博之さんの前妻や前の婚約相手も、今ごろはそれぞれの幸せを噛み締めているかもしれない。

 (取材協力:結婚相談所Bridalチューリップ)

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最終更新:4/7(日) 10:32

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