英賃金上昇率の鈍化続く、12─2月は前年比6.0% 中銀に安心材料

4/16 15:47 配信

ロイター

[ロンドン 16日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が16日発表した2023年12月─24年2月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比6.0%と再び鈍化し、22年7─9月以来の低水準だった。

賃金上昇圧力が弱まる兆しが見られ、イングランド銀行(英中銀)には一定の安心材料となった。ただ伸びは依然として高く、職探しをやめる人が増えるなど問題は残る。

11─1月は6.1%、ロイターがまとめたエコノミスト予想は5.8%だった。

英中銀は通常賃金の伸びを利下げ開始時期の判断材料として注目している。

インフレ調整後の前年比上昇率は2.1%と、21年半ば以来の高い伸びとなった。

変動が激しいボーナスを含む賃金の上昇率は5.6%で、11─1月と同じだった。エコノミスト予想は5.5%だった。

失業率は3.9%から4.2%に上昇。労働市場の減速を示唆しているが、統計局は、データ収集の見直しを行っており若干不安定な部分があるとしている。

1─3月の求人件数は昨年10─12月から1万3000件減で21回連続の減少。前年比で20万4000件減の91万6000件だったが、依然コロナ前の水準を12万件上回っている。

KPMG・UKのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は、失業率の上昇と賃金上昇圧力の鈍化は、労働市場のインフレへの影響が弱まっていることを示唆していると分析。「賃金上昇が若干緩和したことは、インフレ圧力の重要な指標として賃金データを注視してきた英中銀にいくらか安心感をもたらすだろう」と述べた。

賃金上昇率の発表直後にポンドは一時対ドル・ユーロで下落した。市場では年内の英利下げ予想が後退している。

ONSによると、職に就いておらず就業意欲もない非労働力人口の割合は22.2%と、15年半ば以来の高水準となった。

長期疾病登録者数は283万人と、1993年の記録開始以降で最高となった。

求人検索サイト大手インディードのシニアエコノミスト、ジャック・ケネディ氏は「労働市場は徐々に落ち着く状況が続いているが、賃金の伸びは依然高く、インフレへの懸念は消えていない。米インフレ率が高水準で目先の米利下げ見通しが後退しており、英金利も秋までの引き下げには疑問符がつく」と指摘した。

ロイター

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最終更新:4/16(火) 19:51

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