政局にらむユーロ・ポンド【フィスコ・コラム】

6/23 9:00 配信

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海峡を挟んで対峙する英仏両国が、奇しくも同じタイミングで政治情勢の歴史的転換点を迎えています。フランス議会選は右派勢力拡大による財政運営が懸念され、ユーロは続落。一方、イギリスの総選挙は政権交代が期待され、ポンドは堅調を維持しています。

ユーロ・ポンド相場は欧州議会選後に軟調地合いとなり、一時0.84ポンドを下抜けました。今月30日のフランス議会選に向けた直近の支持率調査によると、右派政党・国民連合(RN)が3割超と、3割弱の左派連合、2割弱の与党・再生を上回る勢い。党首のマリーヌ・ルペン氏はマクロン大統領との協力関係を強調したものの、同国の財政規律は不安視され、選挙直前までユーロ売りは続きそうです。

一方、英中銀は20日の金融政策委員会(MPC)で政策金利の据え置きを決定。直近のインフレ率低下を背景に利下げ主張の当局者が増え、ハト派的な政策運営を見込んだポンド売りが先行しました。ただ、7月4日投開票の総選挙で労働党が保守党を破り、2010年以来の政権奪還が確実視されています。財政リスクでポンド暴落を招いた保守党政権は信任を失い、新政権への期待感がポンドを押し上げています。

両国は1997年にも同時期に選挙が行われたことがあります。フランスでは当時のシラク大統領が不人気のユーロ導入の争点化を避けるため、任期を1年残した議会を解散。その後の議会選は左派や右派でルペン氏の父親ジャン=マリー・ルペン氏の国民戦線の躍進を許し、シラク氏を支える右派・共和国連合は大惨敗しています。27年の時を経て、ルペン氏が与党に勝利したとしたらどこか因縁めいています。

イギリスでは、18年にわたるサッチャー、メージャー両氏の保守党政権からの変革を訴えた当時40代のブレア氏が労働党を地滑り的大勝利に導きました。その後はブラウン氏に禅譲し、労働党は2010年まで政権を維持。今回14年ぶりの政権奪還を狙う同党が掲げた政策のなかで、1990年代に民営化した鉄道の国営化が目を引きます。新自由主義から逆戻りしたスターマー氏の左派政策は、まさに「チェンジ」。

フランスほどではないものの、イギリスでも右派勢力は健在です。反移民を掲げるナイジェル・ファラージ氏はリフォームUKを新たに立ち上げ、保守党の凋落を突いて保守層の支持を広げています。同氏はかつて欧州連合(EU)加盟に反対の立場から所属していた保守党を離党した経緯があり、ヨーロッパを席捲する右派の嵐がイギリスでも吹き荒れるか注目されます。もちろん、想定外に善戦すればポンドは急反落でしょう。

(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。《ST》

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最終更新:6/23(日) 9:00

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