(ブルームバーグ): 外国為替相場の円安進行が物価上昇圧力を強めるとの見方が広がっており、日本のインフレに対する投資家の期待値を示す指標が過去最高水準になった。
新発10年国債から物価連動債の利回りを差し引くことで将来の物価上昇予想を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が17日、1.508%に上昇した。インフレ連動債が発行され始めた2004年までさかのぼったブルームバーグのデータによると、1.5%超えは初めてだ。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、インフレ期待の高まりはグローバルな現象だとした上で、「日本のインフレ期待はこれまで低かった分、最近の上昇が目立っている」と指摘。日本銀行は利上げが遅れて後手に回るビハインド・ザ・カーブに陥る可能性は低いと主張しているが、その可能性が無視できなくなっており、日銀に早めの政策対応を促す材料になり得ると語る。
日銀は26日の金融政策決定会合後に公表する展望リポートで、24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しの上方修正を議論する公算が大きい。26年度は2%程度の上昇が見込まれているという。
日銀が24年度物価見通しの上方修正を議論へ、好調な賃上げで-関係者
日銀が12日公表した生活意識に関するアンケート調査によると、1年後と5年後の物価が「上がる」と回答した人の割合が前回の昨年12月調査から増加し、家計のインフレ期待はしっかりした動きとなっている。1日に発表した企業短期経済観測調査(短観)では、企業の物価全般の見通しが2%台で定着しているほか、販売価格の見通しは一段と上方修正された。
消費者や企業のインフレ期待の上昇に対して市場のインフレ期待は出遅れていたが、BEIが過去最高水準に上昇してきたことで、一段と金利上昇圧力が強まる可能性がある。野村証の松沢氏は、日銀は基調的な物価上昇率が2%まで高まるという確度が高まったと判断すれば、追加利上げに踏み切るだろうとみている。
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最終更新:4/17(水) 15:53
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