ボーイングの品質問題、旅行者にも余波広がる-航空会社が便数削減

3/18 0:27 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米ボーイングは2024年に入り問題が続き厳しい状況に陥っているが、その余波は航空会社や旅行者にも広がっている。生産の遅延により、単通路機の不足が深刻化しているためだ。

ボーイングは1月5日にアラスカ航空便での事故によって露呈した品質問題への対応に注力しており、そうした中で米国のユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスやサウスウエスト航空、アイルランドのライアンエアー・ホールディングスなどは、ボーイングからの納入減への対応に苦慮している。

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夏の繁忙期を控え、航空会社は減便や既に発注した737型機の代替機探しに動く一方、エアバスの単通路機を巡る問題への対応にも迫られている。当局はボーイングに対する検査を続けており、航空機の納入時期については同社でさえ明確に分からないようだ。いつ正常な状態に戻れるのか、ボーイングは確実な予測を立てられない状況にある。

航空機リース会社エア・リースのジョン・プルーガー最高経営責任者(CEO)は、「彼らは、われわれの考える通りのことを言っているだけだ。つまり『可能な限りの努力をしている。混乱を引き起こして申し訳ない。最善を尽くしている。確証が得られ次第、通知する』というメッセージだ」と述べた。

ボーイングの主要な競合相手であるエアバスは数年先までほぼ完売状態のため、航空会社としては代替機を探す上で明白な選択肢は存在しない。ボーイングと同様、エアバスも生産量を新型コロナウイルス禍前の水準へと再び引き上げることに苦慮している。エアバスを巡っては、エンジンの不具合で数百機が運航停止となり、航空会社の需要が特に高まる時期に機体不足の問題を悪化させる事態を招いている。

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ボーイングは声明で、「生産システム全体の品質強化に向けた改革を実施し、また規制上の全ての要件を満たす高品質の航空機を納入するため必要な時間をかけることに全力を注いでいる。当社は、これらの問題や対応について顧客と緊密な連絡を取り続けている」と説明した。

乗客にとっては、こうした状況により航空便の選択肢が減るほか、少なくとも一部の人気路線では運賃が上昇する可能性がある。航空機不足は、ボーイングの737やエアバスのA320ファミリーといった短中距離向けの単通路機で主に発生している。世界の航空機の大半をそうした単通路機が占めており、よって長距離路線より国内線への影響が大きい。

アメックス・グローバル・ビジネス・トラベルによれば、ニューヨーク-ロサンゼルス間において、航空会社は需要を満たすだけの座席を用意できていない。また夏の旅行シーズンのピーク時には、米国の両岸を結ぶ路線のビジネスクラス運賃は最大8.5%上昇する見通しだ。

また同社によると、シアトル-サンフランシスコ間では今年上期、ビジネス、エコノミー共に運賃が最大18%上昇すると予想されている。シカゴ-ラスベガス間でも9.6%の値上がりとなりそうだ。

原題:Boeing’s Pain Spreads to Travelers as Airlines Cut Back on Plans(抜粋)

--取材協力:Danny Lee、Jinshan Hong、Kate Duffy、Siddharth Vikram Philip、Mary Schlangenstein.

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:3/18(月) 0:27

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